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【書評】『人間として生きてほしいから』笹川陽平著 (2/2ページ)
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「ハンセン病との闘いは医学面での闘いではない。病気としてのハンセン病は治っても、なお拭(ぬぐ)いきれない偏見と差別が厳然として存在しているのだ。この偏見と差別の解消なくして真の解決はない」と書く著者の姿からは、人間としての尊厳を大切に思う昔の日本の武士のような気魄(きはく)が透けてみえる。著者のようにスケールの大きな日本人がいるのだとしたら、まだまだ日本も捨てたものではないと安心するのは、私一人ではないだろう。(海竜社・1575円)
評・工藤美代子(ノンフィクション作家)
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【プロフィル】笹川陽平
ささがわ・ようへい 昭和14年、東京都生まれ。日本財団会長、WHOハンセン病制圧特別大使。