【モスクワ大木俊治】ロシア、イランなど天然ガス生産・輸出国16カ国で構成する「ガス輸出国フォーラム」の第7回閣僚会合が23日、モスクワで開かれた。フォーラムの規約などを採択し、正式な国際機構として発足した。
欧米など消費国は石油輸出国機構(OPEC)のような国際カルテルの形成に向けた動きと警戒しているが、ロシアなどは「ガス版OPECではない」(ヤノフスキー・エネルギー省次官)と強調し、資源開発などでの協力が主眼と説明している。
タス通信によると、23日の会合には11カ国の閣僚が参加。冒頭、ロシアのプーチン首相があいさつし、常設の輸出国機構の必要性を訴えた。規約では執行委員会や事務局の設置などを盛り込み、これまでの緩やかな協議体から国際機構に衣替えする。事務局の所在地をめぐり4カ所が争っていたが、タス通信によるとドーハに決着した模様だ。
同フォーラムの初会合は01年だが、07年1月にイランの最高指導者ハメネイ師が「ガス版OPEC」の創設を提唱し、国際的注目を浴びるようになった。天然ガスは国際市場が形成されておらず、2国間の長期契約が主流であることなどから、価格カルテルの結成は当面難しいとの見方が根強い。ただ生産国側は、経済危機や原油価格に連動したガス価格の下落に危機感を強めており、価格が不当に安く設定されているとの不満も出ている。
タス通信によると、フォーラム構成国は、アルジェリア、ボリビア、ブルネイ、ベネズエラ、エジプト、インドネシア、イラン、カタール、リビア、マレーシア、ナイジェリア、アラブ首長国連邦、オマーン、ロシア、トリニダード・トバゴ、赤道ギニアの16カ国。ノルウェーもオブザーバー参加している。
毎日新聞 2008年12月24日 東京朝刊