雇用対策で与野党が激しく対立している。年の瀬に押し寄せる未曾有の雇用悪化。全国で上がる悲鳴をよそに批判合戦の時ではない。双方が歩み寄り、年内に具体策を実施するのが政治の責務だ。
民主、社民、国民新の野党三党提出の雇用対策四法案が十八日の参院委員会で可決された。十九日の本会議で可決後、衆院に送付される。野党が「政府は無策だ」と批判すれば、与党は「国会閉会間近に出したのはパフォーマンスにすぎない」と強く反発。成立の見込みはない。
四法案には、非正規労働者の解雇を抑えるための雇用調整助成金の対象拡大や、住居を失った人への生活支援金給付、採用の内定取り消しの規制などが盛り込まれている。目指すべき雇用対策の方向性は政府・与党とほとんど差異はないといえる。
自民党の大島理森国対委員長は「住宅の問題は既に実行している。なぜ今慌てて出すのか。遅すぎる」と指摘した。
確かに法案には実施中のものも含まれている。民主党が十分な審議もせずに採決に踏み切ったのも、乱暴な印象は否めない。それにしても、与党側が「遅い」と批判できる立場にあるのか。はなはだ疑問である。
スピードが重要といいながら、追加経済対策を実行するための第二次補正予算案の提出を来年の通常国会に先送りしたのは、ほかならぬ麻生太郎首相だ。突然の解雇や派遣切りで年を越せないと不安を募らせる人たちへ、緊急支援策が欠かせないはずだが、これまでの政府の対応は不作為のように見られても仕方ない。
いくつかの地方自治体は政府の施策を待っていられないと、独自の対策を打ち出している。張り詰める深刻な空気を肌で感じ取っての対応だ。
首相に決断を求めたい。評判の悪い定額給付金などを盛り込んだ二次補正のうち、雇用対策部分を取り出して今国会に提出することはできないものか。
百年に一度の金融災害である。雇用状況は加速度的に悪化し、底無し沼の様相を呈している。そんな非常時に手をこまねいて、野党を批判している場合でもないだろう。
政府・与党は「二次補正をできるだけ早く成立させることこそ最大の雇用対策」といっている。駆け引きをやめて、与野党が雇用部分を速やかに処理する。それが政治の信頼回復への一歩である。
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