第二の故郷求めた心の旅
沖縄は本島およびその周辺の離島百十七島(有人島二十八島)と本島の南の「先島」と呼
ばれる宮古・八重山四十四島(有人島二十島)から成る。
ウルマはこれらの島々の総称である。ウルは「砂地」、マは「土地もしくは島」とも考え
られているが、先島の古老たちはおおむねウルを「さんご礁」、マを「島」と解釈し、ウル
マを「さんご礁の島」と訳す。
先島はかつて沖縄本島との交通の便が極めて悪く、しかも本島から長く差別的搾取を受け
続けたため、先島にとって沖縄本島は異国の感さえある。それゆえにも、先島では沖縄本島
へ行くことを「沖縄へ行く」と今でも言う。
沖縄本島と先島に最も共通しているものは自然に神を見る信仰心だ。それは昭和三十年代
半ばまで本土の村落共同体の主軸を成していたものでもある。いわば本土の故郷の原形を沖縄はまだ根強く保持しているのだ。
だが、本土の経済至上主義の荒波をかぶってその信仰心が薄れ、自然が破壊され、人心が荒廃してゆく傾向は否めない、。沖縄が本土の轍を踏むならば、それは本土の故郷喪失者にとって二度目の故郷喪失を意味する。「ウルマの風」はそんな危惧を抱きながら第二の故郷を沖縄に求めた、我が心の旅でもある。
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