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「PRIDEという名前を確立させたい」
PRIDE森下社長1.8懇親会全発言(3/3)
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PRIDEを支えてきた高田と試合後に肩を組む森下社長(写真はPRIDE.23高田延彦引退興行より)【スポーツナビ】 |
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■森下直人DSE社長
「吉田選手にはプロ格闘家としての意識を持ってほしい」
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森下社長が「プロの格闘家」としての姿を望んだ、大晦日の「猪木祭」での吉田
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(吉田選手のPRIDE出場は)吉田選手は非常に運動能力に長けていますし、センスもいいし、格闘家としての考え方も素晴らしい考え方を持っていますので、要所、要所では当然出てもらおうとは思っているんですけど、総合格闘家として冷静に見たらどうなんだ、というと、プロの総合格闘家としてはもう少しお客さんを満足させる意識を持ってもらわなければいけないと思いますし、技術的にどこまでのものが身についているのか検証できていない部分がありますから、それを見ながら、今後考えていく必要性はあるな、と思います。当然本人の意思、意向を踏まえた上ではありますけど。吉田選手のポジションはいろいろな役割があると思います。格闘家を目指す柔道家の目標であったり、もっと若い格闘家のお手本であったり、それと指導育成をする立場であったり、それとプロ格闘家として戦わなければいけない立場だったりといろいろな立場があると思うので、そういう部分で吉田選手が持っているいいところを100パーセント出せるような環境作りを考えるべきだな、と思っています。だからプロとしての総合格闘家としての欠点はいっぱいありますけど、そこを突っついててもしょうがないので、いいところを思いっきり引き出して、彼が気持ちよく活躍してもらえるような立場を作れたらな、と思います。
TVを考えるとDSE単独では日程を決定できない
GP(の会場は)はさいたまスーパーアリーナか、東京ドームというところですね。スケジュールはいくつか押さえているんですけど。プロモーション戦略の中でのメディアをどう使っていくか、というのがあるので、地上波、衛星波含めて、その編成の問題もあるので、DSE単独で日程を決定ができなかったというのが現状です。でもあんまり東京ドームにこだわっていないですね。東京ドームは今年はないかもしれないし、日程の問題ですね。
GPで吉田選手が道着を着ても、ルール上、桜庭vsホイス戦で作ったルールがあるので問題はないです。それで絞めても問題ないですね。逆に相手方があれで絞めても問題がないので。ルール上は公平と言えば公平なんですけど、PRIDEという競技をどういうふうにコントロールしていくか、ということになってくると思うので、あれはあれで面白さがあるのかもしれないですし、今のところは結論は出していないですね。オフィシャルルールには相手の了解に関係なく道着を着てもいいというルールにしてしまいましたので。そんなこと(道着を着る選手)はないと思っていたと思うんですけど(笑)。どちらにしても問題にはならないです。
PRIDE.25のメーンはノゲイラのタイトルマッチか、桜庭か、どちらかです。桜庭の体調次第だと思いますけどね。「THE BEST」は4月以降です。「THE
BEST」は、うちは3月が決算なんですけど、経常利益上、思いっきり引っ張るイベントなので(笑)、3月までは開催できないんですよ。4月以降にしか開催できない状況ですね。でも3カ月に1回ぐらいのペースでやりたいです。
ただ強ければいいのか?
