「“フラット為替”と呼ばれるもので、一定期間中に一定水準でドルを購入する長期先物予約」の詳細についてが知らないが、実需が見えている範囲の先物予約ではなく、それを超えた期間と額の外国為替先物予約のようだ。
この取り引きを行っている銀行側も損失を被ることはあるのだろうが、銀行側は取引相手が多数であり外国為替取引を超長期にわたって行うから損益とも緩和できる。
手数料収入だけでいいと割り切れば、リスク管理さえきちんと行っていれば、手数料収入を超えるほどの損失を被ることは防止できる。
大きな損を被ったり大きな益を得るのは輸入企業である。銀行は数多くの輸入企業との同種取引でリスクを調整できるが、個別輸入企業は、張った目と違う目が出たら、損失を避けようがない。
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Re: “フラット為替”取引の銀行側の論理 投稿者 あっしら 日時 2002 年 7 月 15 日
今回のドル安傾向で、“フラット為替”取引を売り込んだ銀行は、“思わぬ”利益を手に入れてウハウハというところだろう。
愚かでない銀行であれば、一時的な余録と考えるだろうが...
邦銀がどれほどドルを売ってきたかは知らないが、円安局面で“フラット為替”取引を大量に売り込み、その後ドル安傾向を煽る取引を行ってきたとしたら、オミゴトだ。
輸入企業はドル高期にドルを仕入れドル安期の今ドルを買えない状況で、銀行はドル安大歓迎という構図であれば、ドル安傾向がしばらくは続くかも知れない。
>ドル/円がディスカウント体系になっていることから、スポット水準よりも安くドルを買うことができ、ドルの先高観が強い場面では、こうした取り組みが出やすいとされている。外銀は、長期にわたる国内企業への与信が難しいことから、専ら邦銀を中心に輸入企業に売りこまれた取引とされるが、輸入企業にとっては、為替のコストが確定するため、将来的な収益計画が立てやすくなるメリットがあるという。
円安局面で大量の“フラット為替”取り引きを行った輸入企業は、「ドル/円がディスカウント体系になっている」意味を理解していないようだ。それどころか、デフレの意味も理解していないと思われる。
外国為替レートの先行き相場を見通すことは難しいが、大局的な論理に逆らう相場傾向は長続きしない。
現時点で、半年程度の賭けであれば理解できるが、大局的な論理に逆らう相場傾向に数年にもわたって予約を行うというのは常軌を逸している。
(日本経済の先行きにそれだけ自信がないということなのだろうが...)
世界経済が大混迷期に入っているという自覚がないようだ。
「輸入企業にとっては、為替のコストが確定するため、将来的な収益計画が立てやすくなるメリットがある」と考えているようなら、会社をたたんだ方がいい。
“為替のコスト”という表現は誤っている。日本円の米ドル転換レートが確定するだけで、日本円ベースでのコストの多寡は実需の決済時のレートで初めてわかるものである。
そういうものでありながら、「将来的な収益計画が立てやすくなるメリット」というのは大笑いである。
ドルを買うために必要な日本円額の将来的な計画が立てられるというだけであって、将来的な“収益”計画が立てやすくなるわけではない。
変動相場制とはそういうものである。
銀行ではない経済主体が、銀行と同じように通貨で通貨を稼ぐようなことにのめり込めば、リスク管理ができないのだから、期待した利益が出ることもあるとしても、予期せぬ大損失を被ることになる。
参照記事:
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外為市場で円高進行、“フラット為替”の取り組みで輸入企業にも頭痛の種[東京15日ロイター] 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 7 月 15 日 18:11:29:
