市職員募集を知らせる広報誌の試し刷り。採用内定取り消し者に応募要件を限定しすぎて白紙になった
大阪府池田市は雇用情勢の悪化を受け、企業に内定を取り消された人を対象に市職員の追加募集を計画したが、総務省から「平等を原則とする地方公務員法の趣旨に反するのではないか」と指摘されて断念した。内定を取り消された高校生や大学生の就職機会を増やそうと追加募集をする自治体は全国各地で相次いでいるが、池田市の場合、受験者を限定して直接的な効果を狙い過ぎたことが裏目に出た形だ。
池田市は今年度に内定を取り消されたことを文書などで証明できることを条件に事務系2人、技術系1人の計3人の追加募集を決め、1月25日に試験をする予定で準備を進めた。1月号の市の広報誌にもお知らせ記事を掲載しようと試し刷りもした。しかし、倉田薫市長が総務省へ問い合わせたところ、受験者の条件を限定するのは「広く公募すべき地方公務員法の趣旨に反する」と指摘されたという。
池田市人事課によると、これまでの市職員の採用試験で不合格者も出ているほか、内定をもらえていない学生もいるため、「特定の人たちだけを救済するのはいかがなものか」と市役所内でも議論になり、募集をあきらめた。倉田市長は「何とか救済したいと思って考案したのだが、残念だ」と話している。