最近のTOPIXの動き ―― 《カナル24》は語る

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《カナル24》の@日足(平均線と順位相関)を使ってTOPIXの動きをウォッチします。向こう10日くらいの動きをターゲットにしています。


TOPIXの日足(ここ10日間の動き)

(08.12.19) TOPIX 834P(-4)  日経平均 8588円(-78)   19.1億株 (1兆5707億円)


FRBのゼロ金利のサプライズも失せて、市場の目は米国景気に向くようになったらしく、NYダウは8604ドル(-219/-2.16%)、ナスダックは1552P(-26/-1.70%)と続落する。

日銀は日米の金利が逆転したことによって、政策金利の引き下げをしなければ、さらなる円高になることから、0.3%から0.1%に金利の引き下げを発表。

しかし東京市場はすでに0.1%は折込み済みで、瞬間に少し上昇したが、却って戻り売りが出て下落する。これで日銀の打てる手は、再びのゼロ金利に復帰するしかなくなりました。

金利低下の過程では、資金の仕入れコストが安くなる銀行にプラスの風が吹きますが、コストが低下するといってもたったの0.2%にしか過ぎません。銀行株の上昇は今日で持って終わりでしょう。

もう一度、同じ画像(符号は付け加わっている)を掲げます。米国FRBがゼロ金利にし、日銀が0.1%というほぼゼロ金利にした今、これが景気にどう影響するのか、株価にどう跳ね返るのかを検討します。


今日、見るのは上図の(PQRSTUV)のマークです。金融が緩和された位置には緑色の●が、金融が引き締め(緩和解除)になった位置には紫色の●をつけています。日銀の金融政策が景気、ひいては株価にどういう影響を与えたのか? それはいつごろから効き始めたのか? を見ると、次のようになります。
  1. (P)は1999年2月。日銀は実質ゼロ金利を決定。このタイミングはドンピシャでした。ちょうどCI先行指数が、第12循環の後退期のボトムをつけ、反転し始めた時期です。このゼロ金利によって、景気は1999年10月に谷となり、2000年11月まで22か月の上昇になります。

    それでもゼロ金利を決定した2月から8か月送れた10月に景気の谷がやってきたことは重要です。金融緩和して8か月後に景気後退から景気拡大に転じたわけです。

    株価は景気に対して6か月程度先行する(先取りする)といわれていますが、実際には「0〜6か月先行する」と思ったほうがよいでしょう。時には図の(イ)のように景気は回復しているのに、株価は下落するということもあります。当時は景気よりも銀行(金融不安)が大きな焦点であたので、景気は無視されました(それは株価的には市場の判断は間違いだった)。

  2. せっかくのゼロ金利によって景気が回復したのに、日銀は大間違いを犯します。(Q)は2000年8月。日銀はゼロ金利を解除しました。0〜6か月先を読む株価は、直近のピーク20833円から15680円(8月末)へと5000円も下落下落していた時期です。CI先行指数は(D)でピークをつけたかと思われる時期です。

    景気は悪化しようとしているところへ、ゼロ金利の解除という追い討ちをかけたのですから、景気減退の背中をさらに押すことになりました。結果は、CI先行指数の(D)からの急落にみるように、日本経済は再びの景気減速の悪夢に陥ります。

  3. 日経平均は下げ続け、2001年3月には11433円まで下落。ゼロ金利解除から4000円の下げとなりました。(R)2001年3月、日銀はゼロ金利解除は間違っていたと反省し、再びゼロ金利に戻すと同時に、「量的緩和」という史上空前の政策を打ち出しました。金利の操作では景気はコントロールできなくなったわけですから、今後は資金をジャブジャブ放出して、銀行間の取引が円滑に進むように、企業の融資は超低金利で行うように、銀行の貸し渋りをなくすように。つまり銀行を救い、企業の資金コストを下げ、資金を必要とする企業に資金がいきわたるように、という狙いでした。

    しかし、この「ゼロ金利+量的緩和」は、すぐに効いたわけではありません。第13循環の景気の谷は2002年1月です。2001年3月から10か月を経て、ようやく金融政策が効果を出し、景気が底入れしたのです。

  4. ゼロ金利解除に懲りた日銀は、2001年3月に決めた量的緩和の量をドンドン拡大します。当初は5兆円規模であったものが最終的には35兆円の規模に膨らみました。これによって2003年5月の株価(7603円)をボトムにして2007年 への株価上昇(景気拡大)に繋がったのです。

  5. ところが日銀は、どうしても金利を引き上げたいという信念があるようで、景気が回復してくると、(S)2006年3月に量的緩和を終了し、(T)2006年7月にゼロ金利を解除して、政策金利を0.25%に引き上げます。まあこれは納得できる処置でしょう。

  6. いけないのは(U)の2007年2月の金利を0.50%への引き上げの決定です。2007年2月の日経平均のザラバ高値は18300円でした。CIインデックスはすでに下落していました。この時期に0.25%→0.50%へと金利を引き上げたのですから、日銀の間違った判断は図を見るだけで明らかです。

    (U)の0.50%へ引き上げの時期をピークとして株価は大きく下げ、2008円12月現在では2月の高値18300円から8600円までの暴落となりました。

  7. (V)C2008年10月になって、日銀は慌てて金利を引き下げていますが、金利が効いいてくるのは半年以上の後です。これは米国でも同じで、FRBがゼロ金利にしたところで即効性はありません。
日米ともにほぼゼロ金利になった時期ですが、景気が少しよくなるのは、最低でも半年先であり、金融当局が間違った政策をとれば、さらに1〜2年先に景気の回復はずれ込みます。なお景気回復といっても、それが007年2008年の水準に戻るのでは ありません。暴落のあとの「戻し」という程度でしょう。米国の経済はこれから3年(あるいはあと5年間)は、2007年の楽観的な景気心理に戻ることはないのではないかと思っています。


(08.12.18) TOPIX 838P(+9)  日経平均 8612円(+44)   20.9億株 (1兆5970億円)


米国FRBがゼロ金利と決定して1日がたった昨日は、NYダウは8824ドル(-99/-1.11%)、ナスダックは1579P(-10/-0.66%)と小安く終わる。

東京市場は、一段の円高(87円前半)になったことを嫌気して安く始まるが、87円後半に戻したことから、株価は戻り、結局は小高く引ける。

日米の政策目標金利が逆転したことから、日銀も金利を引下げることは必至の状況になりました。金利が低下すればメリットを受けるのは銀行・不動産(本当は全部の業種がメリットを受けるが)です。この2業種は大きく上昇。

日銀が政策金利を引き下げようとしても、現在の金利は0.30%でしかなく、これを0.10%にするとか、思い切って0.00%のゼロ金利にしたところで、メーカーにとっては最大でも0.3%の金利低下の恩恵でしかありません。

この程度のメリットは、@円高、A金利低下による預金金利の引き下げによる消費の減退で、吹き飛びます。もともと低金利であった日本が金利をわずかに引き下げたからといっても、ほとんど景気には影響はありません。影響があるとすれば、日銀の超低金利が1年2年と続いたときからです。このときには、「不景気の株高」という現象(昨日の図の(ア))が起きるかも知れません。

昨日掲げた「CI」のグラフですが、このCIは「先行指数」です。「一致指数」ではありません。


同じ図を使い回ししてます(少しずつ符合が増えているが)。それは、この図にはそれほど有意義なメッセージが込められているからです。

日本が1945年の敗戦後、景気循環は13回ありました(景気循環とは景気の谷から、次の景気の谷までを1循環とします)。現在は第14循環のただ中にあります。

CI(一致指数)のピークは2007年8月であるので、景気の山は一昨年の8月にピークをつけたかと、私は経済のシロートながら推測しています。となると2008年12月は景気の山から16か月が経過していることになります。

