【横綱】御殿場プレミアム・アウトレット

広大な敷地に高級ブランドからデジカメまで
他施設の数歩先を行く充実のテナント構成

 とにかく広い、広すぎる─。御殿場プレミアム・アウトレットを初めて訪れる人は誰もがそう思うだろう。約35万5000平米という広大な敷地内に4万5000平米超の店舗面積を有する超大型アウトレットモール。イーストゾーンとウエストゾーンからなり、2つのエリアは川の上に架かる100m弱の橋で結ばれている。

 かつて遊園地だった広大な敷地を生かした施設で、自然のなかで高級ブランドなどの買い物ができるのが売り。テナントは平屋造り。施設内を歩けば、テナント越しに周囲の緑も自然に目に飛び込んでくる。特に天気の良い日は富士山が間近に望め、抜けるような青空も開放感を味わわせてくれる。

2008年3月に第3期増床を行った「West Zone」。東名高速道路沿いの駐車場を転用して建設した「パークストリート」に新規店舗を導入。クロエ、ジル・サンダー、アクアスキュータム、イッセイミヤケ、ワイズなどが出店したほか、グッチやユナイテッドアローズなどが移転した。ニコンの隣にサマンサタバサというように、さまざまなジャンルのテナントが集積しているのが特徴。7月にはバレンシアガも登場した。写真は「ヴィア バスストップ」 (画像クリックで拡大)

 もっとも、最大の魅力はテナントの充実ぶりだ。運営元のチェルシージャパンは、段階的に施設を拡大する戦略を基本としている。御殿場も開業当初は店舗数、面積とも現在の半分にも満たなかったが、2003年の2期増床で高級ブランドを中心に拡充し、魅力度が高まった。

 今春には3期目の増床を実施。アウトレット店舗は195店に増加。ニコンや家電のデロンギなど従来少なかったジャンルのテナントを意識的に導入したのが特徴だ。「30代前半のファミリー層が中心だが、40〜60代も多い。幅広いターゲットに応える店舗構成が必要」(南昌孝支配人)という。

 さらに、来場者が増える夏休みを迎えるにあたり、7月19日にウエストゾーンにバレンシアガ、イーストゾーンにバーニーズ ニューヨーク、スワロフスキーを導入した。いずれも強力テナントだ。「秋までにさらに10店舗ほど増える」(南支配人)。ここまで充実した店舗構成のモールはほかになく、番付トップに立った。

「East Zone」エリアの奥側にある「イーストスクエア」付近は高級ブランドの店舗が並ぶ。LVMHグループの商品を扱うメレーズ、プラダ系のスペース、アルマーニなどがある。7月19日にバーニーズ ニューヨーク、スワロフスキーも同エリアに開業した。フードコートの裏にあった駐車場部を「サザンアベニュー」として増床。移転増床したビームスのほか、キッチン用品のル・クルーゼ、プーマなどが並ぶ(画像クリックで拡大)

 ただ、広大な敷地の施設なため、屋根のないスペースも多いのが難点。真夏の炎天下や雨の日は買い物も大変だ。半面、サービス関連施設は通常のモールよりも多め。インフォメーションやリフォーム、ATMコーナーは東西両ゾーンにそれぞれ用意している。また、喫煙コーナーが目立つ場所にあるのは最近のモールと比べると珍しい。

 買い物面での満足度は極めて高いが、飲食施設はやや物足りない。3期増床で地元食材を使ったレストランも新たに加わったが、施設の規模からすると選択肢は少ない。メインのフードコートも三井不動産が運営する三井アウトレットパーク入間や長島などと比べると、目新しさはなく、平凡な印象だ。

 そして、最大の課題は週末の渋滞。モール付近の道路は狭く、アウトレット渋滞が起きることも多い。また、週末は午前中から施設近くの駐車場はすぐにいっぱいになってしまう。少し離れた場所にある駐車場からはシャトルバスでモールに行けるが、やや面倒だ。