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第36回 防災科学技術研究所 理事長 岡田義光...
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魂の仕事人 第35回 其の二
心身ともに追い詰められ 自殺未遂を繰り返したフリーター時代 オウム事件と阪神淡路大震災で 人生が変わった
映画『新しい神様』に出演したことで、自らの欺瞞に気づき、右翼の世界から去った雨宮氏。その映画がきっかけとなり、ある出版社からオファーが舞い込む。これまで予想もしてなかった作家への道が開けたと当時に、「生きづらさ」からの本当の意味での脱出の契機をつかんだ瞬間だった。  
作家・活動家 雨宮処凛
 

執筆活動開始

 

『新しい神様』はベルリンや香港などのいろんな外国の映画祭に招待されたり、劇場公開されてけっこう反響を呼んだのですが、その影響で某出版社から「自伝を書かないか」という話が来たんです。

そのときはすごくびっくりしましたよ。まさか自分が書き手になれるなんて思ってもいませんでしたから。作家とかライターを目指しながらフリーターをやってる人は多いですが、実際になれる人ってほとんどいませんよね。だからそういう大それたことは考えていませんでした。

でも、もしそういう話がきたらぜひ書きたいという気持ちはあったんです。人形にしても右翼バンドにしても、何かを表現して自分をわかってほしいという気持ちは過剰にあったので。だからいい機会ということで書くことにしたんです。でも最初に声をかけてくれた編集者と合わなかったので、別の出版社に持ち込んだんです。そしたらすんなり「出しましょう」となったので、そこから書き始めました。

中学時代のいじめのことや自殺未遂のことなど思い出すのがきついことがたくさんありましたが、書いているときはすごく楽しく、充実していましたね。これまで生活のためにあまりやりたくないアルバイトばかりをしてきましたから。右翼団体にいるときも100パーセント自分がやりたいことではなかったですし。右翼バンドにしても、団体の思想や理念、主張から外れてはいけないという大前提がありましたから。例えば日米安保がどうのこうのというようなことばっかり叫んでいて、そのことに窮屈さを感じていました。だけど、いち個人の書き手として自分の言葉で初めて何かを書くというのはすごく自由で、楽しく、充実していましたね。そうやって書き上げたのが『生き地獄天国』というデビュー作です。

ここでようやくフリーター時代に思っていた、「誰にもできる仕事じゃなくて自分にしかできない仕事、自分が本当にやりたいと思う仕事がやりたい」という望みがひとつかなったんですよね。

かといって、そこから自分は物書きとして生きていくんだとは思いませんでした。むしろやっていけるはずはないだろうという思いが強かったですね。今回の本は映画と合わせてたまたま出せただけだと。だから一冊書いたらまたフリーターに戻るのかなとか、この先どうなるんだろうと本気で思っていましたね。

でも幸い『生き地獄天国』がけっこう反響があって、同じ出版社と別の出版社から次回作のオファーが来たんです。この2冊目を書いているときに、これから物書きとして生きていこうというか、もうこれでいくしかないと思いました。これができないと本当にフリーターに戻るしかないという退路が絶たれた状態だったので。

自伝のデビュー作を執筆後、自殺の損得勘定についての本『自殺のコスト』、自伝的小説『バンギャル ア ゴー ゴー』、イラクや北朝鮮を訪れた際の体験本『悪の枢軸を訪ねて』『戦場へ行こう!! 雨宮処凛流・地球の歩き方』など、次々と話題作を出版し、大きな反響を得ていった。しかし2006年に上梓された作品はこれまでとは少し趣が異なっていた。

生きづらい人たちのために
 

それまで書いていた自伝とか小説はあまりメッセージ性の強いものではなかったのですが、その本を読んだ中高生を含む10代、20代の読者から、いじめ体験や自殺未遂など生きづらいというメッセージや「本当に死にたい」というメールや手紙がすごく寄せられたんです。同時に、本当に死にたいという子たちから「雨宮さんは今、生きづらくないんですか?」とか「生きづらくないのはどうしてですか?」と聞かれることが増えました。

本を書くようになってから、ようやく生きづらさは感じなくなったのですが、フリーターだったころはまさかこんな日が来るなんて思ってもみませんでした。私自身、自殺もせずに、生きづらくなくなるなんて衝撃的だったんです。

当時はリストカットをしたら、たいていの人には引かれたり、変な目で見られていたのですが、それがすごくつらくて嫌でした。でも中には、実は他人を蹴落とさないと生きていけないような厳しい世の中で、手首も切らずに平然と生きていける方がおかしいんじゃないかと言ってくれる人もいて、すごく救われたんですよね。それで、自分がいろんなところで救われてきたことの集大成みたいなものを、生きづらい人たちのために作りたいと思うようになったんです。

