社会
暴力団員も裁判員に? 法に規定なし、排除できず
開始まで五カ月に迫った裁判員制度で、暴力団組員が裁判員に選ばれる可能性があり、警察関係者らは懸念している。暴力団対策法で反社会的団体とする暴力団の情報について、警察庁は「裁判所から照会があれば対応は可能」とする。しかし、裁判員法が規定する排除対象には、暴力団組員が含まれておらず、最高裁は「個人情報を勝手に調べて排除することはできない」という立場だ。
裁判員法では、国会議員や知事、市町村長、警察官や自衛官などは裁判員に就くことができないと規定。県会議員や市会議員も、議会の会期中なら辞退できる。
逮捕、拘置中や受刑中の場合も除かれる。禁固以上の刑に服した者も対象外となるが、刑法の規定により刑期を終えて十年以上経過した場合などは、刑が効力を失うため裁判員の資格者となる。
しかし、裁判員法には暴力団に関する記述はない。警察庁によると、二〇〇七年末現在、指定暴力団の組員は約四万人。試算では国民約三百五十人に一人の割合で裁判員の候補者になるとされ、裁判員候補者名簿に相当数が記載されているとみられる。
各県警などは、暴対法の指定作業で、個々の組員を把握。こうした暴力団情報について、取り扱いに配慮しつつも、自治体や企業からの相談に応じ、一定の情報提供をしている。
ある地方裁判所の担当者は「面接などで暴力団組員であると分かれば、公正な判断ができないとして、裁判員に選ばれない可能性はある。しかし組員かどうかは、本人が申告しなければ裁判所では分からない」という。兵庫県警の捜査員は「被告が暴力団関係者の裁判で、組員が裁判員になれば、評議や判決に影響が出るのでは」と危惧(きぐ)する。
排除必要ない 渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)の話 裁判員の選任手続きでは、裁判長が候補者に対し、事件との利害関係がないか、不公平な裁判をする恐れがないか、面接で質問する。支障があれば、そこでチェックできる。暴力団員というだけであらかじめ排除することなどできないし、する必要もない。
適正なルール作りを 民事介入暴力問題に取り組んでいる垣添誠雄弁護士の話 国が反社会勢力として指定している暴力団の構成員が、公平中立な判断を求められる裁判に参加するというのは理解できない。治安上の問題だけでなく倫理的にもふさわしくない。国民の司法への信頼を失墜させる。適正なルールを作り、裁判所が検証できるようにするべきだ。
(12/20 14:15)
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