「中国『残留日本人孤児』の尊厳を守る兵庫の会」は14日、孤児に対する国の責任を認めた国賠訴訟・神戸地裁判決から2周年を記念する集会を尼崎市内で開いた。孤児らは、国による謝罪や、国が孤児の収入を調べ給付金支給を制限する「収入認定」の撤廃などを要求していくことを盛り込んだアピールを採択した。
アピールは、同判決後も国が責任を認めていないことを非難。4月から実施された給付金支給などの支援策についても「すべての孤児に一律に補償するものではなく、個人ごとに収入認定を行うなど、生活保護に準じた制度だ」と指摘した。そのうえで、支援策について国と孤児が継続的に協議する態勢を作ることも求めた。
集会には、孤児や支援者ら約150人が参加。支援策に対する孤児の意識調査をした神戸大大学院の浅野慎一教授は「孤児からは『給付金を受けるために子どもと同居できないなどの制限があるのは不当だ』という声が上がっている。支援策を作り直す必要がある」と指摘。尼崎市に住む孤児の宮島満子さん(73)は「国が私たちの一生を奪ったことを反省し、謝罪し、賠償するまでこれからも闘う」と述べた。【樋口岳大】
〔阪神版〕
毎日新聞 2008年12月16日 地方版