ここで、第X循環の景気拡大期(ピンク色)と景気後退期(青色)の期間に注目して下さい。例えば過去最大の景気拡大期であった「第11循環」の拡大期は51月でした。この反動の景気後退期は32月です。時間に注目すれと、51月の上昇に対して32月の下落がありました。第12循環・第13循環の景気拡大期の期間と景気後退期の期間を比較すると、「景気後退期の期間」は、その前の景気拡大期の期間の半分ほど、最低でも要するということがわかります。

今回の「第14循環」は、まだ景気の山は決定されていませんが、私は、第14循環の景気の山は、2007年8月であろうと思っています。今日現在の2008年12月は、景気後退期になってから16か月目になります。「第14循環」の景気拡大期の期間は67か月という、過去最長の拡大をしてきたので、この景気が潰れたときは、その半分の33か月は景気後退期が続くと思った」ほうがよいでしょう 。まだ景気後退期に入って16か月」目です。おそらくは、来年一杯は景気は上向かず、最短でも2010年の半ばにならないと、株価の本悪的な上昇にならないのではなかろうか。


(08.12.17) TOPIX 838P(+9)  日経平均 8612円(+44)   20.9億株 (1兆5970億円)


米国FRBは、FFレートを0.00〜0.25%にすると決定。いつもなら、FFレートを0.5%引き下げて0.5%にするという明確な利率がありましたが、今回は0%ないしは0.25%という明確な数値ではありませんでした。

ついに米国もゼロ金利へ突入です。

日本がゼロ金利になったのは、1999年2月のことです。当時の米国は、バブルに踊った日本をやや馬鹿にしていましたが、米国も結局は同じ轍の上を走っていただけのことです。

事前の予想では0.5%の引き下げであったので、ゼロ金利になるというのは、市場を驚かせました。米国市場は、この決定を「ポジティブ・サプライズ」として受けとめ、舞い上がり、NYダウは8924ドル(+359/+4.19%)、ナスダックは1589P(+81/+5.40%)と急騰。

しかし、ゼロ金利になったということは、@これ以上の金利政策は効かなくなった、A米国の金融機関は利子を払ってまで資金を動かすほどの体力はなくなってしまった(寄付や贈与がなければ資金が調達できない)、B実体経済はデフレに陥る危険性がある。ということでしょう。

本当は「ヤバイ」のですが、米国市場はまだ「何とかなる」と思っている。米国が何とかなれば、日本も何とかなると思っている投資家が多いとみえて、今日の東京市場は高寄りし、日経先物は8800円をつけました。 そのあとは、当然のことながら円/ドル相場が88円台に入り、株価は急落。ところが2:00過ぎから再び急伸、と目まぐるしい変動をした一日となりました。基本的には、@アメリカは復活する派、とAアメリカは当分(3年〜5年)は落ち込む派、の2つの考えの綱引きです。

私の考えは、「アメリカは当分落ち込む派」です。それに伴って「日本経済はまだまだ落ち込む」と思っています。以下にそう思う根拠を説明します。次図はCI(コンポジット・インデックス)と日経平均の月足を並べたものです。「CI」は今年から、景気の局面を判断するためのメインの指標と位置づけられました。(それまでは「DI(ディフュージョン・インデックス)」が景気判断のメインだった)

「CI」はこれまでにもHPで何度か取り上げてきました。CIは景気の動向を明快に表現するものです。株式はこの景気を写しているだけです。株式投資で利益を上げるには、景気がどうなっているのか、どうなるのか、の考察を抜きにしてはありえません。景気判断を抜きにして、株式投資で利益がでたというのは、単なるラッキーです。次はそうはいかない。

1000円していた株価が500円になった→なんと3か月で半値になったのだから安すぎる→よってこの銘柄を買いたい。このような「値ごろ感」の売買は個人投資家が得意とするものですが、これは「もうじき株価が上昇するだろう」という予想は入っていません。「安いものを買っておけばいつかは利益がでるだろう」という期待だけです。

だが、半値の500円になったときに安いと思って買ったが、今では250円になってしまった。ということの例はありふれています。株価だけで買い時を判断することは、間違いであることを知り、こういう買い方を絶対にしてはならないと、肝に銘じてください。

「CI」のグラフと日経平均のグラフを重ねると、さまざまなことがわかります。CIのグラフに入れた大文字の(ABCDE)は景気の山で、小文字の(abcde)は景気の谷です。このグラフから以下のことがわかります。
  1. CIだけを見ると、CIのピークから数ヶ月〜2年後に景気の山が来ている。
  2. CIのボトムから3ヶ月〜1年後に景気の谷が来ている。

    日経平均とCIとの絡みを見ると、

  3. CIと日経平均の動きは、ほぼ同じである。
  4. 例外なのは、(A→a)のCIが低下したのに対して、株価は(イ)で上昇している。これは円高対策のために日銀が大幅に金利を引き下げた(5度にわたって5.0%→2.5%へ急激に引き下げた)のが原因です。景気とは無関係な金融相場でした。

  5. もうひとつの例外は、(d→E)へ向けてCIが上昇しているのに、株価が下落した2002〜2003年です。これは、小泉内閣による金融のハードランディング方針によるものです。(その後、不良な銀行・企業は潰すというハードランデング方針は撤回され、2003年から株価は上昇に転じた)
図をじっとみると、CIがピークを出して何ヶ月かのうちに株式は下落しています。またCIが上昇することが確認できてから、実体経済は底打ちをしていることがわかります。すなわちCIが上向いたことを確認してから、株式を買うのがリスクのない投資です。現在では2008年10月までのCIが発表されていますが、11月・12月はもっと低下することは必至でしょう。CIが上向かない現在では、まだまだ株式を買う時期ではない。そう思っています。


(08.12.16) TOPIX 828P(-18)  日経平均 8568円(-96)   19.3億株 (1兆3896億円)


今夜はFOMCが開催され、FRBはFFレーを0.5%引き下げて、0.50%にするというのが市場の予想です。

中には0.75%引き下げで0.25%になると予想する向きもありますが、そうなれば日本の政策金利の0.30%より下回ります。

0.50%の引き下げなら、今日の円レートの90円台前半の水準はすでに織り込んでいるかと思いますが、0.75%となると、なにしろ米国金利は日本の金利より安くなるのですから、円は90円を割り込み、88円あるいは85円くらいまで急騰するかもしれません。

2008年度の下半期(2008年10月〜2009年3月まで)の業績予想は、円レートが101円の前提であるそうですから、90円を割り込むと、売り上げで-10%の減少になります。利益はその3倍か4倍の減少になるはずです。とんでもないことになります。

そう私は思っていますが、東京市場は案外に楽観的です。昨日の12月の短観は、大企業製造業のDIは-24でした。前回の9月短観のDIは-3であったのが、-21ポイントも急落しています。異常な下げです。 さらに怖いのは来年3月の予想です。DIはなんと-36になります。ドッカン、ドッカンと景気は悪化しています。短観のDIが-36ということは、よいと答えた企業は32%(=(100-36)/2)であり、悪いと答えた企業は68%(=(100-36)/2+36)ということです。(「良い」の32%から「悪い」の68%を差し引くと、32-68=-36となる)

