「調子ノリ世代」「悪ガキジャパン」――それが彼らに着いた愛称である。スピード感あふれるゲーム展開、チームワークの良さ、吹っ切れ加減、新鮮さ、爽やかさ。サッカーファンに強烈なイメージを印象づけた2007年のU-20代表選手たち。そんな彼らが感じた自分たちをリレー形式でインタビューした。

― U-20カナダW杯組の結束力の高さは特筆すべきものがあったと思うのですが、1年たって振かえってみて、その要因はどこにあったと思いますか?

柏木 まずは監督の個性でしょうか。ヤッコさんが良かったので、みんながまとまったんだと思います。それに監督だけではなくて、森保さんをはじめとしたスタッフの方たち全員が良かったんだと思います。それから、調子乗り世代…と言われてしまうくらい調子に乗っていましたね。それも良い方に。みんながうるさく、みんなが仲良かったんです。

― チームの中では誰が中心だったのですか? 柏木選手?

柏木 いやあ、僕じゃないですよ。一番うるさかったのは槙野じゃないですか? 槙野は青山や田中亜土夢と一緒でしたし、僕はミチや太田や青木と一緒でした。太田はものすごく面白いんですよ。青木はまじめで、あまり話さないんですけど、いつも笑っているって感じです。ただ、みんなが集まった時になにか一発芸をやらされるのは林でした(笑)。

― アジア最終予選のインドでの辛い経験が結束力を高めた…という話も多かったんですが。

柏木 そうですね。でも、僕は絶好調でしたよ。僕の大会だったと言っていいくらい(笑)。食事もまったく問題ありませんでした。

― みなさん、食事には相当やられていたみたいですが。

柏木 僕は危なさそうなものは避けていたんですよね。持って行っていたお菓子とか、タマゴとかポテトとか食べたいものだけ食べるようにしていたんです。サラダとか危なさそうなものは食べませんでしたね。まあ、ポテトとかは油っぽかったですが、おかげで大会期間中、ずっと調子を維持していられました。

― 帰りにバンコクに寄った時に、ダッシュでマクドナルドに行ったそうですが。

柏木 行きましたねー(笑)。バンコクで相当癒されました。

― 対してカナダはとてもいい環境だったようですね。

柏木 カナダは本当に良かったですね。過ごしやすかったし、街の人たちもすごく優しくしてくれました。チームの雰囲気も自由でしたから、食事をした後にスタバに行ったりして、すごくリラックスできました。

― そんな中、行われた初戦のスコットランド、かなり警戒していたようでしたが。

柏木 いやあ、余裕でしたね(笑)! 実際には、ヨーロッパ予選で2位でしたし、ビデオを見ていると「これは相当強いぞ!」という印象でした。ヤバイなあ…と、みんなで言いながら試合に臨んでみたら、あまりそうでもなかったんです。

― かえってコスタリカの方が、上手いし、スピードがあるので嫌でした。

柏木 そうですね。でも、1戦目をしっかり勝ったので、その勢いがありました。それが大きかったですね。

― ナイジェリア戦はいかがでしたか?

柏木 身体能力は高かったのですが、つけいるスキはいっぱいありました。ベンチで「自分が出たら、こういうことができるな」と見ていたので、途中出場してからは、相手の穴を突くような動きをしたつもりです。

― 決勝トーナメントに入ってからのチェコ戦では惜しい戦いになってしまいました。

柏木 最初にポンポンと2点取れてしまったのですが、その余裕が良くなかったんだと思います。その後はチェコがロングボールを蹴ってきて、速い選手と上手い選手を入れてきたんですよね。僕らのラインもかなり下がってしまった。そういう状況でも冷静にラインが保てていたら違ったのかも知れません。守って守って、カウンター、というような攻撃ができたでしょうから。今でも惜しい試合だったと思います。

― 吉田監督がまたチームを作ったら参加したいですか。

柏木 したいですねえ。攻撃も自由にやらせてくれましたし、人柄もいいですし。基本的にプリングルスが好きな人ですし(笑)。緑のプリングルスが。次のオリンピックの監督になってくれたら、オーバーエイジで僕にもチャンスあるんちゃうかな、とか思っています(笑)。

― このチームを再結成して、79年組と試合をしたらいいんじゃないか、という話で盛り上がっているのですが。

柏木 あっ、それ聞いたことありますよ! ものすごくやりたいです。きっと、若さが勝っちゃいますね! ただ削られても文句は言えませんね。「大丈夫です」くらいで!(笑) でも、79年組はOKしてくれるんですか? 僕らはみんな絶対にやりたいって言うと思いますけど。

― さて最後に、カナダでの最大の収穫はなんでしたでしょうか。

柏木 フィジカルの違いがわかったこと、ヨーロッパのチームは戦い方を知っている、ということでしょうか。トーナメントに入ったら一回一回が勝負ですよね。チェコのように、その時の戦い方をよく知っていますし。それから自信がついたということです。日本に帰ってから、試合に出ているメンバーも多くなりましたからね。

― ありがとうございました。

柏木陽介   
Yosuke KASHIWAGI
ポジション: MF
生年月日:1987/12/15
身長/体重:177/74