ウルマの風
松田建一著・A5判・228頁・上製本・オールカラー・定価3,200円

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ウルマの風

米軍基地という日本の重荷をほぼ一身に背負い、経済最優先の時流に呑み込まれながらも、なお沖縄が沖縄らしくあることとは何か。
沖縄の島々の光と影を写真と文章で浮き彫りにする迫真のルポルタージュ。



目次
発刊によせて 渡辺良正

序章
  • 沖縄へ
沖縄本島
  • キクの面影
  • 沖縄市の歌姫
  • 恵みの雨のごとく
  • 後世への責務
宮古島・伊良部島
  • 孤高の島
  • オバーの涙
  • ユークイ前夜祭
  • 敬天愛人
  • アギヤー
  • 紫の海肌
  • あにおとうと
  • 最後の砦
  • 一蓮托生
  • ヒダガンニガイ
  • 命の限り
  • ああ、伊良部よ
  • 真っ赤な太陽
  • 魂泣く
  • ユヤナウレ

与那国島
  • 与那国島へ
  • 女酋長イスバ
  • ウニトラ無情
  • 屈辱の連鎖
  • 風に吹かれて
  • イヌガン
  • イチマンマブイ
  • 平成のウニトラ
波照間島
  • 波照間島へ
  • 心の傷
  • 赤蜂の蜂起
  • 愛別離苦
  • 原郷の花
  • フサッター
  • ユイマール
  • きび刈り
西表島
  • 西表島へ
  • フーキ
  • 心の闇
  • フダチミ
  • ニライ・カナイ
  • アンガマ踊り
  • 負の遺産
  • ミルク
  • オホホ
  • ガーリーの花
  • スネカマイ
  • マブイ織

竹富島
  • うつぐみの島
  • タナドゥイ
黒島
  • サフ島
  • ヲナリ神
小浜島
  • 果報の島
  • 異形の神
石垣島
  • 生命の結晶
多良間島・水納島
  • 多良間島へ
  • 王国愛惜
  • 多良間慕情
レクイエム
  • 天架きる橋
  • 石笛のうた
マブイの故郷
−あとがきにかえて
 
主要参考文献

 


立ち読みコーナー

第二の故郷求めた心の旅

 沖縄は本島およびその周辺の離島百十七島(有人島二十八島)と本島の南の「先島」と呼
ばれる宮古・八重山四十四島(有人島二十島)から成る。
 ウルマはこれらの島々の総称である。ウルは「砂地」、マは「土地もしくは島」とも考え
られているが、先島の古老たちはおおむねウルを「さんご礁」、マを「島」と解釈し、ウル
マを「さんご礁の島」と訳す。
 先島はかつて沖縄本島との交通の便が極めて悪く、しかも本島から長く差別的搾取を受け
続けたため、先島にとって沖縄本島は異国の感さえある。それゆえにも、先島では沖縄本島
へ行くことを「沖縄へ行く」と今でも言う。
 沖縄本島と先島に最も共通しているものは自然に神を見る信仰心だ。それは昭和三十年代
半ばまで本土の村落共同体の主軸を成していたものでもある。いわば本土の故郷の原形を沖縄はまだ根強く保持しているのだ。
 だが、本土の経済至上主義の荒波をかぶってその信仰心が薄れ、自然が破壊され、人心が荒廃してゆく傾向は否めない、。沖縄が本土の轍を踏むならば、それは本土の故郷喪失者にとって二度目の故郷喪失を意味する。「ウルマの風」はそんな危惧を抱きながら第二の故郷を沖縄に求めた、我が心の旅でもある。


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著者略歴

松田 建一(まつだ けんいち)

昭和27(1952)年1月高知県三原村生まれ。写真家・ルポルタージュ作家。三原村在住。
昭和58(1983)年立教大学大学院修士課程修了。平成8(1996)年大学教員を経て、同郷の野町和嘉氏に師事し、念願であったフリーランスの写真家・ルポルタージュ作家となる。
著書に『光る風 四国最南端の村』『カムイの歌』『海の呼び声、地の果ての声』(高知新聞社)がある。





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