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2008年12月20日

 経済に「底を打つ」との表現がある。暦で言えば「冬至」のようなものか。これ以上は悪くも、暗くもならないと確信できれば希望がわく

あすはその冬至。ことしは「一陽来復(いちようらいふく)」の言葉がとりわけ身にしみる。春が来るとの意味以外に、物事が好転する時にも使う言葉だからだ。経済はまだ底知れぬ様相だが、暗くても、冬至のように「底を打った」と言えるようになれば救いがある

クリスマスや春の復活祭も冬至と無関係ではなく、エジプトなどの王権交代も冬至とかかわっていると説く学者もいる。古今東西、太陽の回復を待ち望む心理は強烈で「復活」や「一陽来復」は個人の願いに留まらず、国家の意思にまでなったのだろう

瑞穂の国の大切な祭祀である新嘗祭(にいなめさい)は現在11月の行事だが、旧暦では今ごろの冬至の前になる。能登各地に残る「あえのこと」も新嘗祭系の民俗行事で、一年の収穫に感謝しながら、来たる年の豊作を祈る

が、本当の寒さは冬至から始まる。「一陽来復」は春の兆しであって春そのものではない。経済も今が我慢のしどころ。来年の反転攻勢への備えを忘れないでおきたい。


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