この企業の異常な景況感が、すでに東証の株価に織り込み済みであるとは思えません。折込み済みならば、どうして昨日の東証1部のPERが15.77倍もあるのでしょうか。15.77倍というのは、(私の基準によれば)今期は前期並の利益がでるという水準です。このPER水準は法外に高すぎます。私は、来年の2〜 月3月にかけて、最低でも株価は10%の下落して日経平均は7700円、普通なら20%の下落をして、6800円も考えておくべきであろうと、思っています。


(08.12.15) TOPIX 846P(+33)  日経平均 8664円(+428)   18.6億株 (1兆4238億円)


この1週間はビッグ3が生き残れるかどうかの材料に振り回されています。金曜日には上院で救済法案が廃案になったことから、マーケットが開いていた東京市場は急落しましたが、肝心の米国市場が開いてみれば、金融安定化法で救済するだろうとかで、米国株価は上昇。

メーカーを金融安定化法で救済するのですから、まあこれは民主主義とはいえません。法の解釈によって、助ける企業を選定できるというのは、法治国家とはいえません。米国はそこまで追い詰められています。

東京市場は、意外な反発となりました。ただし出来高は薄い。いわれるように、カラ売りしていたヘッジファンドが年末に向けてクローズ(ファンドを解散する)するために、買戻しをしているのかも知れません。

出来高が18.6億株、売買代金が1兆4000億というボリューム不足の中を日経平均が+400円以上上げたのはイレギュラーです。とにかく株価はどうでもよいから「買戻し」たかった。という感じでした。


さて、2009年1月4日から「東研ソフト・ユーザー情報」のうちの、
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(08.12.12) TOPIX 813P(-35)  日経平均 8235円(-484)   30.2億株 (2兆4806億円)


米国は先週の新規失業者保険申請件数がなんと57.3万人。政府がなんとかしてくれるだろうと楽観する米国市場も、これほどの雇用状況の悪化をみては、さすがに買えず。

NYダウは8565ドル(-196/-2.24%)、景気に敏感なナスダックは1507P(-57/-3.67%)と下落。

東京市場は、昨日はビッグ3の救済法案が下院で可決されたことから上昇し、戻り高値をつけていました。今日も前場までは、救済法案が上院で可決されそうというニュースで上昇する。

しかし、昼休み中に、上院の修正救済法案は廃案になったとの報道によって、後場は一転して急落。 結局25日線を上回ったのは昨日・一昨日の2日間だけで、今日は25日線を割り込み、仕切り直しとなりました。たぶん年末から来年にかけての実体経済はボロボロになるでしょうから、株価も10月の安値を維持できるのかは疑問です。


昨日は利食いの姿勢について書きました。ひとことでいえば、
  1. 売りの利食いは株価が下落途中で行う(図の赤色線部分)。
  2. 買いの利食いは株価が上昇途中で行う(図の黒色線部分)。
  3. 株価がどこまで下げる(上げる)かどうかを見届けていると、利幅は非常に少なくなる(図の緑色線部分)。
ということでした。つまり利食いの注文は「あらかじめ指値注文を出しておく」ということです。例えば450円で売ったときの、売りの利食いであれば、株価が400円まで下落しているときに、それより安い390円で買戻しの注文を出しておく。450円で買ったときの買いの利食いであれば、株価が500円まで上昇しているときに、それより高い510円で転売の注文を出しておくということです。

せっかく450円で売っているのに、株価が400円まで下げた後、420円まで反発したので慌てて「成り行き買い」で買い戻すということはしてはいけません。結局は421円で買い戻すハメになり、利幅は29円に減少してしまいます。それなら最初から410円で買い戻しの指値注文を出したほうがよほどましです。

次にどういう仕掛けををすべきかです。
  1. 仕掛けには、@トレンド転換売り仕掛け(図のA)、Aトレンド転換買い仕掛け(図のW)と、B下降トレンドが確定した後の「戻り売り」、C上昇トレンドが確定した後の「押し目買い」、の4つしかありません。これはクドクいいました。

  2. @トレンド転換売り仕掛けとAトレンド転換買い仕掛けも、指値注文ができます。例えば、図の(Y)のボトムの安値が426円であったとき、これを下回る425円が付いたならば、「425円で売り」という「逆注」をだすことができます。こうすればAで売ることができます。確実に売り仕掛けをしたいときは、425円が付いたならば、「成り行きで売り」という「逆注(成り行き)」を出しておけばよいのです。425円よりやや安い424円で売りが約定することもありますが、確実に「トレンド転換売り」でできます。

    (D)のピークの高値が426円であったときは、427円がついたならば、「427円で買い(指値)」の「逆注」か、427円がついたならば、「成り行きの買い」という「逆注(成り行き)」を出しておきます。

  3. 下降トレンドにあるときは「戻り売り」です。図では(B,C,D)が戻り売りのポイント(小波動のピーク)ですが、(B,C,D)の当日に、今日が小波動のピークであると断定できるのは神様しかいません。だがこれに近いことはできます。それは「75日線の水準で売り注文を出しておく」ことです。(あるいは下降波動の末期になると、75日線までは戻らず、25日が戻り一杯になることもあるので、「25日線の水準で売り注文を出しておく」こともあります。)

    75日線の水準は何円であるのかは、誰でもわかります。前日の75日線が450円で、当日の75日線が446円であれば、1日につき4円ほど75日線は低下しているので、明日は442円で「売り指値」の注文を出しておけばよいのです。

  4. 上昇トレンドにあるときは「押し目買い」です。図では(X,Y,Z)が押し目買いのポイント(小波動のボトム)ですが、(X,Y,Z)の当日に、今日が小波動のボトムであると断定できる人は滅多にいません。これに近いことをするには、「75日線の水準で買い注文を出しておく」ことです。(あるいは上昇波動の末期になると、75日線までは下げずに、25日が押し目の限界になることもあるので、「25日線の水準で買い注文を出しておく」こともあります。)

    75日線の水準は何円であるのかは、誰でもわかります。前日の75日線が450円で、当日の75日線が456円であれば、1日につき6円ほど75日線は上昇しているので、明日は462円で「買い指値」の注文を出しておけばよいのです。
どうでしょうか、「売買の注文のしかた」という視点からすると、「指値注文」がメインなのです。「成り行き注文」は本当はしてはならない注文のしかたです。ナカナカ利益が出ないという方の話を聞いてみると、例外なく「成り行き注文」を出されています。どうして成り行き注文を出すかというと、「相場の動きに乗りたい」という思いが強いからです。さらにいえば「心理的にやりやすい」のでしょう。誰でも株価が下落しているときに、買いたいとは思いません。逆に株価が上昇しているときには、買いたいと思うものです。だが、この投資態度は「追っかけ売買」です。自分の相場感はなく、相場の流れに乗りたいという受身の投資態度です。自身の相場感はありません。

相場の流れに乗ることは大切なことですが、相場の流れの時間を1日〜5日で考えていると、昨日はは買い、今日は売りという、無定見な売買を繰り返すことになります。毎日、日替わりで売り・買いが変るような投資態度で、利益がでるはずはないのです。


(08.12.11) TOPIX 849P(+14)  日経平均 8720円(+60)   22.4億株 (1兆7661億円)


米国は小動き。 NYダウは8761ドル(+70/+0.80%)、ナスダックは1565P(+18/+1.17%)。

東京市場は、ビッグ3の救済法案が下院で可決されたことや、明日のSQへ向けたポジション調整(だいたいがショートカバー)で、小高く終わる。

株価が上がれば明日はもっと上ると思うし、株価が下がれば明日はもっと下がると思うのが、我々凡庸な人間のサガですが、逆張りの条件表No.2「日経平均用'96」は、明日は注意すべき日であると表現しています。

