日本人は奥ゆかしいのか、自虐的なのか、自分たちの良さをあまり誇らない。ところが、日本を知る多くの外国人は魅力を強調する。
ルーマニア日本語教育の母ともいわれる日本学者のアンジェラ・ホンドゥルさんもその一人だ。本紙三日付「ニッポン知の現在」で「長旅の末に疲れ果てて、やっと東京のホテルに着いて、ふと部屋のベッドに目をやると、小さな折り鶴が置かれている。なんと繊細な! 驚いて、目も覚めるほど。それが日本の魅力」。
ホンドゥルさんは祭りや神楽好きである。岡山の備中神楽を徹夜で見て、論文を書いたりしている。伝統文化が息づき、勉強すればするほど、日本文化・文学と恋に落ちてしまったと語る。
外国人五十四人にインタビューしてまとめた「私は日本のここが好き!」(加藤恭子編、出窓社)という本がある。三十カ国を超える人たちが「日本の伝統食はパーフェクト」「恵まれている教育環境」などと賛辞を惜しまない。
米国人のスコット・キャロンさんは「世界一の『一般人』がいる」と話す。日本には優れた一般の人が大勢いて、いつだって一生懸命で、日本は健全な社会だと実感するという。
今年は理不尽な事件が相次いだ。それでも外国人の声を聞けば、日本の美質は失われていないと信じられる。