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   6人に1人を襲う激痛!
帯状疱疹(ほうしん)の正体!

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2008年9月24日放送

今回の番組について

激痛を伴う赤い発しん、帯状疱疹(ほうしん)。実は、日本人の6人に1人がかかると言われる身近な病気です。しかも原因となるウイルスは、とても身近な、あの病気と深い関わりが……。

ガッテンがその不思議な発症メカニズムを徹底解明、最新の予防法もお伝えします。

オープニングクイズ

帯状疱疹の痛みは「針で刺されたような」「ろっ骨が折れたような」「死ぬんじゃないか」と感じるほど激しいものです。

  • 問題:帯状疱疹になりにくいという職業があるという。それは、次の4つのうちのどれ?
    客室乗務員/犬の美容師/保育士/海女
    答え:保育士
    ※その理由は、番組の中で明らかにしていきます。

「不思議な症状 帯状疱疹」

患者のAさんは、痛みが出てから1週間後に発しんが現れました。しかもそれは、体の左半分だけでした。一方Bさんは、発しんが治ってから痛みがひどくなりました。3か月にわたり、夜も眠れないほどの痛みが続きました。発しんは、なぜこんなひどい痛みを引き起こすのでしょうか?

帯状疱疹患者 症状の謎

  • 謎1: 内側からの痛み
  • 謎2: 体の片側だけ
  • 謎3: 発しんの前に痛み
  • 謎4: 発しんの後にも痛み
  • 謎5: おび状に出る

「発見!これが帯状疱疹の真犯人だ」

発しんの皮膚表面を電子顕微鏡で調べてみると、そこに存在したのは、なんと子どもがかかる「水ぼうそう」のウイルスでした。ところが帯状疱疹の経験者に聞いても、水ぼうそうの子どもは側にいなかったと言います。ではなぜ、「水ぼうそう」のウイルスに感染してしまったのでしょうか?

もう一つの謎 水ぼうそうとの関係

今回のガッテンでは、水ぼうそうのウイルスが細胞を壊していく様子を、世界で初めての動画による撮影に成功しました。よく観察すると、ウイルスはあっという間に正常な細胞を壊し、その後に水疱を作っていることがわかりました。

水ぼうそうは10日ほどで治りますが、実は、その治った瞬間が帯状疱疹の始まりとも言えるのです。

「阻止せよ 水ぼうそうの暴走!」

水ぼうそうに感染したときに働くのは、免疫。専用の免疫が作られ、あっという間にウイルスを退治してしまいます。その「専用の免疫」のおかげで、水ぼうそうには2度とかかりません。

ところが、免疫が水ぼうそうのウイルスを退治しても、実は一部のウイルスは遺伝子の形で体内に潜伏し続けています。その場所が、神経細胞が集まった「神経節(せつ)」です。

潜伏していたウイルスは、免疫の働きが弱くなった頃を見計らって、再び姿を現し増殖を繰り返します。それが神経に沿って、神経細胞を傷つけながら皮膚に達するので、帯状疱疹はおび状に、左右のどちらかだけに、しかも痛みを伴って現れるのです。

「なぜ、発しんが消えても 痛みがなくならない?」

発しんが治っても、長期にわたり痛みがなくならないことがあります。そのメカニズムは、専門家に聞いても、まだよくわかっていなとのことでした。繰り返し強い痛みを感じるうちに、せき髄で痛みの回路が作られ、「触った」という感覚さえ「痛み」に感じてしまうのではないかとも考えられています。

水ぼうそうのウイルスは、発しんができてからおよそ1週間でピークとなり、その後急激に減少します。本来なら、痛みも徐々に治まるはずですが、半年、1年と長期間にわたって痛みが消えない人がいます。これを「帯状疱疹後神経痛」といい、神経の病気と考えられています。

帯状疱疹後神経痛の治療

3か月までの比較的初期の患者は、「神経ブロック」という局所麻酔薬を使った治療を行います。一時的に神経を麻痺させることで、痛みの回路ができることを阻害するのです。

それでも痛みが残ってしまう患者には、「脳や神経が痛みを感じにくくする薬」での治療が中心となります。

帯状疱疹の治療

発しんが現れたら、3日以内に「抗ウイルス薬」での治療を始めると、症状が軽く済み、また、「帯状疱疹後神経痛」になる可能性を低くできることがわかっています。「痛み」と「発しん」が重なったときには早めに皮膚科を受診するよう、お勧めします。

「これが免疫力の湧くワーク」

40代から70代の健康な人30人に、帯状疱疹になりやすいかどうかがわかる試験をしてもらったところ、次のようなことがわかりました。

  • 半数以上が、いつ発病してもおかしくない危険な状態でした。
  • 高齢者ほど免疫力が低くなっていました。
  • 保育士は、年齢に関係なく高い免疫がありました。

保育士は、水ぼうそうの子どもと接する機会が多いため、水ぼうそうウイルスに対する免疫力が高まります。これを「ブースター効果」といいます。

帯状疱疹の患者は30代で一番少なくなりますが、子育て世代であることが理由と考えられています。

「最新予防法“ワクチン”」

最近のアメリカの研究で、30年前に日本の研究者が開発した「水ぼうそうのワクチン」に、帯状疱疹の予防効果があることが確認されました。帯状疱疹の発症を半分に、痛みを残す人を3分の1に減らすことができたのです。

グラフ「ワクチンによる帯状疱疹の発症人数の比較」

「水ぼうそうワクチン」は、アメリカやEUなど30カ国以上で帯状疱疹の予防目的で広く使われています。日本ではまだ保険適用がないため、自費で1万円前後の費用がかかります。免疫力が落ちてくる60代以上で、帯状疱疹をしたことがない人にワクチンの使用が勧められます。

※水ぼうそうのワクチンを帯状疱疹予防として接種する方法は、まだ一般的なものではないため、医療機関によっては受けられない場合があります。帯状疱疹に詳しい皮膚科やペインクリニックで相談してみてください。

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