日がすっかり暮れた16日夕、福岡市東区の真田産婦人科麻酔科クリニック。新生児室で寝息を立てる4人の赤ちゃんの周囲を、看護師が行き交っていた。
3人の医師が1日に100人前後の外来患者を診る。だが診療時間を過ぎても、仕事は終わらない。当直の平川俊夫・副院長(51)はこれから帝王切開の手術。夜中に出産しそうな妊婦もいる。
人口28万人余の東区で、お産ができる医療機関は5カ所しかない。約10年前と比べて半数以下に減った。「激務でリスクの高い産科医のなり手が減っている」(平川副院長)ためで、クリニックも忙しさが増した。
外来を休診する年末年始も約10人が出産する。平川副院長は、妻の万紀子院長(51)と交代で泊まり込みだ。
それでも、と平川副院長は言う。「毎日『おめでとう』と言えるし、診療内容もダイナミック。産科医はとてもやりがいがある」。妊婦が安心して出産できる体制を国が整え、若い医師が増えることを平川副院長は願っている。【柳原美砂子】
2008年12月17日