公安調査庁は19日、国内外の公安情勢をまとめた平成21年版「内外情勢の回顧と展望」を公表した。北朝鮮の核問題では、無能力化作業の中断などにより米朝協議を実施し、テロ支援国家指定解除を引き出した状況にふれ、「さらなる実利獲得を目指すとみられ、再び『瀬戸際戦術』を駆使する可能性」を指摘。
拉致問題調査でも、同指定解除を契機に対日非難を活発化させたことから「拉致問題への対応をカードに硬軟両様の揺さぶりを展開する」と警戒する。一方、金正日総書記の「健康異変」で、「後継体制構築に向けた動きや、幹部間の対立」に注目している。
国内では、オウム真理教に対する3回目の観察処分更新請求を行った。教祖・麻原彰晃死刑囚に対する絶対的帰依を強化した“麻原回帰”の主流派(現アレフ)と、観察処分を逃れるための“麻原隠し”として設立された新団体「ひかりの輪」の動きに注視。「無差別大量殺人行為に及ぶ危険性」が認められ、その活動状況を継続して明らかにする必要がある−とした。
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