相続それとも遺贈?

                   
◆遺言書には 「遺贈する」とあるのに、「相続」で登記申請ができる場合

遺言者はその全財産のうち10分の8を妻に、残り10分の2をこども2人に均分に遺贈する。(参照 昭和38.11.10民事甲第3119号回答)

○相続人(3人)全員に対する包括遺贈
×相続人全員に各別に特定不動産を遺贈している場合は不可
×相続人3人中2人に対し包括遺贈している場合

◆遺言書には 「相続させる」とあるのに、「遺贈」で登記申請しなければならない場合

遺言者はその全財産を孫○○○○に相続させる。

×子(孫の親)が遺言の効力発生時に生存しているときは、孫は相続人ではない。
  相続人ではない者に相続させることはできない(この場合、孫は代襲相続人ではない)

被相続人の子が遺言書作成時および相続開始時に生存している場合は、遺言書に「財産を孫に相続させる」旨の記載があるときは、
所有権移転の原因は「遺贈」と解してさしつかえない。(「登記研究」第480号)
 

遺言者はその全財産を株式会社○○に相続させる。

×法人に相続させることはできない。

「甲株式会社に相続させる」旨の公正証書遺言に基づいて「遺贈」を原因とする所有権移転の登記の申請は受理される。(「登記研究」第562号)


★遺言者が、その法定相続人の一人である甲に対し「A不動産は甲に相続させる」旨の遺言をして死亡したが、既に甲が遺言者より先に死亡している場合には、甲に直系卑属乙がいる場合でも、遺言書中に甲が先に死亡した場合には甲に代わって乙に相続させる旨の文言がない限り、民法994条1項を類推して、当該不動産は遺言者の法定相続人全員に相続されるものと解し、その相続登記を申請すべきである。(昭和62年6月30日民三第3411号)

注 参考例 「A不動産は、甲に相続させる。ただし、万一、甲が先に死亡したときは、甲の子乙に相続させる。」


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