クーデター謀議はねつ造、逮捕の内務省職員ら釈放　イラク

バグダッド（ＣＮＮ）　イラク内務省の高官ら２０人以上が最近、旧フセイン政権の支配政党バース党の再建を謀ったなどとして逮捕された問題で、ボラニ内相は１９日、嫌疑がねつ造され、証拠不十分として全員を釈放したことを明らかにした。

逮捕は、来年１月３１日に予定する地方評議会選挙をにらみ、内務省を攻撃する政治的思惑が絡んだものとも主張、イラクの混乱を狙った外国勢力が関与した可能性もあるとした。内相はまた、首相府から内務省内でテロ謀議が進められているとの情報を得て、捜査を進めていたことも明らかにした。

首相府の報道官は１８日、逮捕者はバース党のメンバーの行動を支援していたと主張していた。今回の逮捕では、マリキ政権打倒のクーデター計画を進めていたとの見方もあったが、ボラニ内相は「空想」と否定。逮捕者は交通警官など低級職員が多く、治安作戦に大きな権限を持つ者はいなかったという。国防省の職員も逮捕されていた。

イラク駐留米軍当局者はＣＮＮに対し、今回の逮捕劇にはマリキ首相が絡んでいると述べたが、真偽は不明。内相は、首相を直接批判しなかった。首相も内相もイスラム教シーア派だが、内相は新党結成に動いているともされる。

バース党は、２００３年の米軍事作戦で旧フセイン政権が崩壊後、非合法化され、米軍の指名手配リストに載っていた党幹部らが逮捕もされている。米軍事作戦で逮捕、処刑されたフセイン元大統領はスンニ派を重用した。

イラクでは地方選を前に、シーア派とスンニ派の間の駆け引きのほか、権力闘争をめぐるシーア派組織間の綱引きも強まっているとされる。