気候変動といえば地球温暖化やヒートアイランド現象、渇水などが思い浮かぶが、もう一つ、都市部を中心に乾燥化が進んでいるそうだ。
お天気キャスター森田正光さんの「知っておきたい いまどきお天気事情」によれば東京で百年前に65―70%だった一月の平均湿度が近年は50%を切っている。主因は自然の状態の土が減ったこと。二十三区内の人工的地表面は一九三〇年代の五倍に増えた。
緑地は当時の半分になった。気温上昇の影響もあるという。気象庁のデータをみると岡山市も同じで、明治以来ずっと70%台だった年平均湿度が近年は60%台で推移している。途中で観測場所が動いた事情があり広島市や高松市の数値もみたのだが、同じ傾向だった。
例年より早くインフルエンザの流行が始まったと、国立感染症研究所が発表した。八七年の調査開始以来、三番目に早い全国流行入りと伝えられる。
森田さんの本は、乾燥状態であればあるほどインフルエンザウイルスは元気を増すと指摘する。逆に人間は乾燥に弱く、のどの働きが鈍ってウイルスに対し「玄関を開け放っている状態」になる。
だから、うがいが欠かせない。ワクチン接種も大切だ。人間自身がウイルスに住みよい環境を与えていることを念頭に置き、気をつけたいものである。