日経平均は明日の終値が8720円以上ならば売りマークを出します。TOPIXは終値が849Pなら同じく売りマークを出します。

ついでにいえば、ナスダックは1602p以上ならば、売りマークが出るし、NYダウは9026ドル以上ならば売りマークを出します。

投資において、最も慎むべきことは「追っかけ売買」だと思っています。

株価が上昇した(それも3日4日と上昇した)から5日目に買おうとするのはいけません。すでに上昇するだろう値幅の半分以上はでています。残りの全部を取っても値幅は小さなものでしかありません。

株価が下落した(それも3日4日間下落した)から5日目に売ろうとするのも同じです。決断が遅過ぎます。

最近解説している4つの仕掛けですが、その利食いはどこですべきかは、すでにいいました。
  1. Aでのトレンド転換売りの利食いは、aのボトムが確定していないとき(株価が下落の真っ最中)にすべきである。
  2. B,C,Dの「戻り売り」をしたときも同じで、b,c,dのボトムが確定する前に利食いすべきである。
    b,c,dのボトムが確定したのを確認して(確定するのは「主な株価」がボトムの位置に株価を表示したとき)から「押っ取り刀」で利食いしていては、値幅を取ることはできません。

  3. Wでのトレンド転換買いの利食いは、wのピークが確定していないとき(株価が上昇の真っ最中)にすべきである。
  4. X,Y,Zの「押し目買い」をしたときも同じで、x,y,zのピークが確定する前に利食いすべきである。
    x,y,zのピークが確定したのを確認して(確定するのは「主な株価」がピークの位置に株価を表示したとき)からおもむろに利食いしていては、値幅を取ることはできません。
具体的にはどのような状況になったときに利食いすればよいのかは 株式講座...3 利を伸ばすには で解説しているので、お読み下さい。この解説は当時は買い時代であったので、買いの利食いについて述べていますが、売りの利食いはこの逆のことです。


(08.12.10) TOPIX 834P(+16)  日経平均 8660円(+264)   21.4億株 (1兆6320億円)


米国は反落。 NYダウは8691ドル(-242/-2.71%)、ナスダックは1547P(-24/-1.55%)。

米国が反落し、円高気味であったにもかかわらず、東京市場は続伸する。これは12月12日のSQがらみの思惑による動きでしょう。まあ暴力的に上げた一日でした。

日経平均はザラバ高値8704円まであって、(b')の8518円を上抜きました。しかし、これは波動が切り上がったわけではないし、ましてや上昇トレンドに転換したわけでもありません。

主な株価は(A→b→c→b'→c')の位置に表示されています。これを単純に見れば、ボトムは(c→c')と切り上がり、ピークは(b'→今日のb'')で切り上がりが決まったので、ピークもボトムも切り上がった。だから「P型の買い」ではないか? そう誤解されそうなので、「それは違う」ということを説明しておきます。

株式講座No.4  小波動を使ったトレンドの判断 にも述べていますが、主な株価が表示されたピーク・ボトムつまりは「小波動」はどれもが等しく重要なものではありません。無視してよい、意味のない、小波動もあります。 重要な小波動とは
  1. 新安値をつけた下降波動(スタート時点のピークと終点のボトムを結ぶ小波動)
  2. および次に現れる反動高の上昇波動。

  3. 新高値をつけた上昇波動(スタート時点のボトムと終点のピークを結ぶ小波動)
  4. および次に現れる反動安の下降小波動。
以上の4つです。簡単にいえば下降波動では新安値のボトムとその前のピークとその後のピークが重要であり、上昇波動では新高値のピークとその前のボトムとその後のボトムが重要であるということです。 上図を例にすれば、
  1. Mは新安値です。よって@Mのボトムと、Aその前のピークのl'、Bその後のピークのNが重要なピーク・ボトムです。小波動でいえば(M→N)は重要な波動です。(実は(l')は重要なピークではない。後述)

  2. mはMを下回って新安値となりました。よって@mのボトムと、Aその前のピークのN、Bその後のピークのnが重要なピーク・ボトムです。小波動でいえば(N→m)と(m→n)は重要な波動です。

  3. Aはmを下回って新安値となりました。よって@Aのボトムと、Aその前のピークのn、Bその後のピークのbが重要なピーク・ボトムです。小波動でいえば(n→A)と(A→b)は重要な波動です。

  4. cはAを下回ってはいません。新安値になっていません。よってこの時点では、cは重要なボトムではありません。重要なボトムに昇格するのは、今後株価が(重要なピークである)bの高値を上抜いたときです。bを上抜いたならば、新高値の波動が生まれます。そのとき、Aその前のボトムであるcが、重要なボトムとなります。

  5. b'は重要なピークであるbを上抜いていないので、無視すべきピークです。またc'も重要なボトムであるAを下抜いていないので、無視すべきボトム」です。

  6. 今回(b'')でb'を上抜いたといっても、b'のピーク自体が意味のないピークであるので、小波動のピークを切り上げたと判断してはいけません。同じく、ボトム(c→c')が切り上っているといっても、cはまだ重要なボトムになっていないし、c'はもともと無視すべきボトムです。とうていボトムの切り上がりとはいえません。
以上のことから、今日の(b'')は、小波動の切り上げではないし、ましてや上昇トレンドに転換したと判断するのは間違いです。

重要な小波動かどうかを見極めることは大事なことなので、くどく別のいいかたで説明します。重要な小波動(重要なピーク・重要なボトム)であるかどうかは、
  1. その小波動のボトムが新安値をとった波動である。
  2. その小波動のピークが新高値をとった波動である。のどちらかです

  3. ピークが新高値を取らず、ボトムが新安値も取っていない小波動は、(c→b')の上昇波動です。その前の新安値を取った小波動の(A→b)の上昇波動の中に「はらまれて」います。同じく(b'→c')の下降波動もその前の(b→c)の下降波動の中に「はらまれて」います。このようにその前の波動に「埋没した波動」は、意味がないし、無視すべき波動です。(c→b')の上昇波動は意味がないし、(b'→c')の下降波動も意味がありません。

  4. よって現時点での重要な小波動は、(A→b→c)です。ただしcはまだ重要なボトムになるかどうかは不明です。


応用問題をひとつ。右図は上図の前にあった波動ですが、重要でない小波動はどれでしょうか?

簡単には、「はらまれて」いる小波動を見つければよいのです。

正解は(k'→l')です。k'はKを下回れず新安値になっていないし、l'はLを上回れず新高値になっていません。(k'→l')の波動は(K→L)の波動にはらまれて、埋没している波動です。よってボトム(k')とピーク(l')は無視すべきピーク・ボトムです。

重要な小波動は(I→J→K→L→M→N→m→n)です。だから仮にMから株価が上昇して(l')を上抜いてもピークが切上がったとはいえません。(L)は重要なピークですから、(L)を上回ったならば、ピークが切り上がったといえます(実際にはLも(l')も上回れなかったが)


(08.12.9) TOPIX 817P(+5)  日経平均 8395円(+66)   19.9億株 (1兆5058億円)


米国は、オバマ次期政権が出すであろう景気対策への期待と、ビッグ3が救済されるであろうという判断で続伸。

NYダウは8934ドル(+298/+3.46%)の上昇。ナスダックは1571P(+62/+4.13%)の上昇。

うーむ。米国市場は冷静な判断ができていないようです。米国は戦後、深刻な景気後退期を経験したことがありません。まだ現実をナメているところがある。政府が財政出動すれば、なにもかもが解決すると思っている。そのような感じがします。

