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「萌え米」高齢化の町救う、ひと月で2年分販売 秋田(2/2ページ)

2008年12月18日16時54分

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写真出荷作業が続く配送センター=秋田県羽後町のJAうご、田中写す

写真あきたこまちの米袋には、美少女が描かれた

写真羽後町の天然記念物「元城のケンポナシ」のPRポスター

図秋田県羽後町の位置

 佐々木さんは商店街の夏祭りを思い出した。不景気で運営資金が集まらず、06年を最後に中止が決まった。それでも有志の店主らが新たな祭りを計画していた。「ヒントになるかも」と山内さんを商店街の会合に連れていった。

 「盆踊りの美少女イラストコンテストを開きませんか」。山内さんは自作イラストを掲げ、訴えた。「萌え?」「美少女?」。店主らは戸惑ったが、「盆踊りが前面に出るなら」と受け入れた。

 こうして昨年7月、夏祭りでコンテストが催された。その後、住民の提案で、景勝地や特産品などとイラストを組み合わせたポスターが16種類作られた。これが米袋につながった。

 今年10月には地元の酒店が西又さんの作品を使った焼酎を発売した。新郎新婦が馬そりで峠を越える冬の行事「花嫁道中」が題材だ。長崎県から買いに来る人もいて限定千本が3週間で売り切れた。

 「萌え米」の発売前、「中身は捨てられてしまうのでは」とささやかれていた。しかし、JAには「おいしかった」「初めて炊飯器を買った」といった感想がメールで寄せられている。

 県外ナンバーの車も町でよく見られるようになった。ポスターに描かれた観光地を回る人たちだ。「想像と違って礼儀正しく明るい青年たちだ」と住民の評判も上々だ。土産物屋「ながや」の佐藤良友店長(54)は「町が少しずつ元気になってきた」と言う。

 山内さんは大学時代、全国を放浪した。各地のそばの名店より西馬音内そばがおいしく、世界遺産の岐阜県白川郷の合掌造り集落を見ても、「故郷の茅葺(かや・ぶ)きも負けていない」と思えた。

 「美少女だけでは注目されなかったと思う。インパクトのある『資源』が町にあったからこそできた」(田中祐也)

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