患者が治療費を支払わず、医療機関に未収金が生じている問題で、厚生労働省は来年度
、未収金対策に積極的に取り組む医療機関に財政的支援を行う。石川県内でも未収金問題
に苦慮する医療機関が少なくなく、国の支援を追い風に、経営健全化に向け対応を強化す
る動きも加速しそうだ。来年度政府予算の財務省原案に六千万円を計上した。
財政支援は、未収金の発生分析や未然防止策、回収方法などを検討する有識者会議の開
催経費を対象とする。各医療機関がまとめた報告書は厚労省のホームページなどで公表し
、他の医療機関の参考にしてもらう。すべての医療機関が対象で、全国で二十カ所程度を
選定する見通し。
厚労省が全国の病院に実施したアンケートでは、未収金の要因は「患者の生活が困窮し
て資力がない」が21・5%を占める一方、「最初から支払う意思がないなど悪質な滞納
」も8・2%に上った。
県立中央病院(金沢市)では二〇〇六(平成十八)年度までの過年度未収金が九月末現
在で約一億三千二百万円、県立高松病院(かほく市)でも〇六年度までの過年度未収金は
九月末現在で約二千六百万円となっている。県医療対策課によると、経済状況の悪化で県
内の医療機関の未収金は増加傾向にあるという。
未収金対策としては、県立中央病院と県立高松病院が裁判所が支払いを命じる支払い督
促制度を導入、会計窓口を二十四時間対応にするなど徴収体制を強化している。公立能登
総合病院(七尾市)は回収手続きをまとめた要綱を作成し、今年四月から運用している。
厚労省は「地域の実情に応じた対策を検討してもらい、未収金による経営圧迫がなくな
るよう支援したい」(医政局指導課)としている。