まず、生きづらいと感じてリストカットをしたり自殺未遂をするような人をとにかく肯定して、元々あんまり前向きとかメッセージとか好きじゃなかったんですけど、その子たちに5ミリくらいでもいいから前向きなメッセージを送るなりして、なんとか力になりたいと。その子たちはかつての私そのものですから。

そして、自分の生きづらくなくなった経緯を伝えることで、この子たちが元気になって少しでも「生きようかな」と思うかもしれないし、もしかしたら自殺を止められるかもしれないなと。こちらのエゴかもしれないんですけど、やっぱり死んでほしくないんですよね。今までも周りで友人や知り合いがたくさん自殺しているので。それはとてもつらいので。それで書いたのが『すごい生き方』という本です。

私の生きづらかった時代の体験や、10代から30代の500人の生きづらいと感じている若者に取材とアンケートを実施して、その悩みに対して、私の体験から生きづらさから脱出するためにはどうすればいいかという私なりの解決策を書きました。2006年1月に出版したのですが、この本もたくさんの反響をいただきました。

かつての自分と同じように生きづらさを感じている人のために本を書いていたころ、悲しい事件が起こる。雨宮氏を生きづらさから救ってくれた恩師の死。甚大な衝撃を受けたが、同時に現在の雨宮氏を形作る大きな契機にもなった。

恩師の死で行動する作家へ
 

2005年、私に戦後日本の政治や社会について教えてくれて、生きづらさから解放される最初のきっかけをつくってれた作家の見沢知廉さんが自殺しました。

私の師匠的な存在だったので、亡くなったときはものすごくショックでした。と同時に罪悪感にさいなまれました。私だけじゃなくて見沢さんの周りにいた人はみんな感じていると思います。死の直前は病気で混乱状態になっていて、怒鳴りながら電話をかけてきたり、感情の波が激しかったので、あまりちゃんと対応できませんでした。そういう中で亡くなってしまったので……。

私が最初に本を出したときに一番喜んでくれましたし、すごく応援してくれていたんです。本当にいっぱい応援してもらったのに、何も返せなかったので……。すごく自分を責めました。

でも一方で、見沢さんの死によって、自分も行動しなきゃと思ったんです。見沢さんは作家でありながら常に具体的な行動を起こしていた「行動する作家」で、そういうところにすごくあこがれていました。作家でも行動しなきゃダメだと見沢さんにいろいろ教えてもらっていたので、「見沢さんが生きていれば今何をするだろう」とすごく考えるようになったんです。

ちょうどそのころ、『すごい生き方』を書く過程で、私が生きづらさを感じていた理由は私個人のせいだけではなく社会のあり方にも問題があったんじゃないかと思い始めていました。いろいろ調べていく過程でプレカリアート問題に出会って、これだ!と思ったんです。それで私もプレカリアート問題に取り組んでいる人たちと一緒に運動に参加するようになりました。

プレカリアートに目覚める
 

まずは2006年にプレカリアートの集会に出て、勉強するようになって、ますます自殺や生きづらさの背景には、人の命や心よりも稼ぐことの方を優先させる経済至上主義や、社会全体を覆っている競争ムードや弱肉強食ムード、そして政府によって盛んに喧伝されていた「自己責任」などが、絶対に関係あるだろうなと感じたんです。なぜそうなったのか突き止めたい、そしてこの問題をなんとかしなきゃと思ったんです。それは自分の問題でもあったからです。

私もフリーターだったころは生きづらさを感じて厳しい毎日を送っており、とにかくフリーターから脱出したいと自分のことだけしか考えていませんでした。そのときの仲間でいまだにフリーターの人や、ホームレスになった人もたくさんいます。

私も20歳のころは、将来はホームレスになるしかないと思っていました。当時は普通に働いているのに貧乏で、家賃が払えなくて親に頼んでお金を借りていたのですが、親が死んだらそれもできなくなるので、「親が死んだらホームレスになるだろうな」と。そう思っていたら、30代になったときに、現実に周りのたくさんの同世代の人たちが不安定な生活で家賃が払えなくなって、ホームレスになっていて愕然としたんです。

さらに、うつ病になって引きこもったり、自殺した人もけっこういるんですよ。なぜ自殺したのかその経緯を調べると、やっぱりまず就職活動の時期に就職氷河期で100社に応募したけど全部落ちて、その後フリーターになるしかなかった。仕事もすごく低賃金で不安定でちょっとしたことですぐクビになる。働けなかったらお金が入ってこないので、電気、ガス、水道などのライフラインが全部止まる。家賃を滞納して追い出される。フリーターでいる限り、不安定で生活がぜんぜん楽にならないし、一度フリーターになったらなかなか抜け出せない。親や周囲からはダメなやつと責められて、精神的にきつくなるばかり。「自分は本当にダメな人間なんだ」「誰からも必要とされていないだ」「生きていちゃいけないんだ」という思いが日増しに強くなって、うつ病になる。そして自殺しちゃったというケースが多いんですね。

