振り込め詐欺事件で凍結された預金口座から現金が引き出された事件で、偽造有印私文書行使容疑で逮捕された京都家裁書記官の広田照彦容疑者(36)が、認知症などの人が対象となる成年後見制度を利用している資産家からも現金を不正に得ていたことがわかった。
埼玉県警関係者によると、広田容疑者は、戸籍を不正に取得して「馬場(ばんば)」氏になりすまして、成年後見制度を利用している資産家に多額の債権があるとして、裁判所に資産の差し押さえを申し立てた。その上で、預金を広田容疑者が管理していた馬場名義の口座に移させていたという。この資産家の成年後見人が同家裁に任命される際、広田容疑者は担当書記官だった。
成年後見制度は、認知症などで判断能力が低下した人を支援する制度。家裁に任命されるなどした成年後見人が財産管理などを行う。また、昨年9月以降、死亡した別の資産家の遺産を偽の判決文を使って差し押さえていたことも判明している。県警は、凍結口座から引き出した現金も含め、総額で約6000万円を不正に得ていたとみて、詐欺容疑での立件を視野に調べを進める。
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