東京都内で起きた妊婦死亡問題を受け、産科と救急の医療確保策を議論していた厚生労働省の有識者懇談会(座長、岡井崇・昭和大教授)は18日、報告書案を大筋でまとめた。母体の受け入れ体制強化のため、総合周産期母子医療センターと救命救急センターの機能を合わせた施設を整備し、全国のNICU(新生児集中治療室)を現行の1.5倍程度に増やすよう求めている。報告書は来年1月にも厚労省に提出する。
現在の産科救急は、全国75カ所の総合周産期センターが地域の拠点になっているが、約3分の1の施設は設備面から脳出血などを起こした妊婦への対応が難しかった。そこで報告書では、センターの指定基準を年度内に見直し、最も高度なセンターは▽産科▽新生児科▽NICU▽MFICU(母体・胎児集中治療室)▽救命救急--の全機能を持つべきだとした。
また、総合周産期センターが救急搬送の受け入れを断る理由の9割以上が「NICUの満床」であることから、出生1万人当たり20床としていた必要病床数を、当面25~30床に引き上げる整備が必要だとした。
受け入れ先を速やかに見つける方策としては、各都道府県に司令塔になる情報センターを設置し、調整役の搬送コーディネーターを置く。実態把握のために搬送先決定時間のデータを収集し、地域ごとの定期的な公開も求めた。
さらに、現場の医師不足解消に向け、医師への手当を直接支給する新たな財政支援や診療報酬上の措置を検討すべきだとした。【清水健二】
毎日新聞 2008年12月18日 23時06分