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胚の呼吸量に着目、体外受精の妊娠率を2倍に向上

[2008/12/22]

 精子と卵子を体外で受精させる不妊治療(体外受精)で、受精卵(胚)の呼吸量を測り、呼吸が安定しているものを子宮に戻すことで、妊娠率を大幅に向上させ、流産も減らせることが、セント・ルカ産婦人科(大分市)と山形大大学院理工学研究科などの共同研究でわかった。

 体外受精では複数の胚を培養し、顕微鏡で細胞の形などから良好な胚を選び、子宮に戻す。しかし選別を見た目に頼っているため確実性に欠け、妊娠率は20〜30%にとどまる。出産に至るまでには、数回の体外受精が必要になることも多く、患者の負担は大きい。

 同産婦人科の宇津宮隆史院長は、胚が呼吸することで、酸素を消費することに着目。東北大と山形大が開発した、培養液中の酸素濃度のわずかな変化を測定する技術を用い、ヒトの胚の呼吸量を測定した。

 見た目が良好な胚が複数ある患者で、顕微鏡観察だけで胚を選んだグループ21人と、呼吸量評価を加えたグループ20人の2年間の成績を比べた。従来法では妊娠率38%だったのに対し、呼吸量が安定した胚を戻したグループは60%と高く、流産率は従来法が25%に対し8%と低かった。先月の米生殖医学会で発表した。

 多胎妊娠による母体の危険を減らすため、日本産科婦人科学会は今年示した指針で、子宮に戻す個数を原則一つに制限。良好な胚を客観的に選別する技術開発が求められている。宇津宮院長は「見た目は良好な胚でも、呼吸量には大きな差がある。さらに多施設での研究を進めたい」と話す。
読売新聞社の許諾を得て転載


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