トップ > 東京 > 12月17日の記事一覧 > 記事
【東京】財源確保 危うさ指摘も 日の出町 後期高齢者医療費無料に2008年12月17日
「あれほど町民の皆さんに喜ばれた記憶はありません」。来年四月から、七十五歳以上の高齢者の自己負担分の医療費を無料化するという思い切った施策を実施する日の出町。青木国太郎町長は、構想を“サプライズ発表”した九月の敬老福祉大会での町民らの反応を振り返る。 同町の後期高齢者医療制度の被保険者は約千八百七十人。町内に三年以上住んでいれば今まで自己負担していた医療費は全額、町が支払うことになる。全国でも珍しい取り組みだ。青木町長は「家庭や地域で尽力されたお年寄りに感謝の気持ちを込めて」とその狙いを話す。 「日本一お年寄りにやさしい町づくり」を目標に掲げる町長の理念に真っ向から反対を唱える声は聞こえてこない。だが危うさを指摘する意見はある。十二月町議会では「将来も続けられる制度なのか」との疑問も出て、全会一致での条例案可決とはならなかった。 町の試算では、来年度の医療費の自己負担分は約八千五百万円。町内の大型ショッピングモールなどから見込まれる固定資産税を財源に充てる。しかし、継続的に商業施設からの税収に頼ろうとする姿勢には、町民から「町の財政は大丈夫?」との声が聞かれるのも事実だ。 青木町長は「お年寄りが元気であることが基本」と強調。条例には、お年寄りのスポーツ振興を進めることも記し、医療費が町財政を圧迫しないような政策も併せて充実させていくとしている。 方針発表以降、同町には全国から視察団が訪れるようになった。「お年寄りに優しい町づくり」という理念は誰もがひかれる。それがどのような成果をもたらすのか、今後も検証を続けたい。 (布施谷航) 【お年寄りにやさしい福祉基本条例】 12月町議会で可決。後期高齢者医療費の自己負担分無料化を盛り込む。このほか75歳になる住民が受ける人間ドックの受診料を無料化▽「健康教室」でお年寄り向けスポーツを支援する−などが柱。
|