政府の教育再生懇談会(座長、安西祐一郎・慶応義塾塾長)は、子どもの携帯電話利用に関する提言の素案をまとめた。「小中学生が携帯電話を持たないよう保護者や学校が協力する」とし、通話機能に限った携帯電話の促進や、小中学校への原則持ち込み禁止を促している。
素案は、携帯電話が「子どもの生活習慣を乱れさせ、対人関係の希薄化を招いている」として、利用制限の必要性を強調。原則的には必要ないとしたうえで、安全確保のため持つ場合は▽有害サイトに接続できないフィルタリングサービスの利用▽情報を適切に利用するリテラシー教育の徹底▽家庭内でのルール作り▽小中学校への持ち込み禁止など教育委員会によるルール作り--を提言した。
また双方向のやりとりができるサイトでいじめやトラブルが起きていることを問題視。ネット接続できない機能限定型の携帯の普及をめざし、携帯電話事業者による販路開拓も促している。
再生懇は今年5月の第1次報告で携帯電話の使用制限をうたい、具体策を練っていた。提言は来月、麻生太郎首相に提出する。
また再生懇は18日、教科書の質と量の充実を求める第2次報告を首相に提出した。国語と理科、英語はページ数の2倍増を目指し、分量制限の撤廃や教科書検定の審査基準見直しを提言。さらに「考える力をつける題材の提供」が必要として、英字新聞や文豪の名文からの引用を具体策としてあげた。【山本紀子】
毎日新聞 2008年12月18日 東京夕刊