会見にはテンポラオン保健相、ジャーソン保健監督局長や長年ハンセン病制圧活動を続けるNGOモーハンのアルトゥール代表に加え回復者数人も同席した。ルーラ大統領は2003年に大統領に就任、日本財団が2006年に発表したハンセン病回復者の差別撤廃を求める「グローバルアピール2006」に賛同し署名するなど、ハンセン病問題に理解が深い。席上、笹川会長は「世界一ハンセン病に理解のある大統領がいながら、残念なことにブラジルは世界最後のハンセン病未制圧国になりそうだ。なぜブラジルが制圧目標に遠いのかいま一度調査して、大統領から対策を指示してほしい」と要請した。
これに対し大統領は、隣の保健相に「一体どうなっている」と、声を掛けた。保健相は「制圧のために保健師の教育水準や基礎衛生レベルをあげ、保健所へのアクセスをよくしなければならない」と説明した。大統領は「これまでにハンセン病制圧に対して資金がなかったことはないはずだ。何をやっていた。何が問題なのか調べなければならない!」と机をたたき、対策の遅れを悔しがった。この後、回復者の一人トーレス氏は「現場では医者さえもハンセン病を恐れていて何もしない。一般の人もハンセン病について何も知らない」と声を荒げ、アルトゥール代表は、「前政権が怠慢でやってこなかった結果だ」と厳しく指摘した。
こうした声を受け、大統領は「地方自治体の首長との会合でハンセン病対策を優先課題として取り入れるよう伝え、保健省には対策プログラムを作らせ、フォローするよう要請する」と強い意志を示した。これに対し笹川会長は「第一目標として1万人に1人未満という数字を達成するために最大限の協力を惜しまない」と述べ、制圧達成まで何回でもブラジルを訪問することを約束した。
会見終了後に大統領と保健相が会談。来年行われる地方自治体関係者との会合の際6000人の首長に対してデング熱(一過性の熱性疾患)に次ぐ優先順位でハンセン病対策を実行させること、保健省から各首長にハンセン病対策の計画文書を提出させること-を決めたという。
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