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予算財務省原案 見えぬ成長力強化の戦略

 二〇〇九年度予算の財務省原案が内示された。世界的な金融危機による経済状況の悪化を受け、景気対策を最優先するとともに、衰退が懸念される地方へ配慮して自治体に配る地方交付税を増やしたため、過去最大規模の大型予算となった。

 麻生太郎首相にとって初めての当初予算案である。今年は原案内示後に従来のような復活折衝は行わない。今後、麻生首相が中心となり、重要課題推進枠と調整財源の計三千五百三十億円の配分を決め、二十四日に政府案を決定する。

 一般会計の総額は前年度当初予算に比べ6・6%増の八十八兆五千四百八十億円に膨らんだ。「霞が関の埋蔵金」と呼ばれる特別会計の積立金を六兆円余り取り崩すなど税外収入をかき集めたが、不況による税収の大幅減が見込まれる。

 このため新規国債発行額は前年度当初より約八兆円も多い三十三兆二千九百四十億円と四年ぶりに三十兆円を超える。財務省原案の特徴は、埋蔵金と赤字国債でひねり出した大型予算といえる。

 一般会計に占める国債発行額の割合(国債依存度)は、前年度の30・5%から37・6%に悪化した。未曾有の経済危機克服という大義名分の元で、財政健全化の道は一気に遠のいた。

 経済危機が深刻化する中でやむを得ない面はあるが、次期衆院選をにらんだ思惑も感じられる。このままなし崩し的に財政規律が緩んでいかないよう、注視する必要がある。

 最大の焦点は、どういう経済対策を打ち出すかだった。機動的に使える一兆円の経済緊急対応予備費を新設し、地方交付税は自治体が自由に雇用対策などを実施できるよう一兆円を加算した。

 要望が根強い道路整備費は9・2%減の二兆四千五百三十三億円にとどめた。少子高齢化で将来の需要予測を下方修正した関係上、妥当な対応だろう。

 低炭素社会の実現と経済成長の両立を目指し、新エネルギーや省エネ推進を重視した。家庭用太陽光発電の補助金として二百億円を盛り込んだ。燃料電池の導入支援には六十億円を新規に計上した。

 方向性は評価できるが、力強さに欠け中長期的な成長戦略が感じられない。農業の生産拡大策も乏しい。世界的に資源、食料の獲得競争は激化するだろう。不況克服に向けた経済対策として、こういう分野の基盤強化こそ大胆に取り組むべきだが、残念と言わざるを得ない。


空自撤収 重要なイラク派遣の検証

 イラク復興支援特別措置法に基づくイラクでの空輸活動を終えた航空自衛隊派遣部隊のC130輸送機三機が、所属する愛知県の空自小牧基地へ帰還を始めている。全員の無事帰国を祈りたい。

 空自部隊は、二〇〇四年三月からイラクでの活動を始め、今年十一月に撤収命令が出されていた。空自部隊の撤収で、イラクでの自衛隊活動は完全に終了する。

 派遣部隊の輸送機は、クウェートのアリ・アルサレム空軍基地を拠点に、陸上自衛隊が駐留したイラク南部のサマワや首都バグダッドなどへ合計八百二十一回飛行し、約四万六千人を運んだ。うち三万人以上が米兵を中心とする多国籍軍の兵士とみられている。

 国連の潘基文事務総長は空自撤収に関し、麻生太郎首相に「日本政府の重要な貢献に感謝する」との親書を届けた。日本の貢献が評価されたが、自衛隊のイラク派遣は憲法に触れる問題が横たわる。今年四月の名古屋高裁判決は、バグダッドをイラク特措法で自衛隊の活動を禁じた「戦闘地域」と認定し、多国籍軍兵士の輸送は「他国の武力行使と一体化し、憲法九条に違反する」との判断を示した。

 そもそも、米国のイラク攻撃開始の根拠とされたフセイン政権の大量破壊兵器は発見されず、米政府は誤りを認めた。戦争の大義が失われたにもかかわらず、イラク戦争を支持した日本政府はいまだにきちんと総括していない。

 防衛省は、部隊派遣中、危険を及ぼすと積極的に情報を公開してこなかった。撤収を機に、最大限活動実績を開示し、派遣の意義や問題点などについて検証すべきである。憲法で許される自衛隊海外派遣の在り方をめぐり、冷静な議論が大切だ。

(2008年12月21日掲載)
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