大分キヤノンの請負社員を十月に退職し、ホームレス状態で大分市に生活保護を申請していた男性(34)に対し、同市は二十四日、生活保護の支給を決定した。申請の支援をした国師洋典・社会福祉士は「これまで市は住居確保の後に支給決定をしていた。今回は住居の賃貸契約と同時に保護を開始するという画期的な判断。路上生活者が申請をするハードルが低くなる」と評価している。
男性は、請負会社社員として九月から大分キヤノンで勤務をしていたが、年末にかけて大量の解雇があるという話を聞いて十月に自主退職。その後、数社の派遣会社を回ったが仕事が見つからなかったという。
最初はネットカフェで寝泊まりしていたが、所持金が底をつき、路上生活を始めた。週に一度の炊き出しや残飯で飢えをしのいでいたという。
今月二日に生活保護を申請。これまで二日に一度、市の窓口に問い合わせをしていたが、住居が確保できていないとの理由で断られていたという。二十四日に国師さんの要望書を持参して窓口に行くと、不動産業者と一緒に来庁し、契約するならば支給すると回答があった。大分市は「対応を考えた末、最善の方法を選んだ。不動産業者の協力があれば、契約と同時に支給はできる」とし、「これまでは同様のケースがなかっただけ」としている。
現在、男性の所持金は二十円ほど。国師さんは「生活が急迫したホームレスには即座に生活保護を開始する手続きが必要だ」と訴える。市は「ホームレス状態のままなら支給は難しい。まずは家を探してほしい。住居がない人は支給を受けたまま連絡が取れなくなることが想定される。不正受給の恐れがあり、自立に向けた適切な支援をしにくい。国の方針に沿った対応だ」としている。
生活困窮者の相談会 キヤノン関連が“最多”の10件に
景気悪化を受け「反・貧困ネットワーク大分」などは二十四日、大分市で生活困窮者を対象に法律相談を開いた。午前十時から午後八時までに五十二件の相談があり、ネットワーク事務局長の河野聡弁護士は「派遣や請負関連の雇用に関する相談が予想以上に多かった」と話した。
日本労働弁護団や生活保護問題対策全国会議などの全国一斉相談会に合わせた取り組み。弁護士や司法書士、行政書士、社会福祉士ら十人が電話と面接で相談を受けた。
大分県内を中心に九州各地から相談があり、内訳は生活保護関連が二十五件、派遣切りなどの雇用関係が十四件、多重債務問題が十件―など。雇用に関しては「キヤノン関連が十件ほどで最も多かった」という。中には「解雇されて寮を出なければいけないが、行き先がない」「解雇前の最後の給料でアパートを借りたが、手持ちの金がなくなった」など厳しい生活状況を訴える相談もあった。
河野弁護士は「会社の業績を説明したり、希望退職を募るなど適切な整理解雇の要件を満たしていないケースもあった。急激な不況とはいえ、雇用している企業には社会的な責任がある」とし、違法な解雇や住居の追い出しに対しては法的な措置を検討するという。
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