(吉田選手の具体的な欠点は)うーん、この間の佐竹選手との試合を見ていても、真剣勝負ではあるんですけど、遊び心がなさ過ぎるというか。あれは多分、組んだ瞬間にある程度、実力差が分かると思うんですね。そこの部分でプロとしての遊び心がもうちょっとあってもいいんじゃないかな、と思って。真剣勝負なので、負けてやれ、とか手加減しろ、とは口が避けても僕たちのほうからは言えないんですけど、いかにお客さんを沸かせて、フィニッシュするか、という部分だと思うんですね。それであまりにも簡単に勝ちすぎてしまっては、一瞬は沸くし、吉田、強いな、っていうのはあると思うんですけど、それだけがプロの格闘家じゃないだろう、というのが僕の基本的な考え方です。強ければいいだろうではなくて、その過程もお客さんに楽しんでいただけるような余裕がほしいな、と。だから吉田君がいけない、というわけではないです。真剣にやって、勝つことが彼の目的だと思いますので、その結果に関しては素晴らしいと思いますけど、そこから僕の立場から欲を言わせていただければ、ということですから。
選手がステップアップするマッチメークを
吉田選手のマッチメークは、その時、その時に対戦相手として面白い選手をオファーしてきたつもりなんですけど。ただドン・フライとかは、ある方向性の選手を望んでいるんだということでこちらからオファーした選手を理解してくれて、ドン・フライを指名したということがあったんでしょうけど。吉田君の選手としてのポジションをどんな風に作っていくか、というのが、重要で、そういう部分ではお互いにキャスティングをして、対戦相手を決めていくようになると思うんですけどね。ただ吉田君自身が、どういうふうに自分自身をポジショニングをしていくかを考えていかなければいけないと思いますので。DSEが一方的な考え方で、対戦相手を決めていくということは吉田選手に限らずどの選手にしてもないことですから。選手としてのこれからを見ながら、ステップアップを図ってもらえるような対戦相手を常にどの選手に対してもオファーしなければいけないと僕は思っています。
現状の吉田にはGP参加の資格はない
吉田選手には「GPに必ず出てくれ」ではなくて「GPがあるけどどうですか」という話はしています。ただヘビー級にしても、ミドル級にしてもいい選手がたくさんいすぎるので、その中でどの選手をGPに参戦してもらうか、を最終的に決めるための打診にすぎないので。打診は、たくさんの選手にしていますから、その中でいい返事が返ってきた選手を中心にトーナメントを組み立てていきたいと思っていますので。現状のオファーでは絶対出てもらいたいというオファーではないですね。これから本人の考え方を確認していかなければいけないですから。そこにわれわれの考え方と本人の考え方が一致すれば、出場の資格があるということになってきますので。今の段階では出場の資格はないと思います。PRIDEの目指している総合格闘技の場所に上がる総合格闘家としてのクオリティーを、本当は持っているかもしれないですけど、佐竹戦みたいな試合を続けていくと測れないと思いますから。あとは本人の考え方を確認していかないといけないですね。
自己満足を追及するのがアマ お客を満足させるのがプロ
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森下社長がプロ魂を認めた桜庭
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ただ僕の考えがプロの総合格闘家にとって素晴らしいかどうか、は別の問題で、PRIDEのリングに上がってもらって、お客さんを満足させてもらいたい、という僕の立場からするとそういう考え方になります。そうすることによって、こういうイベントは続いていくんだと思いますので。本当にドラスティックに言ってしまうと、自己満足を追及していくのがアマチュアスポーツで、お客さんを満足させていくのがプロスポーツだと思うので、そこの線引きがプロとしてできているのか、できていないのか。そういう話をすると「当然できていますよ」とどのプロの格闘家も言ってくるんですが、実際はそれを試合で証明できるか、できないか、という次のステップが重要なんですね。まず心構えがあって、それが実際にできるか、できないか。だから桜庭選手は、そういうところができていて、そういう試合ができないとたとえ勝っても思いっきり悔しがる。それはなぜかと言うとプロの格闘家として、お客さんを満足させることができなかったからだと思うんですね。そういう気持ちをPRIDEのリングに上がるすべての選手に持ってもらえれば、本当に素晴らしいイベントになると僕は思います。
(スカウティングについては)客寄せパンダ的なスカウティングではなくて、本質的なPRIDEのファイターとして、精神的にも技術的にもクオリティーが高い選手をスカウティングをしていくことは積極的にやっていくつもりです。
ボブ・サップはもともとうちとK−1の共同プロモーションがやろうということで考えていた選手で、プロモーションに関してはうちもかなり協力していた選手なんですけど、必要とあればどこかで使う可能性はありますけど、使い方もいろいろ考えなければいけないので、でもそれは分からないです。ただ使う可能性はありますが、今のところGPを含めオファーは出していないです。
「だれか」がすごいより「PRIDE」がすごい、と思わせたい
