辰野総合病院(辰野町)の経営改革プラン素案がほぼ固まり、辰野町と同病院が17日、同病院で開いた病院運営委員会(山岸忠幸委員長)に示した。病院新築を経営の改善策として伊北の第1、2次救急医療を担い、初期救急と現状の8科体制を維持する従来の方針に加え、在宅医療に積極的にかかわり、町の福祉保健事業との連携も強く打ち出した内容。経営収支では2011年に移転新築、その後4年で黒字化を目指すとしている。
病院の改革方針は、9月に開いた住民説明会で示したプランの通り、▽伊北の基幹病院としての位置づけ▽診療科目数の現状維持▽リハビリテーション科を新設し、在宅復帰を支援する回復期医療の機能強化▽人工透析ベッドの増床−など。
今回は新たに、訪問看護ステーションの病院併設、地域福祉と医療をつなぐ「医療連携支援室」のスタッフ強化を明確に盛るなど行政、福祉機関との連携分野の内容を充実させた。矢ヶ崎克彦町長は「一年間検討している間に国政も大きく変動し、医療と福祉、保健の連携を視野に考える必要も強く出てきた」と説明した。
病床数は医師数の現状と確保の見込みから当初より14床少ない「100床」とし、経営収支を算出。今年度決算で変動が生じるものの、現時点の計画では移転新築する2011年の経常収支は1億1300万円の赤字、翌年から収入が若干増えて赤字幅が縮小し、14年には黒字転換する見込みとした。
ただ、経営の黒字転換について、県は移転新築後3年以内を求めているため、同プランの認可を得る際のネックとなりそうだ。
委員からは「新病院建設の姿勢をプランの中でもっと強く打ち出し、意思表示すべき」との意見に加え、医療と地域介護福祉が機能分担し、連携して一人の患者、介護者をフォローする体制づくりや茅野市で実践している保健福祉サービスの総合窓口に習って病院を地域の医療、福祉保健の中核と位置づける提案もあった。
プランは来年1月中旬、運営委員会や議会全員協議会を経て確定し、住民に広報誌で説明。2月中には県を通して国に提出する計画という。