国立循環器病センター(大阪府吹田市)で昨年春、補助人工心臓を埋め込む手術を受けた男性(当時18歳)が呼吸停止に陥った末に死亡した問題で、厚生労働省は18日、遺族側の要望を受けて、第三者による事故調査委員会を省内に設けることを決めた。厚労省が自ら事故調査に乗り出すのは極めて異例。同省医療安全推進室は「遺族に内部調査への強い不満があり、客観的な検証が必要と判断した」としている。
この問題で同センターは、内部の検討会で「医療事故ではない」との結論を出している。人工心臓の臨床データを取る治験への協力についても、17日に開いた会見で「家族の同意は得られていた」との認識を示している。
これに対し遺族側は「急変時に医師は直ちに対応してくれず、原因の説明も一切なかった。検討会を開いたことすら教えてもらえず、調査は信用できない」と反発。厚労省に(1)治療の遅れが死亡を招いた可能性(2)センター内部の原因究明体制(3)本人と家族の同意も含めた治験の適正さ--について、特に調査するよう求めている。調査委は来年1月中にも発足する。【清水健二】
毎日新聞 2008年12月19日 東京朝刊