二〇〇九年度の政府予算案が決まった。麻生太郎首相が取り組んだ初の当初予算案で、次期通常国会に提出する。
今回の予算編成作業は、急激に経済環境が悪化する中で行われた。景気や雇用対策に加え、問題化した医師不足への対応などに重点を置き、一般会計総額は過去最高となる八十八兆五千四百八十億円に膨らんだ。前年度当初予算に比べ6・6%も増加した。
「百年に一度」とさえいわれる世界的な景気後退のさなかだけに、思い切った財政出動はやむを得ない面があろう。問題はその中身だ。
注目されたのは、先日内示された財務省原案後の措置である。事務レベルと閣僚らで調整財源を分け合う従来型の復活折衝に代わり、麻生首相が仕切る総額三千三百三十億円の重要課題推進枠がどう配分されるかに関心が集まった。
麻生首相の政治理念や戦略性が明確になるとみられた。結果は推進枠の三分の二以上を医師不足対策などの「生活防衛」と、地域活性化など「地方の底力」の二つの名目に回した。
首相主導で国民の不安解消を図る姿勢をアピールしたのだろう。だが、産科医への手当創設、飼料用米や小麦の増産による水田の有効活用策など柱の部分は、夏の概算要求時点で既に目玉と位置付けられていた。
首相主導を演出するため、あらかじめ目玉事業を外して取っておいただけ、という冷ややかな声も聞かれる。
景気が悪化する中、「経済の麻生」を看板に掲げる首相の力量が問われたが、期待外れの感は否めない。予算案全体でも経済の抜本強化に向けた中長期的な戦略は見えず、首相の看板は早くも色あせたと言わざるを得ない。