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危機のパースペクティブ

2008年12月20日

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 派遣、非正規労働者の解雇が相次ぎ、雇用問題が緊急事態となっている。解雇された労働者を臨時職員として雇用するなど、自治体では緊急避難的な対策が講じられている。経済対策では鈍い動きの中央に比較して素早く動くことはよいが、政策担当者は今回の危機に関してどのような将来展望を持っているか疑問に思う。

 今回の危機は世界的かつ歴史的危機である。1929年に始まった世界大恐慌は、回復に10年単位の時間を要している。97年からのアジア経済危機は、回復に5年を要した。日本はバブル崩壊から回復に、政策の失敗もあったために10年以上を要したし、金融危機からの脱却には5年を要した。今回は短くても5年、長ければ10年を要すると考えるのが自然であろう。今打ち出されようとしている政策はそのような展望を前提にしたものだろうか。

 アメリカのFRBがゼロ金利政策に突入した。危機が10年単位で続くとすれば、今後長期にわたって金利政策は打てなくなる。日本のバブル崩壊後と同様に打つ手なしの閉塞(へいそく)状況が続く可能性がある。日本では公共事業復活論も勢いを増している。短期の景気対策として考えるなら結構だが、日本の財政状況で10年間耐えられるのか。まずは無理な話であろう。打つ手なしの状況になりかねない。

 今回の危機への対処は、長期のパースペクティブの下で実施する政策と、緊急避難とを明確にして実施すべきであろう。雇用に関する政策は、長期にわたる日本人の生活をいかに立て直すのか、という視点が大切である。特に、財政問題を抱える日本の場合、緊急避難的な政策を行っているうちに、とてつもない閉塞に陥る危険が潜んでいる。(龍)

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