ゴールの桃太郎スタジアムに戻ってきたのは五人の集団だ。「有森裕子杯」のハーフマラソン最終盤。大接戦のトラック勝負でキラグ・パウリン・ワルグル選手が抜け出し、優勝のテープを切った。
師走の岡山路を舞台に繰り広げられた「第二十七回山陽女子ロードレース大会」を観戦した。ハーフで初優勝したワルグル選手は、二位の清家愛選手と1秒差だ。優勝候補が脱落するハプニングもあり、見応えがあった。
「人見絹枝杯」の十キロでは、ウィンフリーダ・ケバソ選手がスタート直後からぐんぐん飛び出し、二位に30秒以上の差をつけ圧勝した。四年ぶり二度目の栄冠である。
それにしても選手たちが地面をけって進む何という速さ。体の動きに全く無駄がないことにも感心した。ひたすら前へ進むことだけに精神を集中した結果だろう。全力で走る姿は美しい。スポーツの魅力を再認識した。
岡山市中心部を駆ける山陽女子ロードの特長は、選手に勇気を与える沿道からの市民の温かい声援である。どんなに遅れても最後まで完走した選手へ、スタンドから温かい拍手が送られていたのも心に残った。
若い選手の登竜門でもあるこの大会から世界に羽ばたくランナーが続々と育っている。多くの市民に支えられてのことであるのは間違いない。