プロボクシング日本バンタム級王者のサーシャ・バクティン(協栄)が15日、東京・後楽園ホールで3度目の防衛戦に臨み、同級1位の挑戦者・熟山竜一(JM加古川)を判定3−0で下し3度目の防衛に成功した。技巧派のバクティンはノーモーションの左で主導権を握ると、中盤こそ熟山のボディ攻撃に手を焼いたが、3〜5ポイントの差をつけて危なげなく勝利をものにした。試合後、バクティンは3.6トリプル世界戦に出場した将来的なターゲットとなるWBC、WBAの現世界王者ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)とフリオ・サラテ(メキシコ)の試合をテレビ観戦した感想を述べ「サラテは長身でリーチが長い。ウィラポンの方がやりやすいと思う」と破竹のV12防衛を築いている王者に挑戦状を叩きつけた。
W世界戦の佐藤、坂田がエキシビションで登場 勇利も応援に
また、この日は6.4有明コロシアムでダブル世界戦に臨むことが決定した佐藤修、坂田健史(共に協栄)がそれぞれ各2ラウンドのエキシビションマッチを行い、勇姿を披露した。バクティンの試合後には、両者と元WBC世界フライ級王者の勇利アルバチャコフが控え室を訪れ、豪華な顔ぶれが揃った。
磐石の強さを見せつけ、V3防衛
バクティンと熟山は、2001年12月に一度対戦している。この時はバクティンが大差の判定勝ちを収めるも生涯初のダウンを喫しており、再戦はやはり激闘となった。序盤から的確に左のリードブローを放つバクティンに対し、熟山は接近しての左ボディフックで応戦。中盤までは熟山がラウンド残り時間10秒を知らせる拍子木の音を合図に猛攻を仕掛けたが、終盤は失速。あくまで的確に熟山の顔面にジャブ、ストレートを突き刺したバクティンが判定3−0(97-94,98-94,99-94)で磐石の強さを見せつけた。
「1年あれば世界王者と戦える」
バクティンは試合後のリング上で「熟山は素晴らしい選手。互いが手の内を知っているから激しい試合になった。自分は世界王者を目指しているので応援をよろしくお願いします」と丁寧にあいさつし、控え室に戻った。タオルを肩にかけ、試合を振り返ると「ちょっとコンディションが不足していた。相手の左ボディは確かに受けたが、ダメージを負うほどのものではなかった」と王者の意地を漂わせた。3.6の世界戦を見た感想としては「ウィラポンの方がやりやすい」と話したものの「確かに今の自分と世界王者には差がある」と王者の強さは認めた。しかしながら「ただ、1年もあれば十分戦えるようになると思う」と世界への手ごたえを語り、自信をのぞかせた。
年内に世界ランカーと対戦へ
協栄ジムの金平桂一郎会長は、バクティンの今後について「今日の試合でもなかなか上(顔)は打たせないし、確かに強い。でも、世界挑戦をやるにはまだキャリアが足りないし、若い。本人は早く(世界戦を)やりたいだろうけど、体を作って経験を積まないと。日本王座を防衛しながら、今年中には世界ランカーなど相手の質を上げて緊張感のある試合を組みたい」と試練を課していく方針であることを明かした。勇利アルバチャコフ、オルズベック・ナザロフに次ぐ協栄ロシアンファイターの世界王者誕生へ、バクティンは着々と階段を上っている。
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