運用 Windows管理ツール再入門 Windows管理ツールの共通フレームワーク「MMC」 1.MMCの基礎一色政彦 |
||
|
Windowsシステム、特にWindowsサーバを管理するには、CUIベースのコマンドラインで行うことも可能だが、通常はビジュアルで直感的に操作できるGUIベースの管理用アプリケーションを利用することが多いだろう。よって、管理用アプリケーションのGUIが使いやすいかどうかは非常に重要だ。なぜならば、それによって、作業効率が違ってくるだけでなく、最終的にはTCOにも影響を与えるからだ。このような管理ツールの課題に対し、Windows OSが提供しているソリューションが「Microsoft管理コンソール(以降、MMC:Microsoft Management Consoleと略記)」だ。
MMCは、Windows上のシステムおよびアプリケーションを管理する、Windows管理ツールのための共通フレームワークとしてWindows 2000以降のWindows 2000/Windows XP/Windows Server 2003で導入された。これらのWindows OSでは、多くの管理ツールがMMCフレームワーク上に実装されている。つまり、MMCはWindows管理ツールの基本といってよい。Windows管理ツールを正しく理解するにはこのMMCをよく理解しておく必要がある。
そこで本稿では、Windows管理ツールの基礎知識として、MMCの概要と基本操作についてあらためて解説する。今後解説する個々のWindows管理ツールをより深く理解できるようになると考えるからだ。
なぜMMCなのか?
MMCはWindows 2000でOS標準装備のツールとして導入された。Windows管理ツールに「MMC」という共通コンソールのフレームワークが導入された理由は、Windows NT 4.0の管理ツールでの反省があったからだ。Windows NT 4.0では管理ツールごとにインターフェイスや操作方法が異なる場合があり、管理ツールごとに操作方法を覚えねばならない場合があった。その結果、管理者の負担になる場合があった。
Microsoftは、Windows NT 4.0からWindows 2000への移行に伴い、Active Directoryの導入などTCO削減のための新しい管理モデルを構築した。その一環として、管理者やユーザーがWindows管理機能にアクセスする方法にもTCO削減の管理モデルが適用された。それが「MMC」である。MMCにより、管理ツールを共通のインターフェイスと操作方法に統一することで、管理業務における複雑さを軽減してTCOを削減することを目指している。
それではMMCの基本的なユーザー・インターフェイスを見てみよう。
基本的なMMCのユーザー・インターフェイス
われわれが日頃使うWindows管理ツールは、次の図のようなユーザー・インターフェイスになっている。
基本的なMMCウィンドウ(例:イベント・ビューア) | ||||||||||||
メイン・ウィンドウの上部にメニュー・バーとツール・バー、下部にステータス・バーが配置され、中央に管理機能の実行ウィンドウがある。 | ||||||||||||
|
メイン・ウィンドウの上部にメニュー・バーとツール・バー、下部にステータス・バーが配置され、中央に管理機能の実行ウィンドウが1つある。アプリケーションが単一のウィンドウで構成される、典型的なSDI(Single Document Interface)タイプのアプリケーションだ。これが基本的なMMCで実装されたWindows管理ツールのユーザー・インターフェイスである。
しかし、MMCウィンドウの形式は、このSDIタイプだけではない。メイン・アプリケーション内に複数の実行ウィドウを表示できるMDI(Multiple Document Interface)タイプのMMCウィンドウもある。実際には、このMDIタイプのウィンドウこそが、本来のMMCウィンドウの姿である。しかし、一般的なWindows管理ツールでは、このMDIタイプの表示が制限されているため、MDIではなくSDIで表示される。なお、このMDI表示の制限を解除することもできる。それには、後述する「コンソール モード」の設定を変更する必要がある。本来のMMCウィンドウである、MDIタイプのMMCウィンドウを次の画面に示す。
MDIタイプのMMCウィンドウ(例:イベント・ビューア) | |||
メイン・アプリケーションの内部に複数の子ウィンドウが表示されている。 | |||
|
「MMC」と「スナップイン」と「.MSCファイル」の関係
MMCは、管理ツールのホストである「MMC本体(mmc.exe)」と、管理機能を提供するモジュ―ルである「スナップイン(DLLファイル)」で構成される。スナップインを実行するための設定情報は、拡張子が「MSC(Management Saved Console)」という、「Microsoft管理コンソール・ファイル(以降、.MSCファイル)」に保存される。
ユーザーから見れば、この.MSCファイルが管理ツールそのものである。例えば、「イベント・ビューア」という管理ツールは「イベント・ビューアの.MSCファイル(eventvwr.msc)」を実行することで起動できる。
イベント ビューア(eventvwr.msc)の起動 | ||||||
|
起動された「イベント・ビューア」 |
このように、evnetvwr.mscを実行することにより、「イベント ビューア」が起動する。 |
実行する.MSCファイルは単なるMMCの設定情報にすぎない。実際のイベント・ビューアのインターフェイスや機能を提供しているのは、「イベント・ビューアのスナップイン(els.dll)」である。では、なぜ.MSCを実行するとスナップインが起動するのだろうか。その起動の仕組みを次の図に示す。
