会見で事件の経過などについて説明する京都大医学部付属病院の一山智・副病院長=24日午後2時1分、京都市左京区の京大病院、上田潤撮影
入院中の1歳10カ月の娘の点滴に古くなったスポーツドリンクを注入したとして、岐阜県関市の母親(35)が殺人未遂容疑で京都府警に逮捕された事件で、入院先の京都大医学部付属病院(京都市左京区)が24日、記者会見し、母親が4回にわたって点滴に異物を注入したとみられるなど、不審な行動を明らかにした。
一山智・副病院長によると、被害にあった五女は11月27日、下痢の症状で岐阜県内の病院で受診した。12月2日に原因不明の重症感染症として京大病院小児科に転院。容体が悪化したため、7日に集中治療室(ICU)に移った。母親には入院直後から、点滴のチューブを触るなど不審な行動がみられたという。
京大病院が詳しい検査を実施した結果、五女の尿から有機化合物のような物質が、血液から4種類の細菌が見つかった。いずれも通常は検出されないもので、11日、警察に相談した。
翌12日、ICUの監視カメラで録画を開始。12、13、22、23日の4回にわたって、カメラの陰になるように五女を不自然な形で抱き寄せ、ポケットに手を入れる不審な行動がみられたという。五女には4日間とも、37〜39度の発熱があった。23日、警察官が母親のバッグなどから注射器2本を見つけた。母親は、注射器で点滴に異物を注入したことを認めたという。
長尾能雅・医療安全管理室長は「かいがいしく看病している様子だった。最初は特に変わっている感じは受けなかった」と話した。
母子は父親、長女と4人暮らし。関市によると、約2〜7年前、次女、三女、四女が生後9カ月〜4歳で死亡している。小島昭二・民生福祉部長によると、市に育児のことで相談した形跡はなかったという。