日本においては、1989年をピークとするバブル崩壊から、宮沢内閣を初めとして(羽田・村山内閣は論外)、橋本内閣→小渕内閣→森内閣まで約100兆円の財政出動がされたかと思いますが、これは日本経済を立ち直らせることには繋がりませんでした。 最終的には、多くの企業がつぶれ、銀行が淘汰され、@過剰負債、A過剰設備、B過剰雇用、がなくなるまでは経済の立ち直りはなかったのです。

今の米国は、小渕内閣の時期に似ているように思われます。景気対策の規模が20兆円では失望し、40兆円になれば楽観する。要するに政府が経済を立ち直らせてくれるという誤解があります。

真に米国経済が復活するには、@個人は、過大な消費による負債(ローン・クレジット・リース)を清算し、A金融機関は、現在の不良債権を確定してバランスシートから切り離し、毀損した資本を充実させる。この2つのことが必須でしょう。

シテイGやAIGに資本注入が行われましたが、不良債権の詳細を確定することなく、目分量で投入したにすぎません。いまなお不良債権の金額は決まらないし、簿外の不良資産は手つかずです。とうてい金融危機が去ったとは思えない。

個人の負債はより深刻です。例えば11月の雇用統計は53.3万人の失業者が出ました。(根拠がない数字ですが)1世帯が平均して300万円の負債(ローン・クレジット・リース)を抱えているならば、53万人の負債総額は1.6兆円になります。失業したからといって全てが毎月の支払いを延滞するわけではありませんが、経済情勢が悪ければ、1.6兆円の新たな不良資産を金融機関は抱えることになります。これが毎月毎月発生するのです。

さて、株式投資をするとき、仕掛けは4通りしかないといいました。投資の成績に差がでるのは、この4つの仕掛け時に仕掛ける人と、これ以外の時期に仕掛ける人の違いが第一です。

しかしそれは、まだ成績(利益)の半分以下のウェートです。本当に差がでるのは、「利食い」のしかたです。

例えば、「トレンド転換売り」ですが、(A)で仕掛けても、すでに(y→A)へとかなり下がってから、「トレンド転換売り」が決まります。下げ余地は(A→a)しかありません。どんな名人・神様でも(A→a)の値幅しか取ることはできません。凡庸な我々はどういう利食いをすればよいのでしょうか? 私は次のように思っています。
  1. (A)で売り仕掛けしたら、
  2. (a)の安値が出るまでに「指値」をして利食いする。これは株価が下落途中に利食いするということです。

  3. 人によっては「当面の安値を見届けてから利食いする」という方もあるでしょう。
  4. しかし、それでは遅いのです。たいていは(a)からかなり株価が上昇したときに利食いをすることになります。下手をすれば(B)の近辺で利食いすることになりかねません。せっかく(a)で売ったのに、(B)で買い戻していては利益は無くなります(マイナスになることもある)

  5. 売りの「利食いは」、株価が下落している真っ最中にしなければ いけません。
要するに、「売りの利食」いは「株価が下落の真っ最中」にすることです。図の赤色線の時期です。「安値を見てから」と思って、図の緑色線の時期に利食いするのは、シロートです。(確認してから行動すると、「利幅が少なくなる」のは当然です。利益はリスクを背負ったときしか生まれません)


(08.12.8) TOPIX 812P(+26)  日経平均 8329円(+411)   18.6億株 (1兆3778億円)


注目の米国の11月の雇用統計は-53.3万人減と30数年ぶりの悪い数字でした。NYダウはこれを受けて一時-260ドル安となりましたが、そこから「大返し」に切り返し、引けてみれば8635ドル(+259/+3.09%)の上昇となりました。

つまりは-53.3万人の失業は無視されたわけです。事前の予想では-33万人減であり、これより20万人も失業者が多かったことは、普通なればプラス材料となるはずはありません。しかし米国株価は上昇しました。

米国市場は妙に楽観しています。70兆円の金融安定化資金で、さらには70兆円といわれる景気対策で、全てが大団円になると、まさか思っているのではあるまいな。

東京市場は、米国株高+アジア株高から上昇し、大引けにかけて一段高となって引ける。

ただ下降トレンドから上昇トレンドに転換するかといえば、まだまだ先のことです。ナスダックは直近の小波動のピークは(N)の1785Pであり、 これを株価が上回れば「最後の下降波動(N→A)を上回って、上昇転換か?」となりますが、(N)1785Pはあまりにも遠い。

日経平均は(A→b→c)の小波動を作っています。ここで(b')というのは小波動のピークとしては無価値です。なんとなれば(c→b')の上昇小波動は(A→b)の上昇小波動の中に「はらまれている」からです。 小波動として意味があるのは、@ボトムを更新した波動、Aピークを更新した波動、のいずれかです。(c→b')はどちらでもありません。

日経平均が「上昇トレンドに転じたのか?」と思うには、まずは(b)を上回ることです。これによって、小波動のボトムは(A→c)と切り上がり、ピークは(b→新高値)と切り上がることになり、上昇トレンドに転換したと確認ができるわけです。だが(b)のピークは9521円であり、これを上抜くことは相当に難しい。

さて、もし上昇トレンドに転換したならば、その後は「買い放し」でよいのかというと、そんなことはありません。「押し目買い」に分があるというだけのことです。


日経平均が、もし(b)の9521円を上抜いたときは、右図の(W)に該当します。ただし上昇トレンドに転じた(W)から買って大きな利幅がるかというとそうでもありません。

すでに株価は小波動の(d)から上昇してきています。当面の利幅は(W→w)しか残っていません。つまりは「トレンド転換買い」というのは、仕掛けとしては、すばらしい仕掛けではないのです。(誰でも買いだとわかるのだから当然だが)

これに関連して、12月2日に掲げた9432「NTT」の小波動についての質問があったので、これに答えます。質問は以下のものでした。
9432「NTT」ですが12月2日の記事で 中勢波動が下降トレンドであるのでボトムが切り上がったとしても 75日線でまずは売ってみるとのことでしたが、 ボトムが切りあがり、12月5日に先の重要な小波動のピーク(469円)を上抜きましたので、今後は買いのタイミングを計ってもよいのではないかと思いました。(PQ型の買いも参考にして)

相場環境が悪く無理に買い場を探しているのではないのですが 過去の記事を読んで復習をしておりますので、考え方として間違えていないのかご教示願います。

私にとって、HPがあと何年かで終了してしまうということは、灯台がなくなるということで、その後のことを考えると自立してやっていくためには、できるだけ疑問点を解消していき、自分の考え方を正していくことが重要だと思っています。


NTTのグラフを掲げます。
  1. まず第一に「P型/Q型からの買い」を参考にするならば、(n→A)が最後の下降小波動であるので、(n)を上抜いた(b)の日に注目します。(ここで小波動のピークは切り上がっている)

  2. 次に小波動のボトムが切り上がるのを注目しておくわけですが、これは(イ)の日に、(c)に「主な株価」である385円を表示しました。

  3. この2つによって、小波動のピークとボトムが切り上がったことが確認できたので(Q型の買い)、今後は「押し目買い」となります。

  4. もしQ型の買いに気が付かなくても、(b→B)と小波動のピークが切り上がった時点で、NTTは「押し目買い」になったとわかります。
さて、12月2日に私は「75日線まで戻れば、一度は売って見ることです」」と書きました。質問者された方は、「上昇トレンドに転換しているのになぜ75日線で売らなければならないのか?」という疑問を抱かれたのだと思います。この答えは「当面の上昇余地はさほどないから」です。(W→w)の上昇幅しか取ることはできません。

