女児に使われたものと同型の点滴用チューブ。二股に分かれ、一方の管の先には注射器で簡単に薬剤を入れられるシリコーン製の穴がある=京都市左京区の京大病院
京都市内の病院に入院している1歳10カ月の娘の点滴チューブに古くなったスポーツドリンクを注入したとして、京都府警は24日、岐阜県関市に住む母親(35)を殺人未遂の疑いで逮捕したと発表した。府警によると、母親は「(病気になれば)ずっと付き添って看病してやれると思った。殺すつもりはなかった」などと供述しているという。
府警によると、母親は22、23両日に1回ずつ、集中治療室(ICU)で治療を受けていた五女の点滴チューブに、古くなったスポーツドリンクを注射器で注入し、殺害しようとした疑いがある。五女の血液からは菌が検出されていたが、回復に向かっているという。
五女が入院していた京都大学医学部付属病院(京都市左京区)によると、五女は原因不明の重症感染症にかかり、岐阜県内の病院から2日に京大病院小児科へ転院した。検査したところ、尿から有機化合物が検出されたり通常は存在しない複数の細菌が血液から見つかったりし、7日にICUに転科した。
転院当初から母親が点滴チューブに触るなど不審な行動をしていたため、11日に府警へ報告。ICUのカメラ映像を監視していたところ、12、13、22、23日に子どもを抱きかかえてカメラの死角になるようにしながらポケットから何かを取り出す行動があったという。
府警によると、五女の容体は好転していたが、22日になって再び発熱があったため、任意で母親から事情を聴いていた。母親はバッグの中などに複数の注射器を持っており、「スポーツドリンクを作り、7〜10日ぐらい放置したものを注入した」と話しているという。
五女の父親は会社員で関市の自宅におり、母親が京都市内に滞在して看病していた。関市によると、2人の間に生まれた子どものうち3人が、約2〜7年前に生後9カ月〜4歳で死亡しているという。