世界一のイベントを目指す以上、あまり地味ではいけないので、ファンの期待以上のイベントの仕掛けを作っていこうとは思っています。(選手の)だれかがすごい、というよりもPRIDEというイベントがすごい、とまったくPRIDEを見たことがない人に思ってもらえるようなイベントに変えていきたいですね。今までは高田さんにかなりおんぶに抱っこという状態で、PRIDE.1からずっと前回までは「苦しいときの高田頼み」と高田さんに言われたこともありましたけど、高田さんが出ているPRIDE、桜庭が出ているPRIDEということで、PRIDEは知らなくても高田延彦は知っていて、桜庭和志は知っていて、という人がたくさんいたんですけど、今年からはそれを逆転させて、選手の名前は知らないけど、PRIDEというイベントは知っているよ、という層を確立させていくように一方ではしたいな、と。
もう一方では、コアなファンの層をもっともっと厚くしていけるような、本当に目の肥えたお客さんが見ても満足してもらえるようなクオリティーの選手を集めたい。そういう選手にお客さんを満足させるような試合をしてもらいたいと思います。そうすれば一般にも広がっていくだろうな、と思います。
地方のファンが開拓されて格闘技市場が醸成されていく
選手とイベント名を逆転させていかないとビジネス上、安定しないんですね。たとえば地方大会にしても名古屋で3回、福岡で2回やっていますけど、プロモーションに苦労しているんですね。PRIDEというイベントをやるよ、と言っても反応が思いっきりにぶいんですね。そこで出ている選手に高田延彦、桜庭和志という名前がないとイベントの価値がないみたいなイメージになっちゃうんですよ。でも本当はそこに出ている選手にクオリティーの高い選手はいっぱいいて、いい試合をする選手もいっぱいいるんですね。この間の福岡の試合は、最後の3つの試合に助けられたという部分があったんですけど、メーンイベント、セミ、第6試合は、本当にクオリティーの高い試合だと思うんですね。ああいう試合を、とりあえず訳が分からないけど見に行こうと思ってもらえる地方の人が必要なんです。それで市場が醸成されていくんだ、と思った部分があって。
選手が気持ちよく試合ができるような環境作りが仕事
桜庭が出てなくても、藤田(和之)が出てなくても、高田が出てなくても、PRIDEというイベントをとりあえず見てみよう、PRIDEというイベントに行けば期待を裏切らないだろう、そういうイベントにしていく必要性があると思います。でも今、関東圏の人たちは、関東圏でかなりイベントも開催しているので、そういう意味ではファンの人たちも理解していただいていると思うんですけど、本当に名古屋とか、福岡とか行くと理解度も違いますし、そういうところで選手に気持ちよく試合をしてもらいたいと思う気持ちがありますし。やっぱり沸くところも違いますし、お客さんの反応も違いますからね。だからくだらない部分で沸いてもいけないですし、ここで沸かなければ、というところで沸くようなイベントにしていくのが僕の仕事だと思います。それが選手にとっても一番励みにもなるでしょうし、試合もやりやすいでしょうし、そういう場所で勝てば本当に気持ちいいですし、そういう環境を提供するのが僕の仕事です。
■DSE(ドリームステージエンターテインメント)
1998年12月設立。現在の従業員は約10名。格闘技スピリッツ・レボリューションの略称であるKSRが前身。「PRIDE」で獲得した知名度を他のビジネスにも繋げるなど、団体ではなく舞台としてのスタンスを取っている。過去に蓄積した経験を活かし、2002年には「Dynamite!」や「INOKI−BOM BA−YE」(猪木祭)などのイベントも運営した。これまでに「PRIDE」のリングにはヒクソン・グレイシーをはじめとして、マーク・ケアー、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラなど時代の旬である選手を招聘。日本人からも、高田延彦、桜庭和志、藤田和之などの実力者たちをリングに上げた。K−1やプロレス界との交流戦も行い、格闘技界のクロスオーバーに大きく貢献。芸能界とのつながりも深く、リングサイドは数多くの有名人が詰めかける。03年に米ネバダ州での興行権を獲得。3月からは米国のPPV放送を拡大し、4000万世帯に向けて行うことが決定していた。資本金は約1億円、13年度の売り上げは約18億円
■森下直人(もりした・なおと)
格闘技イベント「PRIDE」を主催する株式会社「ドリームステージエンターテインメント(DSE)」代表取締役社長。60年6月10日、愛知県生まれ。学生時代のボクシング経験から格闘技マーケットなどを研究。大学でマーケティングの勉強を修めた後、家電量販店「エイデン」に勤務。店頭での販売員を経て、20代後半で広告宣伝担当責任者に。親会社のエイデンから宣伝部門が独立する時に34歳で代表取締役に就任。担当した「パーフェクTV!」(現在は「スカイパーフェクTV!」に)の立ち上げに関わり、キラーコンテンツとして「PRIDE.1」には財政面からサポート。「PRIDE.4」では番組の制作面からも携わり、98年12月、株式会社「ドリームステージエンターテインメント」を設立し、「PRIDE.5」から全面的に運営を始めた。98年12月、株式会社「ドリームステージエンターテインメント(DSE)」を設立。PRIDEの興行権を獲得した。日本で初めての格闘技によるPPV(ペイ・パー・ビュー〔料金を払っただけ番組を見られるというシステム〕)放送を実現させるなど、新しいコンテンツの創造、その権利を使ってのビジネス展開を図っていた。8月に同社が運営を行い、国立競技場で開催された「Dynamite!」では、1996年にPPV放送を開始してから史上最高となる10万件を突破していた(過去最高は2001年11月3日に東京ドームで行われたPRIDE17の約8万件)
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