外為市場では、ドル/円が下げ止まらない状況のなか、ドルの116円割れも目前となった。円高進行は輸出企業の収益にとって打撃となるが、円の先安感が強かった今年1─3月期を中心に取引された長期先物予約取引が、輸入企業の財務担当者の頭を悩ませている。外為関係者によると、この取引は“フラット為替” と呼ばれるもので、一定期間中に一定水準でドルを購入する長期先物予約。この円高局面で、取引解消の打診を受ける邦銀もあるという。経常収支でも明らかなように、輸入の前年同月比マイナスが続くなか、“需要の先食い”が行われたとの声もあり、一段のドル安局面でも、輸入筋からの積極的なドルの押し目買いは期待しにくい状況だという。
外為市場では、6月中の通貨当局によるドル買い/円売り介入にもかかわらず、ドル/円の下落基調が継続している。本来、輸入企業にとって円高進行は、企業収益へプラスに働きかける要因となるが、今年上旬に“フラット為替”を手がけた輸入企業においては、足元での円高進行は悩ましい動きとなっているもよう。
関係者によると、“フラット為替”とは、3年や5年、長ければ10年にもわたる一定期間、一定水準でドルを買うことができる先物予約を指すが、クーポン・スワップを使用したものや、通貨オプションを組み込み、レバレッジ効果を付加したものもあるという。
ドル/円がディスカウント体系になっていることから、スポット水準よりも安くドルを買うことができ、ドルの先高観が強い場面では、こうした取り組みが出やすいとされている。外銀は、長期にわたる国内企業への与信が難しいことから、専ら邦銀を中心に輸入企業に売りこまれた取引とされるが、輸入企業にとっては、為替のコストが確定するため、将来的な収益計画が立てやすくなるメリットがあるという。
こうした取引が目立って観測されたのは、円の先安感が強まった1─3月期が中心だというが、4月以降130円を割り込んだ局面でも多く観測され、現在に至っても、取引意欲を示す輸入企業があるという。
「わが社は取り組んでいないが、128円付近などで“フラット為替”を取り組んだ輸入企業もあることから、ドルの一段安の局面でも、積極的な実需筋からの押し目買いも出にくいのではないか」──。
あるメーカーの財務担当者が指摘するように、輸入企業のなかには、現在のスポットでのドル/円の水準よりもかなり円安水準で、長期ドル買い予約に取り組んだ企業もある。
15日朝方に5月経常収支が発表されたが、輸入が前年同月比でマイナス4.6%となり、8カ月連続で黒字幅が拡大する結果となった。輸入の前年同月比マイナスが10カ月連続となるなか、市場関係者の間からは、“需要の先食い”との声が聞かれている。
実際、市場では、「4月以降のドル安/円高の流れのなか、125円付近、120円付近と下がる過程で既にドルを買った輸入企業も多く、ここに来て大口でのドル買い意欲は後退している」(外銀)という。
ある邦銀の関係者は、「電力会社など、コンスタントにドル買いニーズが発生する企業などが長期間一定の価格でドルを買う先物予約を行うのが普通だ。ロット的には小ロットでの取り組みが多く、それほどマーケットインパクトがあるという取引ではない」としながらも、「通貨オプションを組み込みレバレッジ効果を狙った取引のなかには、ある一定水準以上円高に振れた場合には、実需として想定していた金額の2倍分ドルを買わなければならないような仕組みもあり、一段の円高進行でオーバーヘッジに陥る輸入企業も出てくるはずだ」と指摘する。
ドル/円がジリジリと下げるなか、「なかには、手数料を払ってでも“フラット為替”を解消したいという輸入企業も出てきている」(別の関係者)というように、一段の円安シナリオを警戒していた輸入企業のなかにも、相場観を修正する動きも見られ始めている。
市場では、「将来のキャッシュフロー全てを予想し、為替予約を行っている輸入企業はほとんどなく、これからもドル/円が下がれば、未ヘッジ分をヘッジしてくるはずだ」(国内金融機関)との声もある。
しかし、「通常よりもオーバーヘッジになってしまっている輸入企業もあるとみられ、そうした企業は身動きが取れないのではないか」(上位都銀)ともみられている。
「過去に、ドルの10年先物予約で巨額の為替差損を出した航空会社もあったが、それに近いスキームだ」(邦銀)との指摘もあるなか、一段の円高進行で頭を悩ませるのは、輸出企業だけではないようだ。