福岡市東区で2006年8月に起きた飲酒運転による3児死亡事故で、業務上過失致死傷罪などで懲役7年6月の判決を受けた元同市職員、今林大(ふとし)被告(24)の控訴審第3回公判が24日、福岡高裁であり、被告人質問が行われた。一審福岡地裁判決が事故原因と認定した脇見運転について、今林被告は、その時間は「4、5秒だと思う」と述べた。一審判決は「最大約12秒の可能性がある」とした。
より刑の重い危険運転致死傷罪適用を求めている検察側は、脇見運転が原因との認定を覆すため控訴審では「現場の路面は(進行方向左側への)こう配があり、12秒もの脇見運転で直進するのは不可能」と主張。第2回公判では、脇見運転によりハンドル操作をしない場合、車両が自然に左側に進む様子を再現した実験映像を証拠提出し、法廷で上映された。
この日、今林被告は弁護側が「脇見は10秒以上か」と問うと「そんなに長くない。それほど長いと(車道左側の)縁石に当たる」と述べた。続いて検察側が「どれぐらいの長さか」と尋ねると「はっきり分からないが、したとしても4、5秒だと思う」と答えた。
さらに検察側が「脇見がその程度なら、なぜ前方の被害車両に気付かなかったのか」と問うと、「遊びに行く途中で同乗者と盛り上がり、スピードも出していた。前方の注意が欠けたのは酒の影響もあった」と述べた。
次回公判は1月30日で、3児の両親の大上哲央(あきお)さん(35)、かおりさん(32)夫妻が意見陳述し、2月27日の公判で結審する見通しになった。
=2008/12/25付 西日本新聞朝刊=