さらに加えると、中勢モデル波動を見てください。

9432「NTT」の現在の上昇波動は、大勢下降波動下の中勢波動の(A→B)にやっと届くかというところです。(B)というのは75日線の水準です。つまり、いくらNTTが上昇波動に転換したからといっても、当面は75日線で頭打ちになると予想できます。

本当の買い場は、75日線の(B)にぶつかって、(C)へ反落したときなのです。

(08.12.5) TOPIX 786P(-2)  日経平均 7917円(-6)   18.9億株 (1兆4083億円)


米国は、利食い売りとビッグ3の行方、今夜の11月の雇用統計を控えて下落。

NYダウは8376ドル(-215/-2.50%)、ナスダックは1445P(-46/-3.13%)。

11月の雇用統計の予想は-32万人減であるそうですが、これが-40万人にでもなれば、株式の下落は300ドル級の大幅なものになるでしょう。逆に(ありえないと思いますが)-20万人で止まれば300ドル級の上昇でしょう。

東京市場は、これを警戒して動けず。日中の値動きは小幅でした。


昨日の質問は、「仕掛けと手仕舞いのしかた」の復習をしようとしていたときであったのでよいタイミングでした。昨日、図だけを掲げて説明していなかったので、今日はまとめます。

まず、仕掛けは4通りしかないということを肝に銘じてください。
  1. トレンド転換売りは(A)の日に行います。この後、下降トレンドが持続しているあいだは、トレンド転換売りは2度とありません。

  2. 下降トレンドが確定した後は、「戻り売り」です。(B)(C)(D)の近辺で売ります。
    下降トレンドが持続している間は「戻り売り」だけをすべきであり、(a)(b)(c)(d)の近辺での「買い仕掛け」はすべきではありません。(これをするから損失が拡大する)

  3. トレンド転換買いは(W)の日に行います。この後、上昇トレンドが持続しているあいだは、トレンド転換買いは2度とありません。

  4. 上昇トレンドが確定した後は、「押し目買い」です。(X)(Y)(Z)の近辺で買います。
    上昇トレンドが持続している間は「押し目買い」だけをすべきであり、(w)(x)(y)(z)の近辺での「売り仕掛け」はすべきではありません。(これをするから損失が拡大する)


これを実例で見ると、今年5月から6月にかけての上昇波動(e'→f)が最後の上昇波動です。どうして最後の上昇波動といえるのか?

まず、(u)で株価が75日線を上抜きました。中勢上昇波動の天井は、75日線より上位で出ます。しかも最も株価が高いときが天井です。

(t)で25日線が75日線を上回り、株価は75日線より上位にある。ここでの小波動のピークは(d→d'→f)と順次高くなっていきました。(d')のピークの時点では最後の上昇波動は(e→d')です。もし株価が下落して(e)を下回ったならば、このときに下降トレンドになったとしてよいでしょう。

しかしそうはならず、(d')よりも高い(f)をつけました。(f)時点での最後の上昇波動は(e'→f)です。もし株価が(e')を下回ったならば、下降トレンドになります。

その後(f')で小波動のピークを出しましたが、(f')は(f)よりも株価は低いので天井の候補ではありえません。この時点での最後の上昇波動は、(e'→f)なのです。

(T)の日に、最後の上昇波動のスタートである(e')を、株価が下回りました。この瞬間に下降トレンドに転換したとわかります。(T)の日が「トレンド転換売り」をするするタイミングです。この日以降は「トレンド転換売り」はありえません。するのは「戻り売り」だけです。


「トレンド転換売り」をして利食いした後は、株価の戻りを待って「戻り売り」をかけることになります。

図の小波動のピークの近辺が戻り売りのタイミングです。(l)(l')(n)(n')(b)(b')と戻り売りは何度も何度も行えます。そしてことごとくが利益になります。

しかし、下降トレンドが上昇トレンドに逆転したときは、損失を出す可能性は非常に大きいでしょう。それはそれでしかたがないのです。

図で、今のところ上昇トレンドに転じるのは、(b)の高値を上回ったときです。この例では最後の下降波動は(n'→A)ですが、この下落波動のスタートである(n')を株価が上回らないと上昇トレンドに転換しないと思っている方は大きな誤解をしています。

上昇トレンドに転換するのは、先の小波動のピークを株価が上回ったときです(最後の下降波動のスタートである(n')を上回ったときは、特にトレンド転換がはっきりしているということであって、いつでも最後の下降(上昇)波動を上回る(下回る)のが必要ではありません。 株式講座...4 「小波動を使ったトレンドの判断」 を再読してください。)

現時点で、先の小波動のピークは(b')なので、株価が(b')を上回ったなら上昇トレンドになるのかといえば、それも誤解です。(c→b')の小波動はは独立した小波動ではありません。(c→b')の波動は、(A→b)の中にはらまれています。(b')は(b)よりも安いし、(c)は(A)よりも高い。高値をいうなら(b)であり、安値をいうなら(A)なのです。

よって、今後上昇トレンドに転換するには、(現時点では)株価が(b)を上回ったときです。この日が「トレンド転換買い」をするタイミングです。

今日は、「トレンド転換売り」と「トレンド転換買い」の仕掛けのタイミングだけについて説明しました。このタイミングは誰でも同じです。人によってタイミングに違いがあることはありません。どんな相場名人でも初心者でも同じタイミングです。 差がでるのは、トレンド転換売り(買い)仕掛けをした後のことです。どのようなタイミングで利食いすればよいのか? ここが重要なところです。これについては来週に説明します。


(08.12.4) TOPIX 788P(-10)  日経平均 7924円(-79)   20.2億株 (1兆5042億円)


米国は、まだバブルが崩壊するとどうなるかをわかっていません。今日はGMとクライスラーが破産手続きに入り、ここから政府の支援を得ることを検討しているとの報道がありました。

ビッグ3はニッチもサッチも行かない状況にあるようです。たぶん政府が援助しないならば、倒産して、借金は棒引き、従業員は大量解雇、従業員の年金は大幅見直し、というショックを与えるぞという脅し(ブラフ)であろうかと思われますが、再生する見込みがない企業に政府がどこまでも支援するわけにはいきません。

今夜と明日の公聴会で、何事かが決まるのか、あるいは問題が大きすぎて来年に先送りされるのか。どちらにしても、ビッグ3はもはや存在価値はなくなりました。逆にビッグ3が消えると、トヨタ・ホンダ株は急騰することになるでしょう。

「大き過ぎて潰せない」と米国が思ったならば、日本におけるダイエーを思い出します。それまでスーパーはヤオハンが倒産し、長崎屋が倒産し、と政府が関与することなく、行き詰った企業は淘汰されてきました。しかしダイエーが危機に陥ったとき、政府はこれを救いました。2004年小泉内閣のときです。産業再生法を適用し、産業再生機構にダイエーを預けました。

その結果は、ほぼ解体に近い状況になります。それ以前にダイエーは、プランタンを売却、神戸オリエンタルホテルを売却、ローソンを売却するという手を打ってきていましたが充分ではなかった。再生機構に委ねられてからは、ダイエー・ホークスはソフトバンクに売却され、レストランチェーンのフォルクスを売却、福岡ドームを売却し、最後に丸紅とイオンが株式を買い取って ダイエーのブランドは残ったが、往時の面影はありません。企業が破綻するというのは、「解体」されるということです。従業員はそれまでの貢献度は0になり、悪ければ失業します。こうこういう状況にビッグ3は追い込まれています。

