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国保保険料:市区町村で2倍超の格差 毎日新聞調査

 自営業者や非正規労働者が加入する国民健康保険(国保)の保険料に、市区町村によって最大2倍超の地域格差があることが、毎日新聞の全国調査で分かった。自治体ごとに決める保険料を全国規模で比較した公式データはなく、格差が初めて具体的に裏付けられた。保険料が所得の4分の1に達する自治体もあり、医療保険改革をめぐる議論に影響しそうだ。【竹島一登、平野光芳】

 厚生労働省の調べで「無保険の子」がいた816自治体を対象に調査し、585市区町村から回答があった(回答率71.7%)。「世帯所得200万円で、40歳代夫婦と未成年の子2人の4人家族」というモデルで、08年度の年間保険料を聞いた。

 最高額は、大阪府寝屋川市の50万3900円。青森県風間浦村、大分県別府市、沖縄県宮古島市と続き、上位40市町村が40万円を超えた。寝屋川市は「収納率の見通しを低く設定せざるを得ないため、保険料を高額に設定せざるを得ない」(保険事業室)と説明している。

 寝屋川市は所得、世帯、家族一人当たりの各基本料から保険料を算出。自治体によっては、保険料算出に住民税や固定資産税額を反映させるケースもあるが、寝屋川市と同じ算出方法を採る自治体の最低額は、東京・多摩市の21万9800円。寝屋川市とは2.29倍の開きがある。

 全国平均は32万8980円。全体の45%の自治体が今年度に値上げを行い、平均額も07年度比1万2051円増加した。

 今年度決算から、自治体財政健全化法で「連結実質赤字比率」が適用され、新たに国保特別会計の赤字も財政状況の判断に加えられる。保険料引き上げで赤字解消を図った自治体が多かったとみられ、上位20自治体中、和歌山と泉大津(大阪府)の2市は、07年度決算がイエローカードにあたる「早期健全化基準」を超えていた。

 ◇保険料が高額になれば、滞納増える

 ▽芝田英昭・立命館大教授(社会保障論)の話 住む地域によって倍以上の差があることは、法の下の平等から考えても無視できない問題だ。保険料が高額になるほど滞納が増え、保険給付を差し止められて病院にかかれない人が増えてしまう。国は国保を根本から見直すべきだ。

 ◇08年度国保保険料が高額だった20自治体

順位  市町村     08年度保険料

(1)寝屋川市(大阪) 50万3900円

(2)風間浦村(青森) 48万3860円

(3)別府市(大分)  48万3400円

(4)宮古島市(沖縄) 47万8300円

(5)湯浅町(和歌山) 46万6400円

(6)徳島市       46万4280円

(7)臼杵市(大分)  44万5500円

(8)根室市(北海道) 44万4900円

(9)人吉市(熊本)  44万 500円

(10)和歌山市    43万6810円

(11)大槌町(岩手) 43万6300円

(12)函館市(北海道)43万5180円

(13)堺市       43万4106円

(14)久留米市(福岡)43万2800円

(15)笠岡市(岡山) 42万8400円

(16)貝塚市(大阪) 42万8160円

(17)宇部市(山口) 42万5482円

(18)秋田市     42万4800円

(19)門真市(大阪) 42万4750円

(20)泉大津市(同) 42万3900円

※「所得200万円の4人家族」というモデルで算出。

毎日新聞 2008年12月22日 15時53分(最終更新 12月22日 16時18分)

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