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歌舞伎:遠山桜天保日記(国立劇場) 角太夫の二面性を出した菊五郎

 江戸の名町奉行と言われた遠山金四郎が活躍する竹柴其水作品の久々の通し上演。尾上菊五郎監修、国立劇場文芸課補綴(ほてつ)。

 短筒(たんづつ)(ピストル)強盗の角太夫(菊五郎)は、天学(松緑)、小三郎(菊之助)と兄弟分になる。角太夫は悪行の数々を訴えようとした妻のおもと(時蔵)を刺し殺す非道ぶり。佐渡金山の御用金を奪った角太夫と天学が新潟で宴を開いているところへ、捕り方が迫る。角太夫は天学に殺され、その天学もお白州で金四郎(菊五郎)の裁きを受ける。

 原作に大きく手を入れて人物の個性を際立たせ、筋に起伏を付けることで見応えのある娯楽作品に仕上がった。お白州で金四郎が桜吹雪の入れ墨を見せる場面も加えるサービスぶり。

 菊五郎は強盗の角太夫と金四郎の2役。角太夫では、目の見えないもみ療治師に化けて政五郎(左団次)の家に乗り込み、怪しい療治をするこっけいさと、殺人を犯す時のためらいのない冷酷さの二面性を出した。金四郎では、世情に通じた奉行のしゃだつさを見せた。

 時蔵はおもとと彼女の娘で小三郎と心中を図るおわかの2役を演じ分けた。松緑の天学には、白州で吟味される時のようすに悪党らしいしたたかさがある。菊之助は若だんな崩れの盗っ人らしい甘さを表現した。左団次、団蔵、亀蔵、菊十郎ら周囲もそろう。新潟での捕物は菊五郎劇団らしい息の合った豪快な立ち回りとなる。26日まで。【小玉祥子】

毎日新聞 2008年12月17日 東京夕刊

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