次のような質問がきました。
お忙しいところ、まことに恐縮で申し訳ありません、 トレンド転換の判断について、質問があります。 「最安値をつけた波動の出発点が越えられたら転換とみなす」 最安値をつけた波動でいくと、10/21〜10/28になると思われますが、 これは11/5に抜かれていますので、今は一旦の上昇波動転換と言う事になるのではないでしょうか? それとも、9/22から10/28までを最安値をつけた波動とみるのでしょうか........ それならば当然、まだ下降トレンドのままであるとなりますが........... 高値安値をつけた波動を選択する場合は、その出発点を選択する判断基準又は選択基準があるのでしょうか? お時間が出来た時で構いませんので、どうぞよろしくよろしくお願いいたします。
これを読んだときは、質問の意味が理解できませんでした。私がいつも言っていることは、実に簡単なことです。トレンドに従って買い・売るべきである、ということです。これに ついての疑問があるとは思いもよりませんでした。

だが考えてみれば、他人の書いたものを読んで、理解することは非常に難しい。本当は一読しただけで理解したと錯覚している人をHPの記事で説得することは難しい。そう思いました。

メールの返事は、「小波動のピーク・ボトムを検討してください。・・・・・」と返事しましたが、今日は一日中、なぜこのような質問が来たのだろうかと気になっていました。HPでいったことが、読者に素直に伝わっていないのではないか?というヒッカかりがあったからでしょう。

確認してみると、この方はユーザーではないということがわかりました。ユーザーであれば《カナル24》を使って、毎日グラフを見て、小波動のピーク・ボトムは当然にのグラフの一部として表示されます。ユーザーには「主な株価」は、身に染み込んでいるはずです。こういう質問が出るのは非ユーザーであるからでしょう。

今年を持って、このHPはユーザー以外にはクローズしますから、最後に疑問点に答えておきます。まず第一に、私が書いた文章をちゃんと読んでおられない。

「最安値をつけた波動の出発点が越えられたら転換とみなす」 と理解されているのは、株式講座...4 カナル24   小波動を使ったトレンドの判断 をお読みになっているのでしょう。だが読み方が間違っています。最後の下落波動とは上図の(n'→A)の波動です。メールには(10/21〜10/28)が最後の下降波動であると書かれているが、《カナル24》では(10/21〜10/28)の株価の動きは波動とは認定していません。カナル以外の別のグラフによってピーク・ボトムを判断されたのだと思います。

私は《カナル24》のユーザーと共通の土台に立って解説したいと思っています。来年からからはユーザーにしか《カナル24は語る》は公開しません。《カナル24》にしたがって、同じ現象を見ていくことになるので、より簡単に相場についてのコメントができると思います。最後なので、非ユーザーの質問に答えました。


(08.12.3) TOPIX 799P(+12)  日経平均 8004円(+140)   17.1億株 (1兆3122億円)


米国は、自動車メーカー3社が再建案を提出し、なんとか破綻を免れるのでないかと安堵して反発。

NYダウは8419ドル(+270/+3.31%)、ナスダックは1449P(+51/+3.70%)。

昨日、NYダウは679ドル下げていますから、これに対する昨日の戻り幅+270ドルは約40%です。重要なナスダックは-137Pの下げに対して+51Pと戻り率は37%でしかありません。

ビッグ3の話は、洪水に流されていた家が、どこかの橋げたにひっかかって、とりあえずは流されなくなった。というだけの話であり、根本的な救助ではありません。

日経平均も反発はしたが、昨日の下げ幅-533円に対して+140円の反発は、戻り率26%です。日経平均の足は昨日の長大陰線に小陽線が「はらむ」という形になりました。おそらくこれは下落途中の一服でしょう。 ナスダックも、昨日(p)は「はらみ」になっていますが、その前の(p')や(P'')と同じ場面であると思います。

ようやく《Qエンジン24》Ver.2を発売するところまでこぎつけましたが、プログラムそのものは、すでに2008年5月末に完成していました。そのプログラムを使って、2008年5月末から6月にかけて、 先物講座(No.6) 先物の売買システムを設計する際のヒントという講座を連載していました。しかし講座が佳境(重要な結論)に入ろうとするころ、ユーザーは《Qエンジン24》Ver.2を手に入れることができない状況であったので、このまま講座を進めても理解できないだろうと判断し、講座を中断して《Qエンジン24》Ver.2の完成に傾斜しました。

プログラムは5月にはできているのに、実際にユーザーの手許に出すためには、膨大なヘルプを書く必用がありました。この作業に7月から11月まで5か月を要しました。

東研ソフトが発売するプログラムは、かように膨大なヘルプが必要なのです。なぜでしょうか。私が作ったプログラムは、世に知られているチャートを単純に集めてきて、あれもできますこれもできますというシステムではありません。あれこれ試してみる。思いついた売買のしかたを条件表に設定してどうなるかを知る。自分が作った条件表および売買ルールがどのような結果を出したのか(出すのか)を追跡する。こういうことをしてもらいたいがためのプログラムです。その作業を理解してもらうめには膨大なヘルプが必要なのです。ヘルプを読むことによって「相場とはそう簡単なものではない」ということが理解でき、そのためにはどうすればよいのかの最終的な結論までヘルプに書いてあります。

相場は「順位相関が-80以下になれば買い、+80以上になれば売り」と誰かがいったことを鵜呑みにすればよいというような簡単なものではありません。簡単に利益がでるのは単に株価上昇期に買ったときに限られます。ところがこの体験が、「株を買えば儲かる」というバカな錯覚をもたらせ、最終的に錯覚した投資家は破綻して退場します。「運」まかせのバクチです。

相場には原理原則があります。原理原則はしょっちゅうこのHPで述べていますが、HPを読んで知識を得ても、それはほとんど身につきません。体得したものではありません。ソフトを動かし、原理原則に従って判断(第1の難関)し、原理原則によって売買(第2の難関)し、うまくいかなかったときは、どのような売買をすればよいのかを考える(第3の難関)。こういった一連の経験を重ねないと、相場の世界では生き残れません。《カナル24》を使わないで、この体験はできないのです。

《Qエンジン24》Ver.2を発売できることになったので、 先物講座(No.6) 先物の売買システムを設計する際のヒントの続きを書こうと思って、ザッと読み返してみましたが、これはちょっと難解な内容でした。理系の大学生でも理解できないレベルでしょう。わかってもらえるには結論を先にいっていたほうがよいでしょう。結論を先にいっておきます。

@「原則に基づいた理想の売買」は図のようになります。4とおりの仕掛け−手仕舞いのしかたがあります。
  1. 下降トレンドに転換したことが確定した(A)で売り仕掛けをして(a)で手仕舞いすることを目標とする。これは「トレンド転換売り」といいましょう。

  2. 小波動のピークらしいところで売り仕掛けをする。(B→b)(C→c)(D→d)がそれです。これは「戻り売り」といいます。

  3. 上昇トレンドに転換したことが確定した(W)で売り仕掛けをして(w)で手仕舞いすることを目標とする。これは「トレンド転換買い」といいましょう。

  4. 小波動のボトムらしいところで買い仕掛けをする。(X→x)(Y→y)(Z→z)がそれです。これは「押し目買い」といいます。
下降トレンドにあるときに、売り仕掛けしかしないのは上昇波動(a→B)(b→C)(c→D)の値幅よりも下降波動(B→b)(C→c)(D→d)の値幅のほうが大きいからです(下降トレンドの最後の下降波動(D→d)は上昇波動(c→D)より小さいことがある)