MMCスナップイン起動の仕組み(例:イベント ビューア) | ||||||||||||
|
MMCのバージョンと古いOSへのインストール
現在、MMCは、最新OSのWindows Sever 2003やWindows XPでバージョン2.0が導入されており、Windows 2000ではバージョン1.2がインストールされている。また、MMCが初期状態ではインストールされていない、Windows 9x/Me/NT 4.0などの古いバージョンOSでは、MMC 1.2をインストールすることができる。これらのOSにMMC 1.2をインストールする場合は、MMC 1.2のインストーラをこちらからダウンロードできる。ただし、MMCをインストールしても管理ツールのスナップインはインストールされない。インストールしたMMC 1.2を利用して管理ツールを実行するには、必要なスナップインを別途用意する必要がある。MMCをインストールする前の注意点としては、事前にInternet Explorer 5.01(以降、IE)以上をインストールしておくことだ。MMCはHTML形式のヘルプやHTML表示のタスクパッド(後述)でIEのWebブラウザ・コンポーネントを利用するので、MMCの前提条件としてIEが必須である。
Windows 2000およびWindows 9x/Me/NT 4.0に対しては、MMC 2.0は提供されていない。よって、これらのOSにはMMC 1.2しかインストールできない。バージョン1.2と2.0の間に大きな機能差はないが、MMC 2.0では、本稿の最後で解説する「スナップインのバージョン表示」など、いくつかの新機能が追加されており、MMC 2.0とMMC 1.2との間でMMCの画面や操作方法に若干の違いがある。スナップインについては、使用するMMCのバージョンに対応しているかどうかの確認が必要である。
INDEX | ||
[運用]Windows管理ツール再入門 | ||
Windows管理ツールの共通フレームワーク「MMC」 | ||
1.MMCの基礎 | ||
2.MMCのウィンドウ・スタイル | ||
3.Windowsで利用可能なスナップイン | ||
4.新しい.MSCファイルを作成する | ||
運用 |
- 第153話 残業削減 (2008/12/16)
世は未曽有の大不況。国は雇用を守れというが…。とりあえずは残業削減だ。おい部長、何か有効な手だてはないか! - Windows TIPS (2008/12/12)
− ダウンロードしたファイルを開かずに保存させる
− レジストリ・キーの最終更新日時を調べる
− bcdeditでブートOSメニューを変更する - Windows XP簡単ディスク・ダイエット術 (2008/12/11)
Windows XPの不要なファイルを削除してスリム化を実現。簡単な11種類の手法を紹介する。ディスク容量に制限のあるミニノートPCユーザー必読 - System Center VMMによる仮想マシン作成と管理 (2008/12/10)
物理サーバ/VMwareからHyper-V 仮想マシンへの移行におけるSCVMM支援機能、PowerShellによる効率的な仮想マシンの管理の実際
|
|
スポンサーからのお知らせ
- - PR -
お勧め求人情報
**先週の人気講座ランキング**
〜データベース編〜
◆ | New! 「高可用性」のレベルは千差万別!? “最適な”高可用性システムを導入 |
◆ | New! “社会人大学院って、実際どうなの?” 現役学生が本音で語る「社会人大学の魅力」 |
◆ | New! “スーパーユーザーの反乱”に備えて、 技術者はどのような対策を施せるか? |
◆ | New! 小型センサーで不正なPCを“検知&遮断” 容易な導入・運用を実現する3つの特徴は |
◆ | 半分以上が使われていない? 利用効率を 高める“ストレージ仮想化”のメリットは |
◆ | 「セキュリティソフト=重い」は昔の話? @IT編集部の3人が実際に体験してみた |
◆ | ファルコンストア会長兼CEOに訊く―― 事業継続を考える企業にとって必要なこと |
◆ | 一通り眺めて「同意する」をクリック、に 潜むワナ……知れば“得”する対処法は? |
◆ | 「物理サーバと同じ手法でいいの?」 “仮想化”に適したバックアップとは? |
◆ | 変化するセキュリティリスクに対応した 情報漏えい対策の方法とは? |
◆ | 凄腕プロジェクトマネージャがチェックする リスクマネジメントで重要な5つのポイント |
◆ | 米・国防総省(ペンタゴン)も採用! 最上級のセキュリティをカンタン導入する |
◆ | 次期OSへの鍵!Windows Vistaのご提案 今Vista導入を検討すべき3つの理由とは! |
◆ | 「スーパープログラマ」になるための資質 〜エンジニア・キャリア進化論(第13回)〜 |
◆ | 「“監視ツール”だけで安心ですか?」 高可用性を追求した“クラスタ構築”とは |
◆ | コストをかけずに迅速復旧!! 事業継続性を高める為の“3つの要素”? |
◆ | ビジネスは、小さく生んで大きく育てたい そんな願いを叶えてくれるサーバって? |
◆ | 「週末だけリソースが増やせればなぁ…」 が実現するクラウドホスティング |
◆ | SaaS、クラウドコンピューティング時代 必要となるITインフラの要件とは!? |
◆ | 導入事例を通してSDKの実績を検証しよう これがワザあり開発ツールの“技”だ!! |
◆ | 従来の職種が、SOAによって大きく変わる! SOA時代、新たに生まれる“6つの職種”とは? |