例えば、乗り物に乗ってどこかへ移動中の車内って、タイクツですか?ワクワクしますか?どんな風に過ごしますか?
私は、冬になると、雪道運転の自信があまりないほうなので、札幌などの遠方に出掛ける場合は、車ではなく、JRを使います。そのJRの車内では、到着まで、読みたかった「本」を数冊持参して読むこと、或いは、車窓からの景色を眺めながらウトウト居眠りすることが最高の楽しみなのであります!!
先週土曜日の師匠コンサートも、札幌までJRで行きました。僕の乗る駅は始発ではないので、すでに「満席」の場合がありますので、「行き」だけは「指定券」を買います。
で、14時11分の「北斗」に乗って、自分の指定券に書かれている番号のシートを探すと・・・、
すでに、僕の席にはオッサンが座っているではありませんか!
そのときの僕は、師匠のライブ参戦なので、ま、サングラスをかけて、結構イカツイ兄ちゃんスタイルな訳ですが、もともとが気が小さい為、「あ、そこ僕の席なんですけど!」と主張できなくはないですけど、ま、少し躊躇してしまう・・・・自分なのでありんす。
そしたら、オッサンのほうから、「あ、ココなの?ごめんね」とニッコリ。一つ窓側にずれてくれた。「ああ、いい人だぁぁぁ」と思って、僕も安心して、通路側の自分の席に座りました。
ここからが地獄?始まりなのであります。
「札幌までですか?」とオッサン。
「ええ」と私。
「いや、わたし、函館から乗ったんですけどね、1時間半、もうヒマでヒマで。お兄さん乗ってきてくれてよかった!」・・・
と、もう隣の席の私と「しゃべる気満々」なのであります。
そして、
「はい、これ飲みなさい・・」
と手渡されたモノ・・・・缶に入った、サントリーの水割りウイスキー「スーパーニッカ&ウォーター」なのであります。
ちなみに、もともと酒飲みではない私は、JRとか飛行機の移動中の飲酒経験がありません。床が動いている(落ち着かない)環境で飲めないのです。またそこまで飲みたいとも思いません。やはり、読書か昼寝をしたいのです。
あ~~、札幌までの平和な移動が・・・と少しウンザリ。
僕の座席前のテーブルを勝手に開いたオッサンは、そこに「スーパーニッカ&ウォーター」を置きながら、
「飲みなさい、飲んでいるウチに、そしてしゃべってるウチに札幌に着いちゃうから!!」
オッサンの熱意?と、真横の席なので逃げられない雰囲気に負けて、「そうですか?じゃ、いただきます」と缶を開け、オッサンと乾杯。
そこからが、オッサンのノンストップモードの会話が始まるのです。
実は、オッサンは、もう1時間半の退屈なJR車内で、かなり飲んで、できあがっており、言ってることも、どこまでが本当で、どこまでが冗談か分かりません。そのうち、私に耳打ちして、
「いいか、この国の経済がよくなるには、アイツ(首相)が辞めなきゃダメだ。あのな、ココだけの話、○○日に急に辞任する筋書きになっているから・・・」
えぇ??このオッサン、ナニモノ???正体が分からん。しかも、かなりアヤシイ・・・ 警戒モードをマックス状態にして、緊張するワタシ。
と、今度は、通りかかった車内販売の女性に、
「おねえさん、出身はどこ??」
とネコなで声で問いかけたと思うと、
「私ね、(車内販売の)あなたの会社の社長と友達だから、あなたの名前、伝えとくねん♪」
などと、調子よくやっているオッサン。
それにしても、私、さっきいただいた「スーパーニッカ&ウォーター」がキイてきたのか、だんだん酔ってきた。移動中の車内で飲んだのが初体験に近いし、しかも、ふだん飲み慣れないウイスキーなもんで・・・・ 頭がグラングランして・・・・。
(あ~~、1年ぶりの師匠ライブなのに!!楽しみにしてたのに、札幌で酔いつぶれてライブ行けなくなったら・・・・)
オッサン、、私の様子を察知して
「兄さん、あまり飲まんのだね・・・」
私「いえ、ふだんウイスキー飲まないもんだから。焼酎とかなら呑んでいるんですけど・・・」
と、そこへ車内販売のさっきの女性が通り、
オッサン「あ、すみません。缶酎ハイ2本と、さっきと同じウイスキー2本、あと、チョコレートと、チップススターくれる??」
通路側の私を挟んで、オッサンと車内販売の女性のやりとりを見つめながら・・・
(も、もしかして、缶酎ハイ2本って、俺にくれるの???)
