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弱者に打撃 高まる不安

2008年12月18日

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三菱ふそうトラック・バス川崎工場前で、契約解除を伝えられた派遣社員らが「派遣・期間工のクビを切るな!」と書かれたビラを配った=川崎市中原区

  大手自動車メーカーの相次ぐ人員削減や減産は、県内の労働者や中小企業に深刻なダメージを与えている。17日発表された日産自動車の大幅減産は、受注減にあえぐ中小企業の不安感を一層高めた。三菱ふそうトラック・バスの派遣社員らは同日、契約解除の撤回などを訴えた。

(斎藤健一郎、其山史晃、千葉卓朗)

  横須賀市の日産追浜工場。同社の下請け会社で働くという女性(49)は「世の中全体の景気が悪いから仕方ないかもしれない。うちでは具体的な話はないけど、みんな無関係で済まないことはわかっている」と話す。

  地元・横須賀市にも影響が予想される。同市経済部の幹部は「厳しい経済状況のなか、生産も雇用も維持されるという情報もあったので、今回の派遣社員削減には驚いている」という。

  日産など大手自動車メーカーと取引する県内の部品メーカーは生産計画の組み直しを迫られている。相次ぐ大手の減産に、担当者は「どの程度の売り上げを見込んでいいのか見通せない」と不安を隠せない。

  ■ 「クビにするな」派遣社員ら訴え

  非正規従業員500人を削減予定の三菱ふそうトラック・バスの川崎工場(川崎市中原区)の玄関口では17日午前7時から、契約解除を告げられた派遣社員の男性(35)らによるビラ配りがあった。「派遣・期間工のクビを切るな!」「寮から追い出すな!」などと訴えた。

  男性は務めていた飲食店の閉店をきっかけに、仙台から出てきた。約4年間、半年ごとに契約を更新しながら、派遣社員としてトラック部品の取り付けに従事してきた。住まいは三菱ふそうの寮。作業に追われた今夏、手取りは25万円にまでなった。

  派遣契約の打ち切りを伝えられたのは11月中旬。昼休み時間に派遣会社の職員に呼び出された男性は、「12月25日付で仕事は終わりです」と告げられる。突然のことで、男性は「わかりました」としか答えられなかった。

  後日、退職願の記入用紙とともに寮に送られてきた書類には引っ越しの期限が「12月29日夕方」と明記されていた。退職願の記入例には退職理由として「派遣先都合による人員削減の為」とあった。

  「貯金はゼロ。解雇され、寮も追い出されれば生活できない」。男性は今月14日、非正規雇用者が多く入る労働組合「首都圏青年ユニオン」に、同僚とともに加入。この日、普段働く工場の外でビラ配りに参加、会社に契約解除撤回を求める団体交渉を申し入れた。

  「寮を出ればホームレスになってしまう。退職合意書にサインするのはやめましょう」。次々と工場内に歩いていく従業員に、組合のメンバーは拡声機で訴え続けた。

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