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NIKKEI NET

社説2 産油国の焦り映す大幅減産(12/19)

 石油輸出国機構(OPEC)が1月から日量220万バレルの大幅減産に踏み切ることを決めた。9月以降3回目の減産決定であり、合計の削減幅は日量420万バレルに達する。OPECに合わせてロシアも原油輸出の削減幅を1月から日量67万バレルに拡大する方針という。

 7月に米国産の指標油種WTIで1バレル147ドル台の最高値を記録した原油相場は、最近、最高値の3分の1以下にまで下落していた。大幅な追加減産は産油国の焦りを示すが、世界景気の急激な冷え込みに伴って石油需要は減退を続けている。

 米国では一時、1ガロン4ドルを超えたガソリンの小売価格が1ドル台まで下がったものの、需要は低迷したままだ。石油消費が大幅に増えていた新興国でも、景気減速につれて実需の伸びは鈍ってきた。今年の世界の石油消費は25年ぶりに前年を下回る見通しで、米エネルギー情報局やOPECなどは「来年の需要はさらに減少する」と見ている。

 タンカーを用船して洋上在庫を膨らませている石油会社や産油国が目立つほど在庫も多い。需給や在庫の状況を反映したOPECの生産調整だが、現在の市場環境では価格下支えの効果は限定的だろう。減産発表後に米国の原油先物市場で、WTI相場は一時40ドルを割り込んだ。

 原油価格下落は消費国の経済の逆風を多少は和らげ、金融緩和を続けやすい環境をつくる。一方、40ドル前後の価格ではほとんどの産油国の財政収支が赤字に転落し、経常収支も大幅な黒字から赤字に転じる公算が大きい。近年、消費と投資が拡大していた産油国では、金融危機の影響も加わって景気の減速が進む。

 過去8年間、平均約7%の実質経済成長を続けてきたロシアでも、来年の成長率は0―3%という厳しい予測まで出てきた。OPECとの協調という注目すべき動きはロシアの経済環境の暗転を象徴している。

 原油相場の大幅下落と金融危機の影響で、新たな資源開発事業にブレーキがかかり始めた。開発投資の遅延や停滞は、将来のエネルギー資源供給の制約要因であり、価格再急騰につながる恐れがある。原油価格の過度な下落が好ましくないことも、あらためて認識すべきである。

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