案の定、
「さ、呑みたまえ!先輩!!大いに呑もう!!先輩!!」
いつのまにか、僕は「先輩」と呼ばれている。
オッサン「先輩は、何やってる人??お役所関係でしょ??」
私「どうしてですか?」
オッサン「しゃべり方とか固いもん。」
サングラスをはずさないで、イカツイみのや師匠を演じてるつもりの私、、、でも、オッサンから見れば、「固い仕事」に見えるらしい・・・
それにしても、オッサンに自分の職業を聞かれて、僕は戸惑った。師匠もライブでも言ってたけど、見ず知らずの人に、「はい、お坊さんなんです、こう見えても・・」と説明するのが邪魔くさい。かといって、トッサに違う別の職業をでっちあげるアドリブも考えていなかった。「オロロン仮面です!」とも言えんし・・・(笑)
で、ウソの職業が浮かばない僕は、オッサンに「稼業を継いでおりますけど、何の職業かは、ここでは言いたくありません・・・・」(←この答え方自体、すでに私、酔っております)
オッサン「こっちだって、本気できいていないから、適当に答えとけばいいんだよ!そんなもん。たとえば、ヤ○ザですっ!てさ!」
私もまぬけに、「じゃ、ハイ、ヤ○ザです・・・」
オッサン「先輩。面白いな!呑もう!ポテトチップも、チョコも、ホラ食べなさいってぇぇぇ、ハハハハハ!!!」
僕も、本当に酔ってきて、オッサンのペースにのせられて、39歳なのに独身であること、音楽をやっていること、これから師匠のコンサートに行くこと。。。。結構正直にしゃべってしまった。
オッサンも、正体を明かさない私なのに
「俺は、函館で○○○をやっている。今度、函館来たら、ここに電話しろ。うまい寿司屋に連れて行ってやる!」
と、チップスターのフタの裏側に、自分の名前と携帯番号をサラサラと書いた。(後日、ネットで、その名前を調べたら、函館にその○○○は存在した!!ウソじゃなかったのだ。オッサンごめんなさい。♪疑うことを知らずにいつも信じていたぁ~~~な私じゃなくて。。)
やっと札幌が近づくと、オッサンが
「いやぁぁ、先輩のお陰で、楽しかった。あっという間に札幌に着いた。ありがとね。これ、さっき買ったんだけど、いっぱいあるから持ってって!!」
と足もとの袋から、「長万部名物 かにめし弁当」を取り出し、どど~~んと僕のテーブルに置いた!!
「いえいえいえいえいえいえ、こんな高価なモノ、いただけませんって!!!」
必死に辞退する私。(理由は、この時点で、すでに、お酒や酎ハイなどを4本ご馳走になっている上に、かにめし弁当までもらえるとなると、話がうますぎる!!このあと、裏があり、札幌駅に着いたとたんに、どこかに拉致されるのではないか??仲間がいるのではないか???なによりも師匠のコンサートに行けなくなってしまうのではないか????)
酔っているアタマで、僕は、「警戒モード」を強めてしまう。
そうすると、オッサン、足下の袋から、「かにめし弁当」をさらにもう一個出して、テーブルの上に重ねた!
「もう一個、もってって!!」
「いえいえいえいえ、1個のみならず、2個だなんて。私。これから、コンサートですし、いや、もったいないですって!!!!!」
「ほら、はやく鞄にしまいなさい、あ、この開けてないウイスキーと酎ハイも、あと、これ、チョコと、これも、鞄に入れなさい!」
いただけるモノはいただいてしまう「お坊さん」の私・・・は、
「それでは、遠慮無く・・・・」(結局もらうんかい!!)
オシャレなPPFMの鞄をかにめし弁当2個などを入れて“パンパン”に膨らましながら・・・、
札幌駅に到着。オッサンは改札口に消えて行った。僕は、オッサンが見えなくなるまで見送った。オッサンは一度もふり返らなかったけど・・・。
僕は、拉致されることなく、午後4時にホテルにチェックイン。5時になったら師匠のコンサート会場であるZeppに向かう予定で、約1時間。
ポツンと、ホテルの部屋にひとり。。。「かにめし弁当」を食べた(笑)
その後の事は、前のブログに書いた通りだけれど、翌朝まで、友達と呑んだり、師匠に会えちゃったり・・・・一睡もしないで、ホテルに7時に戻り、朝のJRで帰る為に用意する。
そこで、思いだしたんだ・・・
「かにめし弁当」がもう一個あったことを。
しかも、冷蔵庫に入れてしまってたことを・・・・・
朝食がわりに、僕は、かちんこちんになった「かにめし弁当」を、割り箸をポキッとヘシ折りながらもなんとか食べた。
まずかった・・・・。
やはり、JRの移動は、ひとりぼっちで、読書か、居眠りがイイな・・・・
札幌からの「帰り」。
一睡もしていない僕は、「自由席」の車両に乗り、発車の時刻を待っていた。かなり眠くて 「到着まで眠ろうか・・」という気分。
すると、僕のいる前の席にやってきた「人物」が!!!(昨日のオッサンじゃないよ。)
僕の小学校時代の同級生で、今は、鹿児島県の某大学の「准教授」になっているヒロちゃんだった!!!!!
なんたる奇遇!!何年ぶりだろう!!
嬉しくなった僕は、前の席のヒロちゃんに
「ヒロちゃん・・・・だよね・・・・・」
と話しかける。すると、しばらくの間があって・・・
「あぁぁぁぁ!!こんぴぃぃぃ!!!」
僕の「小学校時代のニックネーム」を車内で大声で叫んでくれたヒロちゃんと、同じ故郷の駅までの1時間30分。積もる話をしてしまった。
サングラスのイカツイいでたちの僕に、最初は分からなかったそうで。。。ヒロちゃんは、准教授として札幌での「学会」に出席し、帰り1泊だけ、故郷の実家に寄っていくところだった。
以上、
先週末の師匠コンサートの為に乗ったJRでは、
行きと帰り、こんな思わぬ出逢いがあった。
これも、「JR移動」の醍醐味か・・・・。
しばらくは、「かにめし」は食べたくない・・・。
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