エタメロ レミット



レミットは退屈していた。
旅すがら立ち寄った街で、アイリスも仲間達も皆、バイトに行ってしまったからだ。
アイリスと二人ならともかく、リーダーとして仲間への面目上、自分も働くと言ったのだが、
アイリスはレミットの分も稼いでくるから必要ないと、優しく拒否したのだった。
子供扱い…いや、王女扱い、されているという事か。
レミットは、自分はもう一人前なのに…と、唇を噛んだ。

・・・

その日の午後、レミットは一人、宿を出た
むろん、自分もバイトをして旅の資金を稼がんが為である。
止められぬよう、アイリスや仲間達が出払った隙を狙い、いつもの斡旋所ではバレそうな事から、
自分で働き口を探そうと、一人歓楽街へと足を進めた。
育ちのせいか、そこがどういう場所かも知らずに色町に入った所で、一人の男に声を掛けられた。

・・・

「私でも出来る仕事を探してるの。何か無い?」

レミットにとって災いしたのは、この男がまっとうな風俗店を営業するような者ではなく、
少女を地下に囲って違法なサービスを提供するような男だった事だ。
当然、レミットへもそういう「商品」を狙っての声がけだったのだが、
彼女の対応は男にとって渡りに船すぎた。
疑う事無く男に付いて行き、薄暗い路地裏の地下へと案内されるレミット。
この時はまだ、たくさん稼いでアイリスを驚かせる…なんて、無邪気な事を考えていた。

・・・


最後の切り札…身分を明かしても、男たちはまったく聞く耳を持たなかった。
そして、痛くて気持ち悪いだけの行為が2時間も過ぎた頃から、レミットの身体に異変が生じ始めた。
それが、多用は精神を狂わせるほどの媚薬のせいであるとは当然知らない。
初めて感じる「快楽」に、レミットは溺れた。
王国の事も、旅のことも、アイリスの事も…「あいつ」の事も忘れて、ただ快感に身を委ねた。

・・・

アイリスと仲間達がようやくレミットを救出したのは、それから3日後の事だった。
事を大きくしたくないアイリスの意向で時間は掛かったが、全ては4人の秘密として伏せられた。
また旅を続ける中でも、レミットはいつもと変わらない快活さとわがままで周囲を振り回し、
あの3日間が暗く辛い記憶になっていない事に、アイリスは安堵した。

だが。
幼い身体に刻まれた強烈な快感の記憶を、レミットが忘れられるはずも無く。
以後、街に投錨するたびに周囲の男を誘い、性交に興じる…そんな「悪癖」にアイリスが気付き、
頭を悩ませることになるのだった。

セリフ無し

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