電脳猫突撃レポート −ET2008−

電脳猫突撃レポート −ET2008−

わたしたちは何によって生き延びられるのか?

みわよしこ  2008/12/15

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確かな仕事の強さ−ガイオ・テクノロジー
「VECU-G」「MC-Checker」

 ガイオ・テクノロジーは、テストツールに強みを持っている。徹底した機能安全が求められる車載用途では、テストの重要性は高まりこそすれ低くなることはない。

 今回の展示で、筆者は仮想ECU(Electronic Control Unit)検証ソリューション「VECU-G」と、モデルベース開発・モデル/コード一致性確認ツール「MC-Checker」に注目した。

 「VECU-G」は、ECU仕様設計の段階で実コードによるECU動作検証を実現するというもの。ECUの開発では、「実車テスト以前に不具合をなくす」ことへの要求が強い。製品出荷が近づいた段階で不具合が判明した場合、手戻りによるコストは莫大なものになるからである。もちろん、最終的には実機テストが必要である。現在は、ECU基板が試作された後であれば、HILS(Hardware-In-the-Loop Simulator)をはじめとするハードウェアによってECU制御ソフトウェアの実行を行うことが可能であるが、「VECU-G」を導入することで、ソフトウェアのロジックや仮想ハードウェアの設計の正しさが、設計の早期段階で判明するという(画像9)

画像9 VECU-Gの画面

 「MC-Checker」は、MATLAB/Simulinkを使用したモデリングの段階で、マイコンコアシミュレータを用いてモデルと開発したコードの動作を比較し、コードの妥当性を評価するというもの。「妥当なコードであるが正しく動作しない」という結果が許容されない制御系ソフトウェアにおいては、モデリングに近い段階でコードの妥当性が評価されているべきなのである。妥当性の内容には、モデルとコードの一致、生成されたコードの正しさだけではなく、処理が実際に正しく、許容される範囲で、許容されるタイミングで行われているかどうかも含まれる(画像10)(画像11)

 
画像10 MC-Checkerの画面(その1)
画像11 MC-Checkerの画面(その2)

関連リンク:
ユーザーと育てたシミュレータで手戻り削減−@IT MONOist「組み込み開発」
http://monoist.atmarkit.co.jp/fembedded/19gaio/gaio01.html
自動車・OA機器開発で注目の“実機レス”検証−@IT MONOist「組み込み開発」
http://monoist.atmarkit.co.jp/fembedded/articles/special/et2008/gaio/gaio.html
自動車・カーエレクトロニクス特集−@IT MONOist
http://monoist.atmarkit.co.jp/tokusyu/automotive/
ガイオ・テクノロジー
http://www.gaio.co.jp/
VECU-G
http://www.gaio.co.jp/product/dev_tools/pdt_vecu.html
MC-Checker
http://www.gaio.co.jp/product/dev_tools/pdt_mcc.html

対象を知る者の強さ−Atmelの車載ネットワーク製品

 最後に、Atmelの車載ネットワーク製品デモンストレーションを紹介したい。Atmelは、車載ネットワークのほぼ全体にわたる製品を提供することが可能である。画像12〜14は、車載ネットワークのデモンストレーションの様子である。

 
画像12 車載ネットワークのデモ(その1)
画像13 車載ネットワークのデモ(その2)
   
画像14 車載ネットワークのデモ(その3)

 Atmel製品の特色は、フラッシュEEPROMベースの低消費電力製品、外付け部品点数を軽減できる豊富な付加機能にある。しかし、フラッシュEEPROMのメモリブロックは、車載で要求される高い温度に最も弱い部分の1つである。これらのメモリでは、記憶された情報の「ある」「なし」がフローティングゲートの電荷の「ある」「なし」で判断されるのだが、高温下ではフローティングゲートの電荷が失われやすくなる。Atmel製品はこの問題に対し、フローティングゲートを二重化することによって解決しているという。

 車載製品となると、さらに高い信頼性・耐故障性が求められる。半導体製造プロセスにおいて、車載製品は一般向け製品とは別体系で製造・テスト・管理が行われるのが普通である。「いかに作るか」が価値を生みにくくなった現在とはいえ、確実な製品開発は「いかに作るか」の確かさによって支えられているのである。

 もちろん、高い信頼性・耐故障性は高く付くものである。Atmelの主要な顧客は、信頼性に対して費用を支出する必要が理解されている欧米のメーカーである。さらに、価格競争で優位に立つことも求められる。それを1つ1つ支えているのは、製造技術・プロセス技術である。「いかに作るか」の重みは時代によって変動するけれども、最初で最後の勝負どころは結局のところ、「いかに作るか」なのである。

関連リンク:
自動車・カーエレクトロニクス特集−@IT MONOist
http://monoist.atmarkit.co.jp/tokusyu/automotive/
Atmel
http://www.atmel.com/

「いかに作るか」は今後も強みであり続ける

 日本の技術開発が「いかに作るか」を偏重してきたのは事実である。しかし、日本の技術開発をいたずらに賛美する目的でなくても、「いかに作るか」の重みが減ることはない。さらに「いかに作るか」を支えているのは、開発を行う個々の人間である。技術者が育成されず、技術の継承が行われないところに、「いかに作るか」の存続はあり得ない。

 経済危機が深刻さを増せば増すほど、自社や自分の本質を見極め、そこへ注力できるかどうかが勝負どころとなる。製品を「いかに作るか」、自社を「いかに作るか」、自分を「いかに作るか」の重要性が揺らぐことはないという確信の下で、目先の生存戦略を探っていくこと以外に、正解はないのではないだろうか。

関連リンク:
連載記事「マイコン制御基礎以前」−@IT MONOist「組み込み開発」
http://monoist.atmarkit.co.jp/fembedded/index/miconkiso1.html
連載記事「マイコン制御基礎の基礎」−@IT MONOist「組み込み開発」
http://monoist.atmarkit.co.jp/fembedded/index/miconkiso2.html
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