上昇トレンドにあるときに、買い仕掛けしかしないのは下降波動(w→X)(x→Y)(y→Z)の値幅よりも上昇波動(X→x)(Y→y)(Z→z)の値幅のほうが大きいからです(上昇トレンドの最後の上昇(Z→z)は下降波動(y→Z)より小さいことがある)

仕掛けはこの4通りしかありません。あとはどのような利食いをし、損切りをするかです。これについて、来年から述べようと思います。


(08.12.2) TOPIX 787P(-40)  日経平均 7863円(-533)   18.8億株 (1兆4026億円)


米国は、悪い経済統計が出たことや、米国経済はすでにリセッション入りしていると政府系経済研究所が発表したこと、バーナンキ議長の深刻な経済状況への言及などから、一転して暴落。 NYダウは8149 ドル(-679/-7.07%)、ナスダックは1398P(-137/-8.93%)。

今、米国市場を判断するためのチャートはNYダウではなくナスダックであると何度もいってきました。昨日の下げによって、ナスダックは25日線まで戻れなかったことがハッキリしました。これは深刻なことで、先の新安値(A)を割り込むのはまず間違いないでしょう。

日経平均も今日の下落によって、(b')が小波動のピークとなったようです。ということは(b→b')へとピークがなお切り下がっているということを再確認させるものです。11月の安値(c)を下抜くことはもちろんとして、最安値の(A)を下回ることも考えておかねばなりません。


9432「NTT」は、内需株であり、円相場に無関係であるので、大きな下落はしていません。

(t)で75日線と25日線が逆転し、ここより誰が見ても中勢波動は下降トレンドに変ったことがわかります。

25日線あるいは75日線まで戻った(イロハ)は戻り売りのポイントでした。

最近の波動は(ロ→ハ)へピークが切り上がってはいるが、まだボトムの切り上がりが確認できていないという状況です。

もし今後ボトムが切り上がるようなら75日線までの戻りはあるでしょうが、それ以上の上昇は難しいでしょう。75日線まで戻れば、一度は売って見ることです。



「お知らせ」にも書いていますが、今日でようやく《Qエンジン24》Ver.2へのバージョンアップの作業が終わりました。ユーザーには明日、案内状を出します。

株式相場が壊滅しかけている状況下では、おそらくはタイシタ反響はないかと思っていますが、私自身は《Qエンジン24》Ver.2のできばえに大変満足しています。我ながら「よくもここまでやれたものだ」と感心しています。これは、《Qエンジン24》Ver.2は私の最後のプログラムになるはずなので、これまでやろうと思っていてしてこなかった宿題を全部、それも丁寧にしたからです。

書き改めたヘルプは約250章。A4用紙に印刷すると、1章が平均して4Pとすれば1000頁です。説明に使った画像は約1500。「操作事典」「オートマ事典」と「事典」と名づけるだけのボリュームがあります。

なお《カナル24》のヘルプはこれの2倍の量があって、「カナル操作事典」が390章、「チャート事典」が140章、合計で530章あります。使った画像は合計で3300枚。もう一度《カナル24》Ver.2からVer.3へバージョンアップしろといわれても、もうこれをしのぐヘルプは執筆できません。

今後は、大規模なプログラムは作らず、既存のユーザーに向けて《カナル24》《Qエンジン24》《デンドラ24》《リアル24》の使い方をHPに掲載していく予定です。東研ソフトのプログラムに馴染んできたユーザーは、基本的なこと(インストールのしかたとか、データ受信のしかたとか、データ修正のしかたとか)は理解されていると思います。こういった初心者レベルでない方を対象にしてHPの記事を書いていきたい。

来年からのHPは、@《カナル24》のユーザーであること、A条件表の設定がある程度できること、B相場の原理原則を少しでも理解していること、そういう方々を対象にして、より実践的な、利益がでて感謝されるようなHPにしていきたい、(例えばユーザーが気になっている銘柄をメールで連絡してもらえれば、そのコメントをHPに書くとか)と思っています。よって来年からは、このHPはユーザー以外の方は閲覧できなくなります。


(08.12.1) TOPIX 827P(-7)  日経平均 8397円(-115)   15.1億株 (1兆3343億円)


週末の米国市場は半日立会いでしたが、NYダウは8829ドル(+102)、ナスダックは1535P(+3)と小幅高して、NYダウ・SP500は25日線を超える。しかし肝心のナスダックは25日線まで戻れず。

米国の金融機関はこれ以上は破綻させない、ということは市場は理解しました。だが、金融安定化法で決まった7000億ドルのうち、すでに3100億ドルは使ったものの、不良債権を買取って金融不安を沈静化するという資金としては使われていません。

残りの3900億ドルは、議会が認める範囲で金融機関への資本注入あるいはの不良債権の買取りに使われるはずでしたが、どうも自動車3社への資金援助とか、クレジット・ローンなどのノンバンクへの救援に使うとかの話がでてきています。法律の目的とは違う分野に使うという、掟破りのことを米国はやろうかというところです。米国は窮していることがアリアリと見てとれます。

こういう状況で、米国株式が上昇しているのは、オバマがなんとかしてくれるという期待からです。ニュースでは7000億ドル規模の財政出動をするのではないかといわれていますが、今の米国経済を支えるには7000億ドル(70兆円)では足らないでしょう。

1998年に発足した小渕内閣は、18か月の短命(小渕首相が病死)内閣でしたが、このとき42兆円の経済対策を出しました。ついで森内閣は2000年から2001年にかけて、15兆円くらいの経済対策を出したかと記憶しています。合計で約60兆円の経済対策を打ち出したけれども、傷ついた金融機関の貸し渋り・貸し剥がしがあって、日本経済は回復しませんでした。60兆円の使い道も悪かった。公共投資に支出して、生産性の低い建設業界を温存させ、次のジャンプに繋がらなかった。

おそらくは、オバマ政権が7000億ドルの財政出動をしたところで、米国景気は、下落速度を緩和するのがせいぜいで、底打ちするとは思われません。またオバマを支持した自動車業界に資金を投するならば、日本が建設業界に資金を投下したように、効率の悪い業界を延命させることになります。いけない業界は整理し、新しい成長分野に投資していかないと、支援に支援を重ねたあげく過大な財政赤字が残ります。

これを補おうと赤字国債を発行すれば、ドル安になります。ドル安になれば、米国債権を買う投資家は減少し、米国債の金利は上昇します。不景気の元での長期金利の上昇という、最悪の局面が来るとも限りません。


ということで、オバマ政権はまだ発足していないので期待感がありますが、日本の麻生内閣をみるように、政権発足後にすぐに馬脚を現す可能性があります。

どのようなことになるのかは、私には予想がつきませんが、いえることは「トレンドに逆らうな」という一語だけです。

8604「野村」は、(t)で75日線と25日線が逆転し、ここより誰が見ても中勢波動は下降トレンドに変ったことがわかります。

25日線あるいは75日線まで戻った(イロハニ)は戻り売りのポイントでした。

現在はAまで下落していますが、ここからの反発は弱く、25日線まで戻っていません。おそらく新安値を更新するのではないか。




TOPIXの週足(ここ2年の動き)(No.2「日経平均用'96」)





TOPIXの売買マーク




カナル24の条件表のNo.2「日経平均用'96」は、《Qエンジン》を使って1996年1月に作った条件表です。TOPIXで50P〜60ポイントの波動のピーク・ボトムを捕らえられればと思っています。



日経平均の売買マーク



日経平均で500円の波動のピーク・ボトムを捕らえられればと思っています。

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株式会社 東研ソフト・・・

執筆:坂本 正治