東京都江戸川区の運送会社役員、栩野(とちの)雅晴さん(当時66歳)が06年、静岡県富士市の山林で遺体で見つかった事件で、警視庁捜査1課と小松川署は21日、栩野さんが勤めていた運送会社元社長、寺岡誠吉容疑者(71)、元暴力団幹部、野崎稔被告(51)=別の逮捕監禁事件で起訴=ら6人を死体遺棄容疑で逮捕した。
調べでは、寺岡容疑者らは06年9月7日ごろ、栩野さんを都内で拉致し、遺体をシートにくるみ富士市の山林に遺棄した疑い。栩野さんは港区の法律事務所を出た後に行方不明になり、約3週間後に遺体で見つかった。
捜査1課は、寺岡容疑者が知り合いの男2人を介して野崎容疑者に栩野さん殺害を依頼、野崎容疑者が別の窃盗事件で服役中の男(27)ら2人と一緒に拉致後に殺害したとみて殺人容疑でも調べる。
関係者によると、栩野さんは寺岡容疑者と古くからの知り合いで、02年ごろ運送会社の役員に就き、会社の倉庫用地の取得などを担当していた。だが取引の進め方などを巡り寺岡容疑者と次第に対立。事件約3カ月前には、栩野さんが契約した千葉県佐倉市の土地の名義などを巡り、トラブルになっていたという。
栩野さんには、運送会社が総額約1億円の保険を掛けていたことが判明している。保険金は死亡時に会社と遺族が折半することになっていたが、遺族の同意がないためまだ支払われていない。捜査1課はその経緯についても寺岡容疑者から詳しく事情を聴く方針。【佐々木洋、古関俊樹、神澤龍二】
毎日新聞 2008年11月21日 15時00分(最終更新 11月21日 15時00分)