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国会空転 早く打開の糸口を探れ '08/3/6

 国会はきのうも民主党などが二〇〇八年度予算案を審議する参院予算委員会を欠席し、二日続いて流会した。与党委員長の職権による開会に反発して審議拒否の戦術に出たためで、打開のめどは立っていない。国民の暮らしにかかわる予算案の審議には十分な時間が必要だ。一日も早い正常化を望みたい。

 予算委は、福田康夫首相らが着席して約三十分、野党側の出席を待ったが、定足数に達せず流会した。そこだけを見ると「責任があるのは民主党だ」との印象を受ける人がいるかもしれない。

 民主党にも言い分がある。元はといえば、与党が予算案や税制改正法案の成立を確実にしようと、二月中に衆院通過させたのがきっかけ。民主党などは欠席のままだったため「強行採決だ」と反発している。

 しかし与野党は、今国会最大の焦点である暫定税率について、衆参両院議長のあっせんで「徹底した審議を行い年度内に一定の結論を得る」と確認している。詰めていく時間は今月限りしかない。

 衆院では、道路特定財源の暫定税率や五十九兆円の道路整備中期計画について野党が追及した。道路とは直接関係ないレクリエーションへの支出やずさんな通行需要予測などが国民の前に明らかにされた。論戦を交わしたからこその成果である。参院でも続きをもっと聞きたい。

 福田首相は法案修正に柔軟姿勢を示し、自民党からも同調する声が聞かれる。野党が多数を占める参院では、与野党が折り合う環境は整っているといえる。

 審議入りについて民主党はこのままでは「当分難しい」と強硬だが、一方では世論の批判を気にして「審議で政府を追及すべきだ」との声も党内で出始めている。問題は審議入りの条件だ。

 鳩山由紀夫幹事長は与党の謝罪がすべての前提とし「殴られておいて、一方で握手はできない」という。だが、自民党の大島理森国対委員長は「何を謝罪するのか」とかたくなだ。いずれ野党は折れてくるとの計算であろう。

 空転がだらだら続く光景を見せられるのはうんざりだ。審議拒否は与党が圧倒的多数だった時代、野党が多用した手法である。ねじれ国会の今は状況が違う。民主党は振り上げた手をどう下ろすか、与党は下ろしやすい環境をどうつくるか。互いにメンツを捨てて、打開の糸口を探るべきだ。




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