そういう人をたくさん身近に見ているので、自分だけフリーターから脱したら、今度はそのことに罪悪感を抱いてしまって。自分さえよければいいのか、仲間のことは見捨てていいのかという思いが強くなったんです。

私も彼らと同じなんですよね。私はたまたまフリーターから脱出できたわけですが、それはすごい奇跡のような偶然で、決して自分の努力の賜物ということではありません。もうひとつのありえた人生としては、フリーターでい続ける確率の方が高かった。奇跡のような幸運がなかったら、高卒だし何のスキルもないので、ずっとフリーターのままで、ホームレスになっていただろうと思うんです。もしかしたら野垂れ死んでしまっていたかもしれない。そう思うと本当に全然、他人事じゃないんです。それでこの問題を何とかしたいと思ってプレカリアート問題に本格的に取り組むようになったんです。

プレカリアート問題の根本の原因について調べていると、ものすごくショッキングな事実に突き当たりました。生きづらい人たちが増えたのは、政財界の企みによるものだったのです。

 

いじめ、自殺問題から労働問題へとシフトしていった雨宮氏。どんどんのめり込んでいくうちに、ショッキングな事実に突き当たった。ここから新たな戦いが始まった──。

次回はなぜネットカフェ難民やワーキングプアがこれほど増加しているのか。ここにいたるまでに何があったのか。現在の日本社会の労働問題について熱く語っていただきます。乞う、ご期待!


 
第1回 2008.10.6リリース 生き地獄だった中高生時代
第2回 2008.10.13リリース オウム事件と阪神大震災で 人生が変わった
第3回 2008.10.20リリース 映画がきっかけで作家の道へ プレカリアート運動に目覚める
第4回 2008.10.27リリース 貧困の問題は生存の問題 生きる権利は誰にでもある
第5回 2008.11.3リリース 誰もが生きやすい社会を目指して 仕事とは全実存とイコール

プロフィール

あまみや・かりん

1975年、北海道生まれ。中学時代のいじめが元で高校不登校、家出、リストカットを繰り返す。高校卒業後に上京、人形作家を目指し美大受験に2度挑戦するも失敗し、フリーターとなる。不安定な生活の中で将来の展望や自尊心が得られず、自殺未遂を経験。その後、右翼活動家、映画出演を経て、自伝『生き地獄天国』で作家デビュー。2006年からプレカリアート問題の活動家、作家として活躍中。

【関連リンク】
●雨宮処凛公式ホームページ
●すごい生き方ブログ
●マガジン9条 雨宮処凛がゆく!

 
おすすめ!
 
『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版)

フリーター、パート、派遣、請負……安定化する若者たちの労働現場。そのナマの姿を、自身も長年フリーターとしてサヴァイブしてきた著者が取材した渾身のルポルタージュ。この国の生きづらさの根源を「働くこと」から解き明かす宣戦布告の書!!

『雨宮処凛の闘争ダイアリー』(集英社)

“1億総下流時代”がついに到来! 闘うぞ! ワーキングプアの生存権を求め、若者たちと反撃を開始した雨宮処凛。その激動の1年を記録する。ロリータを戦闘服に、格差社会の問題を常に現場リポート。連帯と行動の大切さを痛感させられる傑作!

『生き地獄天国―雨宮処凛自伝』(ちくま文庫)

元イジメられっ子で家出少女、元ビジュアル系追っかけにして、自殺未遂常習者。映画『新しい神様』で絶賛された、人呼んでミニスカ右翼・雨宮処凛のターボ全開ブッちぎり逆ギレ人生。ヘドが出るほど平和で退屈なニッポンで、自殺未遂をしないで生きるための、そして生き地獄を天国に変えるための唯一のやり方。

 
 
お知らせ
 
魂の仕事人 書籍化決!2008.7.14発売 河出書房新社 定価1,470円(本体1,400円)

業界の常識を覆し、自分の信念を曲げることなく逆境から這い上がってきた者たち。「どんな苦難も、自らの力に変えることができる」。彼らの猛烈な仕事ぶりが、そのことを教えてくれる。突破口を見つけたい、全ての仕事人必読。
●河出書房新社
●魂の仕事人ブログ

 
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取材・構成/山下久猛
写真/bushi-HONDA
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